Blossom Energy、宇宙・海洋など、"重力に依存しない極限環境"への原子炉応用を拓く

燃料集合体の開閉によって臨界を制御する新方式を発明し、米国で特許を出願

株式会社Blossom Energy

株式会社Blossom Energy(本社:東京都台東区、代表取締役:濱本真平、以下「当社」)は、原子炉の燃料集合体を機械的に開閉することで臨界を制御する新しい反応度制御方式を発明し、2026年8月25日に米国特許商標庁へ仮出願を行いました。

あわせて、本方式の原理を計算で確認した結果を、2026年11月に米国アリゾナ州フェニックスで開催される米国原子力学会の冬季大会において発表いたします。技術論文「Geometric Reactivity Control by Mechanical Fuel Rearrangement in HTGR Microreactors」は、同大会の技術セッションに採択されています。

背景

原子炉の出力は、核分裂の連鎖反応の進みやすさを表す「反応度」を調整することで制御します。一般的な発電炉では中性子を吸収する制御棒を炉心に出し入れし、小型炉や宇宙用の原子炉では、中性子を反射する面と吸収する面を持つ円柱状の制御ドラムを炉心の周囲で回転させる方式も使われています。いずれも燃料は固定したまま、吸収材や反射材を動かして反応度を調整します。

制御棒の多くは緊急時に重力で落下させて挿入するため、微小重力の宇宙や動揺する船舶では設計の前提が変わります。制御ドラムは重力に依存しませんが、複数のドラムの駆動機構と、緊急時にドラムを回す機構が必要です。当社は、これらとは別の方法として、燃料そのものの配置を動かす方式を検討しました。

従来の反応度制御方式 | 株式会社Blossom Energy

主な取り組み内容と結果

当社が発明した方式は、燃料の総量を変えることなく、炉心を構成する複数の燃料要素の配置や、集合体としての形状を可逆的に変えることで反応度を制御するものです。配置が変わると中性子の減速や漏れ方が変わり、反応度が変化します。

今回の解析では、原理を確かめるための一例として、8個の燃料要素を歯車状に組み合わせ、一つの駆動で連動して開閉する形状を用いました。燃料要素の形や数、動かし方はこれに限らず、炉の用途に応じて選ぶことを想定しています。

CAD形状をそのまま扱えるモンテカルロ中性子輸送解析環境を社内に構築 | 株式会社Blossom Energy

当社がオープンソースのモンテカルロ計算コードOpenMCとDAGMCを組み合わせて構築した解析環境で、CADで設計した形状をもとに計算したところ、燃料の量を変えずに開閉の度合いだけを変えることで、未臨界から臨界を経て超臨界まで反応度を調整できることを確認しました。実際の燃料に近い装荷量を想定した計算でも、同様の効果が得られています。

燃料集合体の開閉によって臨界を制御する新方式を考案 | 株式会社Blossom Energy

当社にとっての意義

燃料を回転させて反応度を調整する方式は、燃料を収めた円筒を個別に回転させるものなど、過去にも提案されています。本方式は、燃料要素どうしの配置を変え、集合体の形状そのものを変える点が異なります。当社にとっての意義は次の3点です。

  • 制御棒を用いない反応度制御の選択肢を得た

    本方式は、運転中の反応度の調整を、制御棒の出し入れにも吸収材の移動にも頼らずに行えます。宇宙・月面や船舶など、重力の条件が地上と異なる環境で当社HTGRを使うための選択肢の一つとなります。

  • CADの設計形状から計算できる中性子輸送解析環境を社内に構築

    本成果は、可動部を含む複雑な形状をCADから計算モデルに直接変換できる環境によって得られました。この環境は遮蔽設計や臨界安全評価にも使え、今後の設計業務を支える解析基盤となります。

  • 日本のHTGR開発実績を活かせる炉心設計

    本方式は黒鉛減速材とヘリウム冷却という当社HTGRの基本構成を前提に検討しており、日本原子力研究開発機構(JAEA)の高温工学試験研究炉(HTTR)の運転実績と、その研究開発に従事した当社創業メンバーの知見を活かして設計を進められます。

宇宙・海洋などへの応用可能性

本方式は、重力方向や機器の姿勢に依存しない臨界制御を目指すものであり、地上とは異なる環境での原子炉応用に新たな可能性をもたらします。

宇宙・海洋などへの応用可能性 | 株式会社Blossom Energy

宇宙用途

宇宙空間では、微小重力環境や月面・惑星表面での運用を想定した原子炉システムが検討されています。

本方式は、燃料要素を対称的に動かすことで反作用トルクや角運動量の相殺を図り、宇宙機の姿勢制御への影響を抑えながら臨界を制御することを目指しています。

月面基地や惑星探査など、長期間にわたる電力・熱供給が求められる環境への応用可能性が考えられます。

海洋用途

船舶や深海など、船体の傾斜や揺動が生じる環境では、原子炉の制御方式に対して地上とは異なる設計上の要件が生じます。

本方式は、燃料の開閉によって臨界を設定することで、船体の傾きや動きに依存しない制御方式を目指しています。

これにより、海洋用高温ガス炉など、従来とは異なる原子炉システムの設計自由度を広げる可能性があります。

今後の展望 

当社は今回確認した原理を出発点として、実機に適した燃料要素の形状と駆動方式の検討、温度特性を含む炉心設計の最適化、実際の燃料装荷量での設計点の確定を進めてまいります。学会発表で得られる知見は査読誌への論文投稿に反映するとともに、今回の仮出願をもとに本出願を行う予定です。

今後も国内外のパートナーと連携し、地上にとどまらない原子力の利用領域を切り拓くことで、産業・モビリティ分野におけるカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

Blossom Energyについて

私たちは、過去20年以上にわたり原子炉をはじめ高温の熱輸送システムの研究開発を行ってきた、研究者が立ち上げた企業です。「熱の脱炭素化」をテーマに、次世代熱エネルギーシステムの開発を行っています。世界のエネルギー消費の約80%が依然として化石燃料に依存しています。製造業のGDP比率が高い日本では、特に熱エネルギーの脱炭素化が重要です。Blossom Energyは、「世界中のスチームをグリーン化し、温室効果ガス排出の10%を削減する」ことをミッションに、蓄熱電池をはじめとする次世代エネルギー技術の研究開発・製造・販売に取り組んでいます。

会社情報

企業名:株式会社Blossom Energy

設立:2022年1月

本社所在地:〒111-0032 東京都台東区浅草7丁目6−1

代表取締役CEO:濱本真平

URL:https://www.blossom-energy.co.jp/

採用ページ:https://herp.careers/v1/blossom

事業内容 :発電等に⽤いる設備の設計・製造・販売

お問い合わせ先

株式会社Blossom Energy 広報担当

お問い合わせ:https://www.blossom-energy.co.jp/contactus

mail:pr@blossom-energy.co.jp

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会社概要

株式会社Blossom Energy

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URL
https://www.blossom-energy.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区神田須田町2-3-12 12 KANDA 403
電話番号
-
代表者名
濱本 真平
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年01月