デジタル時代のクルマ購入検討行動
どんなサイトに、いつアクセス? YouTubeも活用?!~メディア接触ログデータに見る、クルマ購入者のオンライン情報収集~
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚純晃、以下:インテージ)は、インターネットの普及により多様な情報が入手可能な昨今の「クルマ購入者のオンライン情報収集」について、メディア接触ログデータ「i-SSP®(インテージシングルソースパネル®)」と、毎月約60万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータ「Car-kit」から探ってみました。
【ポイント】
新車購入前半年間の関連サイトアクセス総数、半分超は「メーカーサイト」。「車情報サイト」は3割に満たず
図表1は、新車を購入した人が、購入までの6ヵ月間に、どのようなタイプの車関連サイトをより多く見たのか、接触量(PV数)の内訳を表したものです。
図表1
サイトタイプで異なるアクセス増のタイミング-「メーカーサイト」は新車購入3か月前、「車情報サイト」は1か月前から
次に、各タイプの車関連サイトはいつごろからアクセスされるのでしょうか。新車購入の半年前以降の接触量(PV数)を時系列であらわしたものが図表2です。
図表2
やはり「メーカーサイト」への接触量の多さが目立ち、常にどのタイプのサイトよりも多く接触しています。特に購入の3ヵ月前あたりから接触量が増加し始めることがわかります。一方で「車情報サイト」については購入直前の1 ヵ月前からようやく接触が増加し始め、購入当月に大きく伸びています。このことから、新車購入者は「メーカーサイト」を軸として3ヵ月程度検討を行い、ある程度具体的な車種が決まった段階で「車情報サイト」にアクセスし、目当ての車種に関する第三者による情報や試乗レビューについて情報収集しているものと推察できます。また、図表1で見えた新車購入者の「中古車情報サイト」への接触ですが、購入の1-2ヵ月前には「中古車情報サイト」への接触量の増加が見てとれます。新車購入者の一部では、直前まで中古車購入も候補に挙がっているようです。
メーカーサイトごとに異なるアクセス状況-購入前半年間の接触数No.1サイトは購入検討者向けページが充実
続いて、オンライン情報収集の柱であるメーカーサイトに焦点を絞り、メーカーごとにどのような接触傾向の違いがあるのかを見てみましょう。図表3は新車購入者によるメーカー各社のサイトへの接触量(PV数)の推移を表しています。
図表3
各社とも購入当月にかけて接触量の増加が見られていますが、最も順調に接触量を伸ばしているのがA社のサイトです。実際に各社メーカーサイトを見ると、いずれのサイトにおいても購入検討者向けのサポートページがあり、販売店の検索や試乗車検索が可能である点は同じですが、A社のメーカーサイトでは現在乗っている車の下取り参考価格の検索ができたり、見積もりシミュレーションでオプションを人気順で選ぶことができたりと、メーカーサイト内だけで車の買い替えに必要な情報が網羅されていました。こうした購入者の検討プロセスを考慮したサイト作りが購入直前のサイト接触量を高め、最終的には検討者の囲い込みにも寄与していると考えられます。
車購入前に増えるYouTube利用時間-車種名検索し、試乗レビューなどチェック
車の購入検討者は必ずしも車関連のサイトからすべての情報を収集するわけではありません。図表4は、車購入者の購入前6ヵ月間におけるYouTubeの平均利用時間の推移です。車以外の動画も含めての利用時間のため、検討開始時期の前から一定の利用量はありますが、購入月に向けて利用時間が増えていることがわかります。
図表4
YouTube内での検索ワードを見てみると、「インプレッサスポーツ」、「スズキ ハスラーG 4WD」など、具体的な車種名で検索をしていて、車購入の検討材料としてYouTubeを利用していたことがうかがえます。最近では一般ユーザーによるYouTubeに試乗のレビュー動画が多く上げられていて、来店前に検討車の内装や実際の性能などを確認することができるようになっています。
オンライン上のさまざまな発信者から多様な情報が発信されている昨今、生活者にとっては入手できる情報の幅が格段に広がり便利になった一方、売り手にとっては、購入者の検討行動の変化を捉えて柔軟に対応していくことはこれまで以上に難しくもあり、同時に、競合との差別化を図る上でのカギを握っているともいえるでしょう。
ここでご紹介しきれなかった、「中古車購入者のオンラインでの検討行動」も含む詳細記事を
インテージのオウンド・メディア「Intage 知る gallery」に掲載しています。あわせてご参照ください。
「車の情報はどうやって調べる? 行動ログデータから見えたデジタル時代の情報収集」
https://www.intage.co.jp/gallery/media-8/
本レポートに使用した当社調査データ
【i-SSP®(インテージシングルソースパネル®)】
https://www.intage.co.jp/service/platform/issp/
当社の主力サービスであるSCI(全国消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォンからのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関するデータを収集するものです。当データにより、パソコン・スマートフォン・テレビそれぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。また、調査対象者に別途アンケート調査を実施することにより、意識・価値観や耐久財・サービス財の購買状況を聴取し、あわせて分析することも可能です。
※ シングルソースパネルは株式会社インテージの登録商標です。
【Car-kit(自動車パネル)】
https://www.intage.co.jp/industry/automobile/car-kit/
毎月約60万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータです。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施しています。自動車保有者からは、リッチな自動車情報を取得しています。
------------------------------------
【株式会社インテージ】
https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。
【報道機関からのお問い合わせ先】
■株式会社インテージ 広報担当:西澤(にしざわ)
TEL: 03-5294-6000
サイト「お問い合わせフォーム」
https://www.intage.co.jp/contact/
【本分析内容に関するお問い合わせ】
■株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部
メールアドレス: i-ssp@intage.co.jp
【ポイント】
- 新車購入前半年間の関連サイトアクセス総数、半分超は「メーカーサイト」。「車情報サイト」は3割に満たず
- サイトタイプで異なるアクセス増のタイミング-「メーカーサイト」は新車購入3か月前、「車情報サイト」は1か月前から
- メーカーサイトごとに異なるアクセス状況-購入前半年間の接触数No.1サイトは購入検討者向けページが充実
- 車購入前に増えるYouTube利用時間-車種名検索し、試乗レビューなどチェック
新車購入前半年間の関連サイトアクセス総数、半分超は「メーカーサイト」。「車情報サイト」は3割に満たず
図表1は、新車を購入した人が、購入までの6ヵ月間に、どのようなタイプの車関連サイトをより多く見たのか、接触量(PV数)の内訳を表したものです。
図表1
サイトタイプで異なるアクセス増のタイミング-「メーカーサイト」は新車購入3か月前、「車情報サイト」は1か月前から
次に、各タイプの車関連サイトはいつごろからアクセスされるのでしょうか。新車購入の半年前以降の接触量(PV数)を時系列であらわしたものが図表2です。
図表2
やはり「メーカーサイト」への接触量の多さが目立ち、常にどのタイプのサイトよりも多く接触しています。特に購入の3ヵ月前あたりから接触量が増加し始めることがわかります。一方で「車情報サイト」については購入直前の1 ヵ月前からようやく接触が増加し始め、購入当月に大きく伸びています。このことから、新車購入者は「メーカーサイト」を軸として3ヵ月程度検討を行い、ある程度具体的な車種が決まった段階で「車情報サイト」にアクセスし、目当ての車種に関する第三者による情報や試乗レビューについて情報収集しているものと推察できます。また、図表1で見えた新車購入者の「中古車情報サイト」への接触ですが、購入の1-2ヵ月前には「中古車情報サイト」への接触量の増加が見てとれます。新車購入者の一部では、直前まで中古車購入も候補に挙がっているようです。
メーカーサイトごとに異なるアクセス状況-購入前半年間の接触数No.1サイトは購入検討者向けページが充実
続いて、オンライン情報収集の柱であるメーカーサイトに焦点を絞り、メーカーごとにどのような接触傾向の違いがあるのかを見てみましょう。図表3は新車購入者によるメーカー各社のサイトへの接触量(PV数)の推移を表しています。
図表3
各社とも購入当月にかけて接触量の増加が見られていますが、最も順調に接触量を伸ばしているのがA社のサイトです。実際に各社メーカーサイトを見ると、いずれのサイトにおいても購入検討者向けのサポートページがあり、販売店の検索や試乗車検索が可能である点は同じですが、A社のメーカーサイトでは現在乗っている車の下取り参考価格の検索ができたり、見積もりシミュレーションでオプションを人気順で選ぶことができたりと、メーカーサイト内だけで車の買い替えに必要な情報が網羅されていました。こうした購入者の検討プロセスを考慮したサイト作りが購入直前のサイト接触量を高め、最終的には検討者の囲い込みにも寄与していると考えられます。
車購入前に増えるYouTube利用時間-車種名検索し、試乗レビューなどチェック
車の購入検討者は必ずしも車関連のサイトからすべての情報を収集するわけではありません。図表4は、車購入者の購入前6ヵ月間におけるYouTubeの平均利用時間の推移です。車以外の動画も含めての利用時間のため、検討開始時期の前から一定の利用量はありますが、購入月に向けて利用時間が増えていることがわかります。
図表4
YouTube内での検索ワードを見てみると、「インプレッサスポーツ」、「スズキ ハスラーG 4WD」など、具体的な車種名で検索をしていて、車購入の検討材料としてYouTubeを利用していたことがうかがえます。最近では一般ユーザーによるYouTubeに試乗のレビュー動画が多く上げられていて、来店前に検討車の内装や実際の性能などを確認することができるようになっています。
オンライン上のさまざまな発信者から多様な情報が発信されている昨今、生活者にとっては入手できる情報の幅が格段に広がり便利になった一方、売り手にとっては、購入者の検討行動の変化を捉えて柔軟に対応していくことはこれまで以上に難しくもあり、同時に、競合との差別化を図る上でのカギを握っているともいえるでしょう。
ここでご紹介しきれなかった、「中古車購入者のオンラインでの検討行動」も含む詳細記事を
インテージのオウンド・メディア「Intage 知る gallery」に掲載しています。あわせてご参照ください。
「車の情報はどうやって調べる? 行動ログデータから見えたデジタル時代の情報収集」
https://www.intage.co.jp/gallery/media-8/
本レポートに使用した当社調査データ
【i-SSP®(インテージシングルソースパネル®)】
https://www.intage.co.jp/service/platform/issp/
当社の主力サービスであるSCI(全国消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォンからのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関するデータを収集するものです。当データにより、パソコン・スマートフォン・テレビそれぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。また、調査対象者に別途アンケート調査を実施することにより、意識・価値観や耐久財・サービス財の購買状況を聴取し、あわせて分析することも可能です。
※ シングルソースパネルは株式会社インテージの登録商標です。
【Car-kit(自動車パネル)】
https://www.intage.co.jp/industry/automobile/car-kit/
毎月約60万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータです。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施しています。自動車保有者からは、リッチな自動車情報を取得しています。
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【株式会社インテージ】
https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。
【報道機関からのお問い合わせ先】
■株式会社インテージ 広報担当:西澤(にしざわ)
TEL: 03-5294-6000
サイト「お問い合わせフォーム」
https://www.intage.co.jp/contact/
【本分析内容に関するお問い合わせ】
■株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部
メールアドレス: i-ssp@intage.co.jp
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