環境移送ベンチャーイノカ、取締役CTOに医療材料・再生医療専門家の関西大学教授 上田正人就任
〜再生医療を活用したサンゴ礁の早期再生研究を促進、海洋生物多様性への影響評価技術を強化〜
株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : ⾼倉葉太)は、環境移送技術(※1)の開発強化を図るため、取締役CTO(Chief Technology Officer)に、医療材料・再生医療の専門家である関西大学教授 上田正人が就任することをお知らせします。
本就任により、再生医療を活用したサンゴ礁の早期再生研究を促進し、マイクロプラスチックや海洋に流出してしまう農薬等、海洋生物多様性に対する化学物質の影響評価技術の強化を環境移送技術によって促進して参ります。
※1:環境移送技術とは、天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術です。
本就任により、再生医療を活用したサンゴ礁の早期再生研究を促進し、マイクロプラスチックや海洋に流出してしまう農薬等、海洋生物多様性に対する化学物質の影響評価技術の強化を環境移送技術によって促進して参ります。
※1:環境移送技術とは、天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術です。
◆ CTO就任の背景
サンゴは、約4億年前に誕生し、熱帯を中心に生息している動物です。
生物多様性の面でも重要な役割を果たしており、海の表面積のわずか0.2%に過ぎないサンゴ礁海域に、海洋生物の25%が暮らしています。(出典1)
また、人間の社会生活を支える上で必要な護岸効果や漁場の提供、建築材料や生活の道具の材料といった重要な役割を果たし、近年では医薬品への活用も期待されています。
生物多様性の担保や環境保全から市場経済や社会生活に必要不可欠なサンゴは、海洋面積の0.2%ながら、海洋生物の25%の生息を支える基盤であり、年間で推定3750億ドル(日本円で約43兆円)以上の経済価値があると言われています。(出典2)
しかし、20年後には気候変動に伴う海水温の上昇によりサンゴ礁の70~90%が消滅する可能性が高いと言われており、海の生物多様性やそこからうまれる経済価値を守るためにサンゴ礁の保全は最重要課題です。
イノカでは、「人と自然が共生する世界をつくる」というビジョンをかかげ、天候をはじめとする条件が日々変化する海の中を閉鎖空間(=水槽)にモデル生態系を再現することで安定した環境でデータをとることのできる環境移送技術を活用して、海の見える化に取り組んでおります。
これまでも世界で初めて閉鎖空間でサンゴの産卵時期のコントロールに成功、モーリシャスでの重油流出事故における現地調査などサンゴの保全研究を進めております。
今回、CTOに就任する上田教授は骨再生に関する基礎研究に注力し、特に酸化チタンの利用に関して研究。
上田教授はサンゴとヒトの骨形成メカニズムにおける類似性に気付きサンゴに酸化チタンをコーティングしたチタン棒をインプラントしました。結果、ヒトの骨格における反応と同じく、サンゴが「酸化チタンを異物と認めず」自分の骨格であると誤認識し、被覆膜だけを伸ばしました。
この技術を活用することで、サンゴの高速培養が可能となり、サンゴの新たな保全技術の開発や、サンゴがCO2を吸収・固定する性質を活かしてカーボンニュートラルにも貢献できるような新技術の開発が可能になると考えております。
さらに、この技術はサンゴに対する負荷の少ない方法で実験を行うことができるため、サンゴのin-virto(※2)モデル生物化を実現、環境移送技術の強化を図ることができることから今回就任いただく運びとなりました。
※2:動物個体から、組織の断片や細胞などを取り出して行う実験のこと
◆ CTO 上田正人
上田 正人(うえだ・まさと)
1994〜1997年度 関西大学工学部材料工学科
1998〜2002年度 大阪大学大学院工学研究科マテリアル科学専攻博士前期・後期課程
2003〜2006年度 大阪大学大学院 工学研究科助手
2007〜2009年度 関西大学 化学生命工学部 専任講師
2010〜2016年度 関西大学 化学生命工学部 准教授
2010.9〜2011.8 英国ケンブリッジ大学 客員研究員
2017年度〜 関西大学 化学生命工学部 教授
【就任コメント】
私は今までヒトを対象とした再生医療、特に人工材料表面の生体親和性向上や骨形成の促進・抑制に関する基礎研究に従事してきました。
サンゴとヒトの骨形成メカニズムにおける類似性に気付いてから、ヒトに対する再生医療技術をサンゴに転用できないか、トライ&エラーを繰り返してきました。そこでの課題は、データの“安定性”,“再現性”でした。サンゴに関するモデル生態系を完全に再現しつつあるイノカさんに協力を求めたのが我々の関係の始まりです。
今後は、イノカの一員として、サンゴの高速増殖、モデル生物化を実現したいと考えております。
【研究概略図】
従来のサンゴ養殖方法
親サンゴを折って枝分けする方法と年に一度産卵により卵と精子が受精してプラヌラを作り、新しい場所で群体を作る有性生殖の方法があります。
従来の養殖方法だと、親サンゴの回復に時間がかかる、サンプル採取可能な時期が限定的になるといった課題がありました。
新しいサンゴ養殖方法
親サンゴからポリプのみを単離させ、ポリプをチタンに活着させることでサンゴを増殖させる方法を開発。親サンゴの負担も少なく、従来よりも早いスピードでサンゴを養殖することが可能となります。
◆ 代表取締役CEO 高倉葉太より 就任に寄せて
上田先生との出会いは、海洋に関して研究されている方が集まり、研究を通じた社会課題解決アイディアに関して発表をする「マリンテックグランプリ」という場でした。
はじめて先生の話を聞いた時にはまず先生の発想力に驚かされましたが、その後議論を進める中でサンゴ礁をはじめとした海洋保全への熱い想いに我々も心動かされました。
この先生の熱い想いと、これまでイノカにはなかった視点からの発想力やバイオテクノロジーが加わることにより、今後イノカは新たな海洋保全技術を生み出して、より一層海洋保全に貢献できると確信しております。
また、これを機に関西圏での活動も拡大してまいります。
◆ 出典
1:国連気候変動に関する政府間パネル (IPCC = Intergovernmental Panel on Climate Change)Global Warming of 1.5°C (2018), p8. B.4.2
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/sites/2/2019/06/SR15_Full_Report_High_Res.pdf
2:IUCN(国際自然保護連合) Coral Reefs
https://www.iucn.org/theme/marine-and-polar/get-involved/coral-reefs?fbclid=IwAR2x9LnMAHTRNr2BGmlO364w2ePrkgA_sovBts_cziMI8L4rLdSz88Du6_8
◆ 株式会社イノカ
日本で有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリストと、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアが2019年に創業したベンチャー企業です。
アクアリストとは、自宅にて魚や貝、そしてサンゴまでをも飼育する、いわゆるアクアリウムを趣味とする人々のことを指します。
自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力とIoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を行っております。
本技術を用いて「海を見える化」することをミッションに掲げ、環境保全と経済合理性が両立される世界を目指しています。
事業としては本技術を活用したリアルな生態系を見せる教育事業、そして臨海部にいかずとも様々な海洋研究を可能にする海洋研究プラットフォーム事業を展開しております。
2020年、モーリシャス沖で発生した重油事故に際して現地調査を実施し、2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵に成功しました。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都港区虎ノ門3-7-10 ランディック虎ノ門2階
会社HP https://corp.innoqua.jp
お問合せ info@innoqua.jp
サンゴは、約4億年前に誕生し、熱帯を中心に生息している動物です。
生物多様性の面でも重要な役割を果たしており、海の表面積のわずか0.2%に過ぎないサンゴ礁海域に、海洋生物の25%が暮らしています。(出典1)
また、人間の社会生活を支える上で必要な護岸効果や漁場の提供、建築材料や生活の道具の材料といった重要な役割を果たし、近年では医薬品への活用も期待されています。
生物多様性の担保や環境保全から市場経済や社会生活に必要不可欠なサンゴは、海洋面積の0.2%ながら、海洋生物の25%の生息を支える基盤であり、年間で推定3750億ドル(日本円で約43兆円)以上の経済価値があると言われています。(出典2)
しかし、20年後には気候変動に伴う海水温の上昇によりサンゴ礁の70~90%が消滅する可能性が高いと言われており、海の生物多様性やそこからうまれる経済価値を守るためにサンゴ礁の保全は最重要課題です。
イノカでは、「人と自然が共生する世界をつくる」というビジョンをかかげ、天候をはじめとする条件が日々変化する海の中を閉鎖空間(=水槽)にモデル生態系を再現することで安定した環境でデータをとることのできる環境移送技術を活用して、海の見える化に取り組んでおります。
これまでも世界で初めて閉鎖空間でサンゴの産卵時期のコントロールに成功、モーリシャスでの重油流出事故における現地調査などサンゴの保全研究を進めております。
今回、CTOに就任する上田教授は骨再生に関する基礎研究に注力し、特に酸化チタンの利用に関して研究。
上田教授はサンゴとヒトの骨形成メカニズムにおける類似性に気付きサンゴに酸化チタンをコーティングしたチタン棒をインプラントしました。結果、ヒトの骨格における反応と同じく、サンゴが「酸化チタンを異物と認めず」自分の骨格であると誤認識し、被覆膜だけを伸ばしました。
この技術を活用することで、サンゴの高速培養が可能となり、サンゴの新たな保全技術の開発や、サンゴがCO2を吸収・固定する性質を活かしてカーボンニュートラルにも貢献できるような新技術の開発が可能になると考えております。
さらに、この技術はサンゴに対する負荷の少ない方法で実験を行うことができるため、サンゴのin-virto(※2)モデル生物化を実現、環境移送技術の強化を図ることができることから今回就任いただく運びとなりました。
※2:動物個体から、組織の断片や細胞などを取り出して行う実験のこと
◆ CTO 上田正人
【略歴】
上田 正人(うえだ・まさと)
1994〜1997年度 関西大学工学部材料工学科
1998〜2002年度 大阪大学大学院工学研究科マテリアル科学専攻博士前期・後期課程
2003〜2006年度 大阪大学大学院 工学研究科助手
2007〜2009年度 関西大学 化学生命工学部 専任講師
2010〜2016年度 関西大学 化学生命工学部 准教授
2010.9〜2011.8 英国ケンブリッジ大学 客員研究員
2017年度〜 関西大学 化学生命工学部 教授
【就任コメント】
私は今までヒトを対象とした再生医療、特に人工材料表面の生体親和性向上や骨形成の促進・抑制に関する基礎研究に従事してきました。
サンゴとヒトの骨形成メカニズムにおける類似性に気付いてから、ヒトに対する再生医療技術をサンゴに転用できないか、トライ&エラーを繰り返してきました。そこでの課題は、データの“安定性”,“再現性”でした。サンゴに関するモデル生態系を完全に再現しつつあるイノカさんに協力を求めたのが我々の関係の始まりです。
今後は、イノカの一員として、サンゴの高速増殖、モデル生物化を実現したいと考えております。
【研究概略図】
従来のサンゴ養殖方法
親サンゴを折って枝分けする方法と年に一度産卵により卵と精子が受精してプラヌラを作り、新しい場所で群体を作る有性生殖の方法があります。
従来の養殖方法だと、親サンゴの回復に時間がかかる、サンプル採取可能な時期が限定的になるといった課題がありました。
新しいサンゴ養殖方法
親サンゴからポリプのみを単離させ、ポリプをチタンに活着させることでサンゴを増殖させる方法を開発。親サンゴの負担も少なく、従来よりも早いスピードでサンゴを養殖することが可能となります。
◆ 代表取締役CEO 高倉葉太より 就任に寄せて
上田先生との出会いは、海洋に関して研究されている方が集まり、研究を通じた社会課題解決アイディアに関して発表をする「マリンテックグランプリ」という場でした。
はじめて先生の話を聞いた時にはまず先生の発想力に驚かされましたが、その後議論を進める中でサンゴ礁をはじめとした海洋保全への熱い想いに我々も心動かされました。
この先生の熱い想いと、これまでイノカにはなかった視点からの発想力やバイオテクノロジーが加わることにより、今後イノカは新たな海洋保全技術を生み出して、より一層海洋保全に貢献できると確信しております。
また、これを機に関西圏での活動も拡大してまいります。
◆ 出典
1:国連気候変動に関する政府間パネル (IPCC = Intergovernmental Panel on Climate Change)Global Warming of 1.5°C (2018), p8. B.4.2
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/sites/2/2019/06/SR15_Full_Report_High_Res.pdf
2:IUCN(国際自然保護連合) Coral Reefs
https://www.iucn.org/theme/marine-and-polar/get-involved/coral-reefs?fbclid=IwAR2x9LnMAHTRNr2BGmlO364w2ePrkgA_sovBts_cziMI8L4rLdSz88Du6_8
◆ 株式会社イノカ
日本で有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリストと、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアが2019年に創業したベンチャー企業です。
アクアリストとは、自宅にて魚や貝、そしてサンゴまでをも飼育する、いわゆるアクアリウムを趣味とする人々のことを指します。
自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力とIoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を行っております。
本技術を用いて「海を見える化」することをミッションに掲げ、環境保全と経済合理性が両立される世界を目指しています。
事業としては本技術を活用したリアルな生態系を見せる教育事業、そして臨海部にいかずとも様々な海洋研究を可能にする海洋研究プラットフォーム事業を展開しております。
2020年、モーリシャス沖で発生した重油事故に際して現地調査を実施し、2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵に成功しました。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都港区虎ノ門3-7-10 ランディック虎ノ門2階
会社HP https://corp.innoqua.jp
お問合せ info@innoqua.jp
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