NATMでの道路トンネルとして世界最大級の断面積485m²の掘削を完了
超大断面の分割施工と機械の大型化により、掘削後の切羽を早期に安定
※ New Austrian Tunneling Method、山岳部で用いられるトンネル掘削工法
横浜環状南線 釜利谷庄戸トンネル工事
横浜環状南線(釜利谷JCT~戸塚IC(仮称)間)は、約9kmの自動車専用道路であり、圏央道の一部に位置付けられています。このうち鹿島JVが施工する「横浜環状南線 釜利谷庄戸トンネル工事」では、釜利谷JCTとの接合部から環状4号線との交差部までの約1kmの区間に7本のトンネル(総延長3,946m)を構築します。
本トンネルは、4本のトンネルが最小離隔60cmで並ぶ「4連区間」、2本のトンネルが分岐合流し大断面トンネルとなる「分合流区間」、最小1.7mという低土被りの矩形トンネルとなる「低土被り区間」の3区間で構成されます。なかでも、5車線となる分合流区間上り線トンネルの一部区間は、最大幅29m、最大高さ20m、掘削断面積485m²に及ぶ世界最大級の大断面となります。
世界最大級の断面積を掘削する技術
大断面のトンネルを掘削する場合、従来の施工方法では、トンネルを上下に分割して掘削を行います。しかし、今回のような超大断面トンネルの掘削を行うにあたっては、従来の施工方法では施工中の切羽の安定性に懸念がありました。そこで、掘削後の切羽を早期に安定させるために、トンネルの上部を2分割して施工する上半の2分割掘削(下図[1][2])と、仮インバート閉合(下図[3])を採用しました。
上半の2分割掘削では、上半の上部掘削(下図[1])後、上半の下部掘削(下図[2])に先行してコンクリート吹付けを行うことで、切羽開放時間を短縮し安定性を高めました。また、上半の下部掘削(下図[2])後、半円形となっているトンネル断面を早期に円状にし構造的に安定させる仮インバート閉合(下図[3])を行うことで、トンネルの変形を抑制し、切羽のさらなる高い安定性を確保しました。
さらに、大規模断面を効率よく掘削するために、ブームを延長するなど重機の大型化改造を行い、左右2台編成で施工しました。
これらの技術により、大断面トンネルを早期に安定させることができ、掘削断面積485m²を達成しました。なお、施工中の騒音・振動の低減を目的に、低振動型に改造した機械の使用など、住宅密集地での周辺環境に配慮した取組みを行っています。
今後の展開
今後は、掘削断面積370m²となる下り線トンネルを、掘削断面積485m²の上り線トンネルに隣接する最小離隔1.0mの位置に施工します。超大断面トンネルの近接施工は難易度の高い工事となります。引き続き、徹底した安全、環境、品質、工程管理のもと、完成へ向け鋭意施工を進めてまいります。
工事概要
工事名称:横浜環状南線 釜利谷庄戸トンネル工事
工事場所:神奈川県横浜市金沢区釜利谷町~栄区上郷町
発注者:東日本高速道路株式会社関東支社
施工者:鹿島・前田・佐藤特定建設工事共同企業体
工事諸元:トンネル延長3,946m、最大断面積485m²(分合流区間上り線)
工期:2021年2月~2026年8月
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