Ahrefs(エイチレフス)、1億 4,600 万件の検索結果を分析。「AI による概要」が表示されるクエリの特徴が判明
医療系 YMYL クエリで 44% 、理由系クエリで 60% が AI 回答。誤情報リスク高い領域でも AI 介入、境界線が明らかに
SEO ツール大手の Ahrefs は、1 億 4,600 万件の検索結果ページを分析し、 Google 検索の「AI による概要(AI Overviews)」がどのようなクエリで表示されやすいかを明らかにしました。
主要な調査結果
▪️ 全体の表示率: 21% のキーワードで AI による概要が表示

AI による概要は全検索結果の 20.5% に表示されており、約 5 件に 1 件の検索で Google の AI 生成コンテンツが表示されていることが判明しました。
▪️ YMYL クエリの 32.2 % で AI が回答

お金や健康に関わる重要情報クエリ「YMYL(Your Money or Your Life)」では、 32.3% で AI による概要が表示されてます。また、最も注目すべき発見は、医療系 YMYL(Your Money or Your Life)クエリの 44.1% で AI による概要が表示されていることです。これは全体平均の 2 倍以上にあたり、ハルシネーション(誤答)のリスクがあるにもかかわらず、 Google が重要な医療情報を AI に委ねている実態が明らかになりました。
▪️ 理由系クエリの 60% に AI が回答。ユーザーの「なぜ?」に AI が答える時代

内部クエリ分類器の分析により、「理由」を問うクエリで 59.8% という最も高い表示率を記録しました。「はい / いいえ」で答えられるブール型クエリでも 57.4% 、定義を求めるクエリでも 47.3% と高い数値を示しています。
これは、ユーザーが「なぜこうなるのか」「これは何か」といった説明を求める際、 Google が従来の検索結果よりも AI による直接回答を優先し始めていることを意味します。教育系コンテンツや解説記事を提供するサイトは、この変化に対応した戦略が必要になります。
▪️ 長いクエリほど AI が介入。7 語以上で表示率が 46% に
検索クエリの長さと AI による概要の表示率には明確な相関関係があります。 1 語のクエリでは 9.5% にとどまるのに対し、7 語以上の長いクエリになると 46.4% にまで跳ね上がります。また、質問形式のクエリでは 57.9% で AI による概要が表示され、非質問形式の 15.5% を大きく上回りました。
この傾向は、ユーザーが具体的で複雑な質問をするほど、 Google が AI に回答を委ねる傾向が強いことを示しています。ロングテールキーワードを狙った詳細なコンテンツ戦略を取っている企業にとって、 AI との競合は避けられない状況と言えるでしょう。
▪️ 業界による明暗:科学・医療は 40% 超、ショッピングは 3%
AI による概要の影響を強く受ける業界と、ほとんど影響を受けない業界が明確に分かれています。科学( 43.6% )、医療・健康( 43.0% )、ペット・動物( 36.8% )といった情報提供型の業界では表示率が高い一方、ショッピング( 3.2% )、不動産( 5.8% )、スポーツ( 14.8% )、ニュース( 15.1% )といったトランザクションやタイムリー性が重要な業界では低い数値となっています。
これは、 Google が商業的な意図が強いクエリや、最新情報が必要なクエリでは、 AI による概要よりも従来の検索結果を優先していることを示唆しています。 EC サイトやニュースメディアにとっては、比較的影響が限定的と言えるでしょう。
▪️情報収集型に特化:99.9% が Know クエリ
AI による概要が表示されるキーワードの 99.9% は「情報収集型( Informational )」および「 Know クエリ」に分類されています。一方、案内型クエリではわずか 0.9% 、商用型では 4.3% 、取引型では 2.1% と極めて低い表示率です。
この明確な偏りは、 Google が AI を「情報を教える」用途に絞り込んでおり、ナビゲーションや購入といった他の検索意図には慎重であることを示しています。情報提供型のコンテンツマーケティングを行っている企業は、 AI との共存または差別化戦略を考える必要があります。
まとめ
今回の調査により、 Google の「AI による概要」は情報収集型クエリ、特に医療・科学・理由系の分野で積極的に展開されている一方、ショッピングやローカル検索ではほとんど表示されないことが明らかになりました。
また、 AI による概要は頻繁に変化するものの、その核心的なメッセージは一貫しており、従来の SEO とは異なる「トピック全体での権威性構築」が重要になることが示されています。
企業は自社の事業領域が AI による概要の影響をどの程度受けるかを理解し、それに応じた戦略を立てることが求められます。
調査概要
主要調査:クエリ特性の分析
分析対象:1 億 4,600 万件の SERP データ
分析項目:86 種類のキーワード特性(YMYL、CPC、クエリの長さなど)
調査期間:2025 年 9 月時点のデスクトップ SERP
補足調査:コンテンツ変動の分析
追跡期間:1 ヶ月間
調査実施: Ahrefs コンテンツマーケティング・ディレクター ライアン・ロー
調査データの詳細
完全な調査レポートは、 Ahrefs 公式ブログにて公開中
「AI Overviews を生むクエリの特徴とは? 86 の要因と 1 億 4,600 万の SERP から判明」
Ahrefs(エイチレフス)について

Ahrefs Pte. Ltd. が提供する SEO 分析を主軸とした、AI 可視化・競合分析・コンテンツ作成支援・ウェブ分析・SNS 投稿機能などマーケターが必要な機能を網羅するマーケティング・オールインワンツール「Ahrefs(エイチレフス)」は、世界中で 60 万人以上のマーケターに利用されています。巨大なウェブクローリングインフラストラクチャーにより、毎日 80 億以上のページをクロールし、Google に次ぐ規模のインデックスを構築しています。
公式サイト: https://ahrefs.com/ja
本社所在地: シンガポール
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