【能登半島地震】発災から7か月、被災者の生活再建・被災地の復興を中長期的に支援する「つづける支援活動助成」助成先11団体を決定
この度、新たな助成事業「つづける支援活動助成」を立ち上げ、緊急期の支援のみならず、能登半島地震により被災された方々の生活再建に必要な支援を継続する11団体への助成が決定しました。助成総額は30,490,135 円となります。
これまでの能登半島地震復興支援について
ほくりくみらい基金は、令和6年(2024年)1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」の甚大な被害を受け、石川県域のコミュニティ財団として発災直後から被災地で復興支援を行う団体へ活動支援を行ってまいりました。
《主な実施助成事業》
令和6年能登半島地震 災害支援基金(第1次~第4次プログラムまで実施)
概要 :緊急時から復旧期・復興期まで被災地で支援を行う団体への支援金や活動ノウハウの提供
助成団体:59団体
助成総額:1018万円
「つづける支援活動助成」
概要 :被災者の生活再建や被災地域の復興のための中長期的な活動を支える支援金や活動ノウハウの提供
助成団体:11団体
助成総額:3049万円
「つづける支援活動助成」について
「つづける支援活動助成」は、緊急期の支援のみならず、能登半島地震により被災された方々の生活再建に必要な支援の継続を支えます。
発災から半年以上が経過した今もなお、復旧・復興への道のりは長く、被災者や被災地域に寄り添い、支える担い手・活動が引き続き必要です。
一方で、震災を機に、炊き出しや物資支援、子ども・中高生の遊びや学びを守る活動、避難先でのつながりや交流の場作りなど、たくさんの支援活動が生まれました。
数え切れないほどの課題がある中で、その一つひとつに向き合い、手を差し伸べて対応していく活動団体の皆さんの様子にささやかな、そして力強いこれからの希望を感じています。
「何かしたい!」と活動を開始された皆さんが、復旧・復興が進んでいくこれからにかけて、被災者の生活再建や被災地域の復興のために息長く活動をつづけることを支えたいと考え、本助成を企画しました。
今回の「つづける支援活動助成」では、48件、申請総額119,663,427円の申請をいただきました。
応募いただいた団体の本拠地は、
金沢市:23件
輪島市:7件
珠洲市:6件
七尾市:2件
羽咋市・白山市・野々市市・穴水町・中能登町・津幡町・内灘町・能登町・宝達志水町:1件
県外:1件
となりました。
限られた助成財源の中、今回は災害支援の助成実績のある全国のコミュニティ財団の方々に審査を行っていただき、石川県での復旧・復興活動の現状と、事業期間終了までに求められる支援活動等の状況を鑑み、被災された方々への支援につながると判断したものを助成先として決定しました。
助成を決定した11団体について
今回採択した11団体は以下のとおりです。
事業名 | 食をテーマとした、被災者と支援者との繋がりの拠点となるプラットフォーム形成と、支援・交流事業の継続 |
団体名 | かなざわオープンキッチン |
活動地域 | 金沢市、輪島市、珠洲市ほか |
事業概要 | 食をテーマとした、被災者と支援者との繋がりの拠点となるプラットフォーム形成と、支援・交流事業の継続を行うため、以下の7つの事業を実施する。 A)プラットフォーム造成と運営 B)金沢の避難者に向けた食事支援 C)現地ボランティアスタッフへの食事支援 D)農家支援 E)交流会開催 F)ワークショップを通じた食事支援/食育活動 G)復興イベントのサポート |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 被災直後から、「食べ物」を通した活動を継続しており、食べ物の意味が変わっていく中での活動はユニークである。 これまでの活動で、時期ごとに支援内容を変化させており、ニーズにそって対応している点を評価した。 様々な形の食事支援を実施予定だが、こもっている人たちがきて話せる場になるなど、うまく機能すればその場自体がコミュニティになっていくと思われ、とても良い活動だと思う。 実施事業が多岐に渡るので、整理しながら進めていただきたい。 |
事業名 | 能登半島地震で被災した子ども達への学校生活支援プロジェクト |
団体名 | NPO 制服バンク石川 |
活動地域 | 石川県全域・オンライン など |
事業概要 | 子育て中の被災者家族に対し、「制服などの無償提供」を行う。 「被災者応援まつり」にて衣類・食品などの物資支援を行う。 被災した子ども達(小学生〜高校生)に対し、「食事付き無料個別学習支援教室」を行う。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 制服の着用率82%という背景の中で、制服や学用品がないことで教育や学校へのアクセスが下がると思われる。地域としても必要な制服の物資支援に加えて学習支援もあることで、支援の幅が広がっていると思われる。 子どもに焦点を当てて、災害直後から活動を継続している点、アンケートを実施して感想・意見を取り入れて次の支援に繋げている点を評価した。 |
事業名 | 仮設住宅での生活支援と一時帰還者支援 |
団体名 | 一般社団法人 石川県災害ボランティア協会 |
活動地域 | 輪島市 |
事業概要 | 輪島市に活動拠点を設け、以下の事業を行う。 ・仮設住宅に入居する高齢者に対し、サロンやイベントの開催を通して交流機会をつくる。引きこもりや孤立を防止し、生きがいの発見へ繋げる。 ・学生ボランティアのマッチングを行う。 ・仮設住居入居者や一時帰還者へ、買い物、病院、行政、親戚知人友人宅など行きたい場所に送迎する移動支援を行う。また、輪島市在住の避難者ドライバーを雇用することで、在宅避難者の生活支援に繋げる。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 仮設住宅にアウトリーチし、孤立・引きこもりを防ぐことは災害関連死を防ぐことにも繋がる。こうした活動は重要と考え、評価した。予算も無理のなく理解しやすい内容であった。ニーズ把握がしっかりできており、団体として活動の継続性も期待できる。 |
事業名 | 「みんなの遊び場」の継続と「みんなの学び場」の開設事業 |
団体名 | のとルネ実行委員会 |
活動地域 | 七尾市 |
事業概要 | 七尾市の商業施設「パトリア」内にて、以下の2つの事業を行う。 1. 小学生以下の子どもたちが天候に関わらず遊べる「みんなの遊び場」の継続実施を行う。 2. 中高校生の居場所として、防音・吸音効果のあるパーテーションと、椅子と机を設置した「みんなの学び場」を開設し、落ち着いて勉強が できる場所を提供する。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 災害時には子どもの居場所がなくなってしまうことが多く、また七尾市は元々子どもの居場所が少ないという中で、人が集まりやすいテナントビルに居場所ができることは非常に重要だと評価した。この助成事業の後、継続できるような働きかけ、仕組みづくりを期待したい。 |
事業名 | 被災住家の所有者に対する建物相談・応急措置・復旧事業 |
団体名 | 建築プロンティアネット北陸 |
活動地域 | 七尾市、輪島市、珠洲市、能登町 |
事業概要 | 被災建物に現地訪問し、所有者からの相談に乗る。 現地調査は、現地に入っている支援団体等の要請等により実施し、支援団体の担当者、建物所有者、建築士 2 名以上にて行う。 ヒアリング、外観・内観調査、報告と助言、支援制度の説明、応急処置などを実施する。 被災者(建物所有者)が建物に対する理解、危険である理由・原因、その改善策、改善が難しい現実、活用可能な未来等をしっかりと理解し、正確な知識を持って正しく建物と向き合い、前向きに動き出せるよう後押しする。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 専門家の人手が足りておらず、事業者による相談も機能していない状況で相談のニーズが高いと思われる。建物自体の問題解決だけではなく、相談事業によって不安材料を払拭し、被災者の心理的ケアも進むのではないかと期待する。 一方で、住宅改修等でトラブルに繋がらないよう、リスクマネジメントを丁寧に行い、建築士会や他の専門職・団体の動き、行政との連携を密にしていただきたい。 |
事業名 | 子ども服・古着の無償配布を通した親子コミュニティ再構築+拠点運営による相談受付と情報提供 |
団体名 | 一般社団法人はぐネット |
活動地域 | 野々市市 |
事業概要 | 金沢市・野々市市・白山市周辺に避難している親子を主な対象とし、子ども服・古着の配布と、「住居・仕事・子育て生活」などの相談業務、情報提供を行う。 古着の配布をきっかけに、生活基盤がまだ不安定で金銭的な余裕がなく、避難先での子育て情報も少ない方々の相談にのり、情報提供を行うことで避難先での子育て中の孤立を防ぐ。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 2次避難している子育て世帯への支援として評価した。これまでの支援活動から相談受付・情報提供を含んだ一歩進んだ事業であり、これまでの活動状況や人脈から、引っ越した先で孤立しない環境を提供するための実行力を評価した。今後は行政との連携なども期待したい。 |
事業名 | 能登の食や伝統を未来へ繋ぐプロジェクト |
団体名 | 一般社団法人能登地震地域復興サポート |
活動地域 | 能登町 |
事業概要 | 以下の3つの事業を行う。 1. 輪島塗レスキュープロジェクトの一環として東京で、能登の発酵食や保存食を使った料理を輪島塗で食べてもらうイベントを開催する。 2. 三波公⺠館にて「復興マルシェ」を月に1回開催する。 3. 能登のおばあちゃんの知恵とレシピを画像、映像と共にまとめる。 |
助成額 | 2,995,000円 |
審査員講評 | 輪島塗レスキューは地域の文化を継続していく取り組みが興味深く、特色ある活動だと評価した。出し方・見せ方を工夫することで地域全体にとっての利益となるようにしていただきたい。 |
事業名 | 家財出しおよびコミュニティ支援 |
団体名 | 能登半島支援チーム |
活動地域 | 七尾市 |
事業概要 | 七尾市御祓地区にて、以下の2つの事業を行う。 1.被災家屋の片づけ・家財出し・修繕(家屋に住まれている方や、被災家屋から避難している方に対して、家屋の片づけや災害ゴミ出しを行う) 2.コミュニティ支援(被災者の方に向けて、心のケアを目的に人とのつながりを感じることができる炊き出しやイベントやワークショップを行う) |
助成額 | 2,510,000 円 |
審査員講評 | 熊本など、他の災害時の支援経験を活かして、今回の能登半島地震で支援を実施してきた実績を評価した。実施地区を限定して集中的に実施することで効果は必ず出ると見込んだ。 |
事業名 | 飯田高校旧1年生(2024年1月当時)への学習支援プロジェクト |
団体名 | オヤコノトコ |
活動地域 | 金沢市(金沢現地 + オンラインで珠洲と接続) |
事業概要 | 金沢市と珠洲市をオンラインで接続しながら、単なる学習支援ではなく、「震災がなければ送れるはずだった飯田高校での学校生活」を少しでも感じられるよう、当時のクラスメイトや同級生と「一緒に勉強している」「一緒に高校生活を送っている」と感じられるような学習環境づくり目指す。 |
助成額 | 995,135円 |
審査員講評 | 受益者数は少ないが、支援対象者が非常に具体的である。インパクトの範囲は狭いが高校生一人ひとりへの影響は大きいと思われる。 被災の影響を受けた学生の声を深くモニタリングできている団体と評価した。 |
事業名 | 街の銭湯が育むケアコミュニティと創造性の醸成 |
団体名 | 一般社団法人 仮かっこ |
活動地域 | 珠洲市及び金沢市の関係美術施設 |
事業概要 | 珠洲市内の銭湯「あみだ湯」の事業継承を完了し、銭湯の営業、こどもの居場所、ボランティアとのマッチング等を行う。 番台とロビーでの継続的なヒアリングとニーズ調査を行い、コミュニケーションの中から住民の問題意識を拾い上げ、復興プランへの提言やまちづくりの事業へ反映させる。 娯楽・文化交流が減少した現状に対し、アーティストとの交流や語り合うイベントを開催する。住民の建築廃材や被災家財の木材を焚べてお風呂を提供する「街を弔い 悲しみに寄り添うアートプロジェクト」を実施する。 |
助成額 | 3,000,000円 |
審査員講評 | 発災直後から、多くの人に入浴環境を提供し、支援実績があること、銭湯をコミュニティづくりになると捉え、事業を進めていこうとする点を評価した。若い人が来て集まるコミュニティになっている実態を申請書から読み取ることができ、勢いのある活発な団体であると感じられたので、今後も期待したい。 |
事業名 | 「ボランティア BASE 三井」の運営継続と運営体制の強化 |
団体名 | のと復耕ラボ |
活動地域 | 輪島市 |
事業概要 | 輪島市三井町を中心に奥能登でボランティアが滞在して、被災者のニーズに寄り添った様々な活動を行うための拠点として「ボランティア BASE 三井」の運営を継続する。 ボランティア BASE 三井の施設の管理運営、ボランティア希望者との連絡調整、被災者他のマッチング、団体の情報発信などを行う。 また、創造的復興を行っていくための新たな事業運営を目指した運営体制の強化を行う。 |
助成額 | 2,990,000円 |
審査員講評 | 災害時、こうした民間のボランティアセンター機能は重要である。他の申請事業の中でも特色があり、また必要性も高い。継続実施とそのための体制づくりを期待したい。 |
選考の過程
公募開始 :2024年5月10日
申請書提出締切 :2024年6月2日
選考委員会の開催:2024年6月20日・27日
選考の対象 :応募書類一式、団体への追加ヒアリング(必要に応じて実施)
選考委員名簿
石田 篤史(公益財団法人みんなでつくる財団おかやま 理事(初代代表理事))
庄田 清人(一般財団法人 ちくご川コミュニティ財団 理事/事業部長)
千野 和子(公益財団法人ふじのくに未来財団 理事)
ほくりくみらい基金 代表理事 永井三岐子よりコメント
災害支援はさまざまなステークホルダーとの連携が不可欠です。
ほくりくみらい基金では、採択団体の皆さんの活動を、助成金だけでなく、非資金面からもサポートしてまいります。
自治体や県外の支援団体等とも横のつながりをつくり、石川県での市民活動が根付くことで、今回の痛ましい災害を乗り越え「未来はつくれる!」と思える人や組織がどんどん増えていけば嬉しいです。
今後について
今後の助成プログラムについては現在準備中です。
準備が整い次第、ウェブサイトにて公募要項を公開します。
団体概要
名称:公益財団法人ほくりくみらい基金 (代表理事:永井 三岐子)
設立日:2023年4月3日
公益認定日:2023年12月1日
所在地:〒920-0031 石川県金沢市兼六元町15番28号
事業内容:地域課題の解決に向けて活動する当事者および支援者団体、事業体への助成金の公募・支給、プロボノやボランティア活性化の仕組みづくり など
オフィシャルWebサイト: https://hokuriku-mf.jp/
X:https://twitter.com/hokuriku_mirai/
Facebook:https://www.facebook.com/hokuriku.mirai/
2024年1月1日に石川県能登半島を中心に発生した令和6年能登半島地震で被災された皆さま、ならびにそのご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。皆さまの安全と被災地の1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
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