環境移送ベンチャーイノカ、海のモデル化で任意の海洋環境を解析する「環境移送解析サービス」β版をリリース

〜 サンゴ生態系の構築で培った環境再現技術を応用し、従来解析が困難であった養殖業など水環境の課題解決を目指す 〜

株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : ⾼倉葉太)は、サンゴを人工的に産卵させることに成功した高度な環境構築技術(=「環境移送技術」 )を応用し、任意の海洋環境をモデル化して水槽内閉鎖環境に再現することにより、従来の実海域からのアプローチではなく、ラボレベルでの環境解析を提供する事業(=「環境移送解析サービス」)の実証を開始しました。これにより、実際の海において解析が困難であったこれまで解決困難だった課題に対処できる可能性があり、養殖における大量斃死のメカニズム解明や、ブルーカーボンの定量評価といった点での効果を期待できます。

当社がミッションとして掲げる「海の見える化」を日本発の技術として推進するべく、企業や自治体、大学や研究機関と連携し、本年度中に10件のPoC実施を目指します。

 

※ 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。2022年、時期をずらしたサンゴの人工産卵に世界で初めて成功。
 
  • サービス提供の背景
海洋資源は、漁業・養殖業などの水産業だけでなく、海運、エネルギー、観光など様々な業界と密接な関わりがあります。また、海洋自体が重要な二酸化炭素の吸収源で、人為起源の二酸化炭素排出量の約30%を吸収しています。日本は世界有数の経済水域を保有する海洋国家であり、また全世界における造礁サンゴ約800種類のうち約450種類が沖縄〜鹿児島エリアに分布するなど、世界有数の海洋資源を有しています。海洋から生まれる価値は「ブルーエコノミー」と呼ばれ、日本が世界に誇る資源としての価値が見直されつつあります。(出典 4)
しかしながら現在、自然界の海洋環境では、発生した事象のメカニズムが解明できていないケースが数多く存在します。例えば、当社が創業当初より研究を進めているサンゴの大量死はもちろん、水産業・養殖業においても海産物の原因不明の大量斃死などが問題となっています。課題の背景として、自然環境における事象が、様々な環境要因によって複合的に引き起こされるものであり、従来のアプローチでは解析が難しいことが挙げられます。

環境解析を試みる上では従来、下記の点が困難とされてきました。
① 環境を構成する各種パラメータ(以下、環境パラメータ)のうち、センサー等によりデータとして取得可能なものが限定的であること
② 水温・水質等の取得可能な環境パラメータに関しても、天候等の影響により時系列でのデータの乱れが大きく、メカニズム解析においては不向きなケースが多いこと
③ 沖合・海中などの場合、定点での高頻度なデータ取得には多額のコストがかかること

イノカが環境移送技術により水槽内に再現したサンゴ礁生態系イノカが環境移送技術により水槽内に再現したサンゴ礁生態系

2022年2月、時期をコントロールした完全閉鎖系での人工産卵に世界で初めて成功(イノカ虎ノ門ラボ)2022年2月、時期をコントロールした完全閉鎖系での人工産卵に世界で初めて成功(イノカ虎ノ門ラボ)

 
  • 「環境移送解析サービス」概要
​​上述の困難性を乗り越えるべく、イノカはサンゴ礁生態系の構築で培った「環境移送技術」を応用し、水環境をラボ内の水槽内閉鎖環境に高度に再現・モニタリングすることで、従来では実現できなかった水環境の「見える化」を行うことが可能です。今後は、課題ごとにカスタマイズした手法による解析、専門家チームによる課題解決に向けたアドバイザリーを提供を目指し実証を推進いたします。
2022年秋頃にかけては、クローズドβ版として下記のサービス概要を想定しております。

<対象>
水環境(淡水も想定)における課題をお持ちの事業者 / 自治体さま
ex. 水産業(養殖を含む)における斃死、環境アセスメント、水質改善 など

<サービス提供フロー>
1.  事業者様ごとに課題のヒアリングおよび要件定義(無料)
2. 水槽内に再現可能な環境(”モデル環境”)のご提案(無料)
3. 専門家ネットワークから、適切な解析手法のご提案(無料)
4. 当社ラボにてモデル環境構築および解析 

 ※ 変更の可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

<今後のローンチ予定>
 2022年 8月1日 〜 10月31日:Closed β テスト
 2022年11月1日〜:β版正式ローンチ

独自のIoTモニタリングシステムMONIQUAによる環境パラメータの調整を行う独自のIoTモニタリングシステムMONIQUAによる環境パラメータの調整を行う

 
  •  本サービスの独自性と展望
「閉鎖系に環境を再現し、解析する」という今回のアプローチは、従来は自然の水環境をラボ内にて ①モデル化の手法、② どのように構築するか(生物の飼育、複数のパラメータの管理など)といった点に解が見出せておらず、一般的ではありませんでした。

株式会社イノカが研究開発を進める「環境移送技術」は、環境変化に非常に弱く、自然環境でも大量に死滅が進んでいるサンゴを持続的に成長させるのみならず、世界初の人工産卵に至らせることに成功しております。
この成果は、当社の「環境パラメータの制御」「生物飼育の知見」が高度であることの証左となっていることから、当社は中期的に環境のモデル化の手法や、閉鎖系ならではの新たな解析アプローチをすることを掲げております。

環境移送技術により実現する完全閉鎖系での解析アプローチには、下記の利点があります。

<閉鎖系における環境解析のメリット>
1. 実際の環境では取得が困難もしくはコスト高だった環境データを容易に取得可能  
 ex. 生体の健康状態指標、日次での海水の成分解析
2. 天候などの外乱によるデータの乱れがなく、メカニズム解析の際に扱いやすい
3. マルチオミクスをはじめとする様々な環境解析をローコストで実現可能

参考:沖縄県のサンゴのみで構成した「純国産サンゴ礁水槽」(イノカ虎ノ門ラボにて撮影)。外来DNAの混入を防ぎ、自然環境に近い生体解析を実現した。参考:沖縄県のサンゴのみで構成した「純国産サンゴ礁水槽」(イノカ虎ノ門ラボにて撮影)。外来DNAの混入を防ぎ、自然環境に近い生体解析を実現した。

当社は今後、海洋環境の「モデル化」「再現(=環境移送)」「解析」をパッケージとするソリューション提供を拡大することにより、従来得られていなかった海洋環境データおよび解析データを各海域ごとに蓄積し、独自性の高い「海洋環境データベース」の構築による世界中の「海の見える化」を推進することを目指してまいります。
 
  • 支援者からのコメント
株式会社ユーグレナ 執行役員CTO 鈴木 健吾 氏

私が携わっている生態学などの研究領域や事業領域において、特定の物質や微生物などが海の環境に与える影響などを評価することはとても難しいとされていました。イノカが従前から有する環境移送の技術に日進月歩で進む解析技術を組みこむことによって、精度の高い効率的な今まで実現できなかった海に与える影響評価が可能になると考えられます。これらのことから得られる知見を基にした適切な環境維持の方法や改善技術が提案されることで、実際に海の環境維持と改善が実現されることを期待しています。
 
  • 株式会社イノカについて
イノカでは、「人と自然が共生する世界をつくる」というビジョンをかかげ、天候をはじめとする条件が日々変化する海の中を閉鎖空間(=水槽)にモデル生態系を再現することで安定した環境でデータをとることのできる環境移送技術を活用して、海の見える化に取り組んでおります。

これまでも世界で初めて閉鎖空間でサンゴの産卵時期のコントロールに成功、モーリシャスでの重油流出事故における現地調査などサンゴの保全研究を進めております。


会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都港区虎ノ門3-7-10 ランディック虎ノ門2階
会社HP https://corp.innoqua.jp
お問合せ info@innoqua.jp
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