駅近の狭小地を、高価値の新築商業ビルへ。グッドデザイン賞受賞「コレタス吉祥寺Ⅱ」開発秘話
2024年度グッドデザイン賞、受賞に際して開発秘話を公開
株式会社トラスト・ファイブの開発した「コレタス吉祥寺Ⅱ」(建築設計:株式会社SALHAUS、施工:青木工務店)が、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
駅近という魅力はあるものの、30坪の限られた土地で、高い価値のある商業ビルをどのように開発したのか。スモールビル「コレタス」シリーズと、「コレタス吉祥寺Ⅱ」の開発秘話に迫ります。
開発秘話
――はじめに、「コレタス吉祥寺Ⅱ」の特徴を教えてください。
「『コレタス吉祥寺Ⅱ』は、吉祥寺公園通りに建つテナントビルです。周辺には数々の商店街があり、公園や神社・お寺の緑が豊かに広がっています。
建物の大きな特徴は、吉祥寺公園通りに面してランダムに設けた広々としたテラスです。そして、このテラスにつながる通路を建物の外観に沿うように配置しています。このテラスにより、建物を使う人たちが環境の良さを存分に感じることができます。
また逆に、建物の中で行われているさまざまな活動が、通りを歩く人々の目にも自然と映るようになっています。つまり、建物の中の賑わいが、街の景観の一部として生き生きと感じられるのです。」
――「コレタス吉祥寺Ⅱ」が生まれたきっかけを教えてください。
「土地を取得した時から、はっきりとしたコンセプトを持っていました。
まず、吉祥寺という街ならではの魅力、環境の良さを、使う人たちが存分に感じられる建物を作りたいと考えていました。
そして画一的で閉鎖的なビルにはしたくない、とも考えていました。ただし”画一的ではない”と言っても、見た目が派手なだけ、奇抜なだけのものは避けたいと思っていました。
さらに見た目だけではなく、土地の容積率を最大限活用するなど、経済的な面でも工夫を凝らす必要がありました」
――プロジェクトはどのように進められたのでしょうか?
「外観デザインは、建築設計のSALHAUSさんが、私たちの考えていたコンセプトを絶妙なバランスで形にしてくれました。とても積極的に提案してくださり、模型も何度も作り直してくださいましたね。
大切にしたのは、開発・設計・施工の3社がお互いを尊重し合い、意見を出し合える関係性です。基本設計の段階から、細かな打ち合わせを何度も重ねました」
――面白いエピソードはありますか?
「実は外観デザインの解釈は、人によって様々なんです。吉祥寺の街全体を表現していると捉える人もいれば、『ハーモニカ横丁』をイメージさせると言う人もいます。でも実際は、街と建物の関係性を大切にした結果として、このデザインになったんですよ。
何より嬉しいのは、入居されたテナントの皆さまにもこのデザインを気に入っていただいていることですね」
――特にこだわった点を教えてください。
「外観だけでなく、室内の細部までこだわりが詰まっています。具体的には、照明スイッチやトイレの鏡といった設備面の機器などですね。特に照明は、夜に歩道から見上げたときの見え方を何度も確認しましたね。
そうそう、館銘板のサインも、建物と同じ形にしています」
――苦労された点はありましたか?
「事前の計画が緻密だったため、大きな問題は起きませんでした。
ただ、近隣への配慮には特に気を使いました。吉祥寺通りに面しており、通り沿いには個人のお宅から東急百貨店のような大型商業施設まであるので、全体が『近隣』という認識でした。またバス通りだったため道路を通行止めにするわけにもいかず、夜間工事が必要な時期もありました。施工の青木工務店の皆さんには、大変がんばっていただきました」
――今回、グッドデザイン賞受賞に際してコメントをお願いいたします。
「吉祥寺の魅力を活かしたコンセプト、外観デザイン、そして商業的価値のそれぞれを高く評価いただき、嬉しく思っています。
もちろん私たちだけでは到達できないものでした。建築設計のSALHAUSさん、施工の青木工務店さんのお力があってこそ、今回名誉ある賞を受賞する機会をいただけたと考えています。
また、土地の元所有者さんから「いいものを造ってね」と託された想いを大切にできたと、誇らしく感じています。
今後もその土地の可能性を最大限に活かした唯一無二のビルを開発していきたいと、決意を新たにしました」
――今後の展望をお聞かせください。
「街の人に『あの建物に行くんだ』と思っていただけるような印象に残る建物を、そして街に受け入れられ長く愛される建物を開発していきたいと思います。
また今回、改めて吉祥寺の魅力、つまり土地の可能性と人々の多様性を実感できました。ぜひまた吉祥寺で開発に携わりたいですね。もちろん吉祥寺に限らず、ほかの魅力的な可能性を持つ土地でも開発を行っていきたいです」
竣工写真ギャラリー
グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
スモールビルブランド「コレタス」について
新しい価値の創造を目指すスタートアップ、ライジングを狙う中小企業、そして小回りの良さを求めるイノベーティブな大企業。
〈コレタス〉の使命は、そんな未来あふれるテナントを応援すること。
テナントファーストを信条に、彼らのような事業者に求められる「コレ!」を「+(たす)」スモールビルを造ります。
■ 私たちが大切にすること
(1) 私たちの選定眼 + テナントのパッション
ビジネス・商業に適した街を選定します。特に、これからの未来を切り拓くテナントが
「ここで勝負したい」と思えるような、特色のある街を選定します。
(2) スモール + 優れた土地 + 高性能
スモールではあるものの、テナントの成功へ手助けとなる利便性、集客性、
防災対応力の高い土地を選定します。その土地に適した空間・設備を備える建物を造ります。
(3) 新築 + サステナブル
テナントが求めている品質・性能に対応し、未来へ向けた可変性を持たせ、
更に環境負荷を考慮した、サステナブルなビル造りを推進します。
(4) デザインの追求 + 街への敬意
当社の都合が優先される画一的な仕様の設定はいたしません。その街へ敬意を払い、
テナント、投資家、地域社会が共存共栄を図ることができる一点物のビルをデザインします。
(5) コレ!を +(たす)
プロジェクトごとに綿密な周辺環境調査を行い、
テナントの価値を高めるコレ!を導き出し、+(たし)ます。
会社概要
設立27年。首都圏で20年以上マンションの企画・開発・販売に携わってきた不動産開発会社。長年のマンション開発で培ってきた経験・知識を活用し、2018年からはオフィスビルや商業ビルなどの収益不動産開発にも注力。2021年、スモールビルブランドを「コレタス」にリニューアル。
社名:株式会社トラスト・ファイブ
代表者:代表取締役 南薗 浩一
所在地:〒102-0082 東京都千代田区一番町13番地3 ラウンドクロス一番町5階
設立:1997年2月18日
資本金:8,000万円
事業内容:収益不動産の企画・開発事業
マンションや一戸建ての企画・開発・分譲事業
不動産コンサルティング事業、不動産売買事業
オウンドメディア事業
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