人的資本開示の壁。残業時間の「情報ギャップ率」85.1%——開示拡大の陰で進む“データ標準化不全”の実態
求職者377人調査。離職率(76.7%)や平均年収(82.5%)でも「比較しづらさ」が鮮明に。企業の形式的開示と市場ニーズの乖離が浮き彫り

株式会社エフペリが運営する、企業分析プラットフォーム「Career Reveal(キャリア・リビール)」は、18〜49歳の就職・転職活動経験者/検討者377人を対象に、企業選びにおける企業情報の探しやすさ・比較しやすさに関するアンケート調査を実施しました。
有価証券報告書等を通じた「人的資本開示」が定着する一方、企業ごとに掲載の有無・定義・対象範囲が異なることで、求職者が横並びで比較できない“データ標準化の壁”が浮き彫りとなりました。調査の結果、掲載のばらつきや定義の分かりにくさを示す「情報ギャップ率」は、「残業時間」で85.1%、「平均年収」で82.5%、「離職率」で76.7%に達しました。複数企業の比較で「比較しにくかった」と感じた割合も45.4%(比較を実施した層では47.2%)に上り、企業側の開示拡大と市場が求めるデータ利便性との間に大きな乖離が存在することが判明しました。
■調査結果サマリー
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企業情報の「情報ギャップ率」は、「残業時間」が85.1%で最も高い
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「平均年収」82.5%、「離職率」76.7%、「有給取得率」74.5%も高水準
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「研修制度・成長支援」は63.9%、「評価制度」は61.8%
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複数企業の比較で「比較しにくかった」側の回答は45.4%
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複数社比較をしようとしなかった回答者を除くと、「比較しにくかった」側は47.2%
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企業情報を一覧で比較できるサービスの利用意向は91.8%
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本調査では、企業選びに必要な情報について、掲載有無・定義・対象範囲・比較しやすさに課題を感じる傾向が見られた
※「情報ギャップ率」とは、以下3項目のいずれかに課題を感じたと回答した人の合計割合です。
・企業によって掲載の有無や内容にばらつきがあり、比較しづらかった
・データはあったが、意味・定義・対象範囲が分かりにくかった
・探したが、見つからない企業が多かった
■残業時間の情報ギャップ率は85.1%、離職率は76.7%

企業選びで各情報を調べた経験について、情報ギャップ率を集計したところ、「残業時間」が85.1%で最も高くなりました。次いで「平均年収」82.5%、「離職率」76.7%、「有給取得率」74.5%が続きました。
情報ギャップ率は、「企業によって掲載の有無や内容にばらつきがあり、比較しづらかった」「データはあったが、意味・定義・対象範囲が分かりにくかった」「探したが、見つからない企業が多かった」の合計です。数値が高い項目ほど、回答者が企業間での比較や情報の理解に難しさを感じている可能性があります。
▼企業情報の情報ギャップ率(n=377)

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項目 |
情報ギャップ率 |
|---|---|
|
残業時間 |
85.1% |
|
平均年収 |
82.5% |
|
離職率 |
76.7% |
|
有給取得率 |
74.5% |
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研修制度・成長支援 |
63.9% |
|
評価制度 |
61.8% |
※「平均年収」については、平均年収そのものの有無だけでなく、年収の上がり方、職種・年齢・雇用形態による違い、他社との比較しやすさなども含めて回答されている可能性があります。
■企業ごとの掲載有無や定義の違いが、横並び比較の壁に
残業時間や離職率、有給取得率などは、企業によって開示の有無や掲載場所、定義、対象範囲が異なる場合があります。例えば、同じ「残業時間」でも、単体か連結か、正社員のみか全従業員か、月平均か年間平均かなど、前提条件が異なることがあります。
また、離職率や研修制度・成長支援、評価制度などは、数値として明確に示されている場合もあれば、文章で取り組み内容のみが説明されている場合もあります。そのため、求職者が複数企業を同じ条件で比較しようとすると、情報の意味や対象範囲を読み解く必要があります。
本調査の結果は、企業情報が「ない」ことだけではなく、「あっても比較しづらい」ことも企業研究の課題になっている可能性を示しています。
<横並び比較を阻む「データ不統一」の具体例>
・開示範囲の不統一:連結データなのか単体データなのかが企業によって異なる
・対象者の不統一:正社員のみの平均か、契約社員・パート等を含む全社データか
・集計期間の不統一:月平均残業時間か、年間総残業時間か
・表現形式の不統一:数値による定量データか、文章による取組説明のみか
■複数企業の比較で「比較しにくかった」側の回答は45.4%

複数の企業を比較検討する際の実感を聞いたところ、「どちらかといえば比較しにくかった」が37.1%、「とても比較しにくかった」が8.2%となり、合計45.4%が「比較しにくかった」側の回答となりました。
一方、「とても比較しやすかった」は0.8%、「どちらかといえば比較しやすかった」は22.5%でした。また、「そもそも複数社を横並びで比較しようとはしなかった」は4.0%でした。
▼複数企業を比較する際の実感(n=377)

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回答 |
割合 |
|---|---|
|
とても比較しやすかった |
0.8% |
|
どちらかといえば比較しやすかった |
22.5% |
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どちらともいえない |
27.3% |
|
どちらかといえば比較しにくかった |
37.1% |
|
とても比較しにくかった |
8.2% |
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そもそも複数社を横並びで比較しようとはしなかった |
4.0% |
※「どちらかといえば比較しにくかった」+「とても比較しにくかった」=45.4%です。なお、「そもそも複数社を横並びで比較しようとはしなかった」と回答した方を除いて集計した場合、「比較しにくかった」側は47.2%となりました。
■補足:企業情報を一覧で比較できるサービスへの関心も高い傾向
年収、残業時間、離職率、平均勤続年数、研修制度、女性管理職比率、男性育休取得率、男女の賃金差などを企業ごとに一覧で比較できるサービスがあれば使いたいと思うかを聞いたところ、「とても使いたい」が43.2%、「どちらかといえば使いたい」が48.5%となりました。合計で91.8%が利用意向を示す回答も多く見られました。
企業比較サービスの利用意向(n=377)

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回答 |
割合 |
|---|---|
|
とても使いたい |
43.2% |
|
どちらかといえば使いたい |
48.5% |
|
どちらともいえない |
7.7% |
|
あまり使いたくない |
0.5% |
|
使いたくない |
0.0% |
※「とても使いたい」+「どちらかといえば使いたい」=91.8%です。
■Career Reveal編集部コメント
今回の調査では、残業時間、平均年収、離職率、有給取得率など、企業選びで確認したい情報について、掲載有無や内容のばらつき、意味・定義・対象範囲の分かりにくさ、見つけにくさを感じるという回答が多く見られました。
企業の人的資本情報は、有価証券報告書、統合報告書、サステナビリティレポート、採用サイトなどに掲載される場合があります。一方で、掲載場所や表現、対象範囲は企業によって異なるため、求職者が複数企業を横並びで比較するには一定の手間がかかります。
企業選びでは、年収だけでなく、残業時間、離職率、平均勤続年数、研修制度、働き続けやすさなどを複合的に確認することが重要です。Career Revealでは、企業が開示する人的資本データを整理し、企業比較に役立つ情報提供を進めていきます。
■調査概要
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調査名:就職・転職活動における企業研究に関するアンケート
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調査対象:18〜49歳の就職・転職活動経験者/検討者
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有効回答数:377件
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調査方法:クラウドワークスを利用したインターネットアンケート
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調査時期:2026年7月
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調査主体:Career Reveal(株式会社エフペリ)
※本調査はクラウドワークス上で実施したアンケート調査です。回答者の属性や回答環境に偏りがある可能性があります。結果は調査対象者の回答傾向を示すものであり、すべての就職・転職活動者の実態を代表するものではありません。
■Career Revealについて
Career Revealは、企業の人的資本データを分かりやすく可視化するWebサービスです。有価証券報告書、統合報告書、サステナビリティレポートなどの企業開示情報をもとに、平均年収、残業時間、離職率、平均勤続年数、研修制度、女性管理職比率、男性育休取得率、男女の賃金差など、企業選びで参考になる情報を整理しています。
URL:https://www.career-reveal.com/
■会社概要
会社名:株式会社エフペリ
運営サービス:Career Reveal
URL:https://www.career-reveal.com/
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座一丁目15番7号 MAC銀座ビル3階
代表者:早見信吾(代表取締役)
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