2025年4月 日本初、人工衛星による地球低軌道での宇宙バイオ実験ユニットの実証実験へ

株式会社IDDKは共同ミッションとして独ATMOS Space Cargo社のPHOENIX Capsuleに実験ユニットを搭載し、2025年4月に米SpaceXのFalcon 9で打ち上げを計画

株式会社IDDK

トライアルミッション「MBSLAB-ZERO」

ミッションイメージ(ATMOS Space Cargoより提供)

株式会社IDDK(以下、IDDK)は、無人でも自動で作動する宇宙バイオ実験装置「Micro Bio Space LAB(MBS-LAB)」のトライアルミッション「MBSLAB-ZERO」を、地球低軌道で稼働させる実証実験を実施します。ドイツの宇宙スタートアップであるATMOS Space Cargo社(以下、ATMOS)との共同ミッションとしてATMOSのPHOENIX CapsuleにMBS-LABを搭載し、2025年4月にSpaceX のFalcon 9ロケットで打ち上げを予定しています。

このミッションでは、IDDKの顕微観察技術であるMicro Imaging Device (MID)技術を搭載した実験ユニットで宇宙(地球低軌道上)での顕微観察を含めた機能動作実証試験を行うことで、人工衛星を活用した宇宙バイオ実験の実現可能性を検証し、宇宙環境を活用した創薬、アンチエイジングなど様々なライフサイエンス分野の研究を後押しすることで、軌道上ライフサイエンス研究の新時代を切り開くことを目指します。

また、この実証実験は2024年CAMPFIREで行われたクラウドファンディングの支援を受けて実施されます。

MBSLAB-ZEROの外観

<IDDKの強み>

IDDKのキーテクノロジーは、特許取得済みの半導体センサーベース顕微観察技術「Micro Imaging Device(MID)」で、従来の顕微鏡のような対物レンズを必要としません。軽量、省スペースで高精細かつリアルタイムでの生体サンプル観察を可能にします。

宇宙ミッションでは、ペイロードのサイズや重さが打ち上げコストに直結しますが、MIDは従来の顕微鏡に比べ大幅な軽量化と省スペース化を実現できます。MIDを搭載したMBS-LABは、地球低軌道上における微小重力などの宇宙環境での細胞や小型生物の応答を無人の小型装置で観察できるようになります。

MIDチップ
MIDボードとRaspberry Pi ZERO 2W

MBS-LABパーツリスト

<ミッションの目的>

今回が初となるMBS-LABの実証実験「MBSLAB-ZERO」ミッションは、今後の大規模な商業・学術向けの宇宙環境を利用した研究プラットフォームの構築に重要なステップとなります。IDDKは主に以下の3点を今回のミッションの目的としています。

1.オートメーション運用の実証

MID技術が地球低軌道(LEO)の微小重力環境下で、電源供給やデータ管理システムなど、自動化されたシステムで連続的に顕微観察が行えることを実証します。

2.リアルタイムのデータ取得実証

微小重力下でのMIDやセンサーから顕微観察や実験環境のデータをリアルタイムに取得できることを実証し、生物サンプルを用いた幅広い研究に活用できることを示します。

3.国際宇宙ステーション(以下、ISS)以外での宇宙バイオ実験の可能性を実証

MBS-LABを用いることにより人工衛星での宇宙バイオ実験プラットフォームが可能であることを実証し、ISS以外での宇宙バイオ実験手段となり得ることを示します。

2030年のISS運用終了が近づく中、人工衛星を活用した宇宙バイオ実験プラットフォームを実証することにより、宇宙ステーションに依存しない新たな実験・研究環境の選択肢を世界に提供します。

MBS-LAB(筐体搭載前)

<Micro Bio Space LAB ― 宇宙バイオ実験の新時代へ >

オートメーションかつコスト効率の高い運用

MBS-LABは宇宙飛行士による操作を必要としないため、宇宙ステーションなどでの有人ミッションに依存しないことが大きな特長です。これにより、宇宙飛行士の作業時間やリソースに制約されることはなくなります。また、MBS-LABは多様なユーザーニーズに応えるためのオートメーション用オプションパーツラインナップ(様々な生物種に対する観察ユニットや培養チャンバーなど)の拡充を図り、ユーザーのアイデア次第で自由度の高い実験装置や手順を組むことも可能となります。

コンパクトかつ軽量な設計

宇宙環境でのミッションは、厳しい質量とサイズの制限があります。IDDKのMID技術は、実験ユニットのコンパクト化と軽量化の双方に対して圧倒的な優位性があります。そのため、より小さなスペースで複数の実験を実施することができ、打ち上げコストの削減や研究機会の拡大にもつながります。

サンプル回収の可能性

IDDKは今回のミッションパートナーであるATMOSをはじめ世界中に衛星パートナーがいます。パートナーたちはいずれも大気圏再突入によるサンプル回収技術の開発を進めており、将来的に、MBS-LABで軌道上の観察を行った後に地上へサンプルを持ち帰る選択肢も検討中です。軌道上で得たデータと地上での持ち帰ったサンプルの詳細な分析を組み合わせることで、宇宙バイオ実験の結果を多角的に解析できるようになります。

<今後の展望>

今回のミッションは地球低軌道での機能動作実証試験ですが、すでに2026年打ち上げを目指す商用フライトミッションを計画しています。

今後は研究機関やバイオ企業、製造業などに向けた高頻度でかつ低コストで手軽に利用できる「軌道上実験サービス」プラットフォームを確立していきます。

宇宙環境での実験・研究は、地球に住む人々への貢献だけでなく、人類の生活圏の宇宙への拡大を支え、新たな事業や産業の創出や既存産業の拡大などの産業的インパクトも期待されます。

このことを踏まえ、このプラットフォームでは、以下のような多様な産業や分野の研究支援への展開を目指していきます。

共通テーマ:すべての産業・分野における条件検討や宇宙環境を活かした実証実験。地上では再現できない条件下での基礎研究・技術実証。宇宙環境での新たなプロセス開発や既存技術の最適化。

創薬・健康長寿:スクリーニングや毒性試験の精度向上、開発期間短縮。宇宙向け医療技術の開発。

幹細胞、再生医療:微小重力環境を利用した高度なオルガノイド製造やバイオファブリケーションによるミニ臓器製造と再生医療や創薬などへの応用。幹細胞培養の最適化。

コスメ・ヘルスケア:宇宙環境がもたらす新しい美容・健康への可能性。新たな素材・材料の開発。宇宙ストレスを利用したエイジングケア研究。地上製品の宇宙応用。

食料品:微生物や植物などに由来する食品生産技術の確立・最適化。培養肉製造。

材料工学:微小重力下での現象(対流が起こらない、静水圧がない、等分散など)を利用した高品質結晶化による新たな素材の創出。

バイオテクノロジー:宇宙環境を活かした次世代バイオ技術の確立。合成生物学、宇宙バイオリアクター技術、宇宙環境対応微生物の研究。

現在、IDDKでは、今回の実証実験を先駆けにして、2026年打ち上げを目指す商用フライトに向けた相談受付を開始しています。

詳しくは*IDDKインフォメーション(iddk_info[at]iddk.co.jp)までお問い合わせください。

また、今回のミッションに関する追加情報は、今後数週間にわたって順次発表する予定です。

取締役CFO 吉岡康平からのメッセージ

宇宙空間でバイオサンプルを継続的・自律的に観察できるMID技術は、宇宙ライフサイエンス研究を大きく変革できる可能性があります。よりシンプルかつコスト効率の高い手法で、従来より高頻度で宇宙実験を行えるようになると考えます。さらに軌道上の実験と地上での解析を組み合わせることで、新薬の開発やオルガノイドの研究など多くの分野で革新的な進歩が期待できます。

従来の軌道上研究はISSのスケジュールや限られたスペースに左右されてきました。私たちは、地上の実験室のように気軽に宇宙実験を行える環境を構築していきたいと考えています。

今後は、業界や大学、政府機関を巻き込む強固なエコシステムを構築し、微小重力を活用した革新的な研究を推進していきます。

代表取締役CEO 上野宗一郎からのメッセージ

当社は、”いつでも、どこでも、だれでも、使える顕微観察技術を通し、世界中の人々のより良い未来の一助となる”という基本理念のもと、ワンチップ顕微観察装置マイクロイメージングデバイス(MID)技術の普及に取り組んでまいりました。その重要な応用先として、宇宙バイオ実験事業を手掛けています。宇宙バイオ実験事業のミッションとして、宇宙バイオ実験の民営化により、地上での研究だけでは解決できない人類課題に対してイノベーションを生みだす場を提供することを目指しています。

この度の実証実験は、当社の宇宙バイオ実験プラットフォームの構築と宇宙バイオ実験事業の発展に向けて大きな意義を持つ一歩となります。宇宙という新たなフィールドでの発見や技術開発を通じて地球に貢献するとともに、人類が宇宙で豊かに生活するための実験や研究を支えるインフラの一部となることを目指しています。

株式会社IDDKについて

会社名:株式会社IDDK
本社所在地:東京都江東区富岡1-12-8 アサヒビル309
代表取締役:上野 宗一郎
事業内容:光学レンズが不要な半導体センサーベース顕微観察装置の研究・開発・製造・販売と同装置によるサービスの提供
設立: 2017年6月
HP:https://iddk.co.jp

問い合わせ先
*E-MAIL: iddk_info[at]iddk.co.jp
*メール送信時には[at]を@に変更してください

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会社概要

株式会社IDDK

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URL
https://iddk.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都江東区富岡1-12-8 アサヒビル309
電話番号
-
代表者名
上野 宗一郎
上場
未上場
資本金
5610万円
設立
2017年06月