子どもを産むことは、義務でも務めでもない。産まない選択をした著者が一石を投じる『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』
◆産みたくない人がいて、産みたい人がいて、それでいい。
少し前に、女優の山口智子さんが「子どもをつくらない人生を選択した。夫婦2人の生活はほんとうに幸せで、一片の悔いもない」と発言したことがニュースになりましたが、女性にとっては、「子どもをつくる・つくらない」は、社会からの無言の圧力になっているのではないでしょうか。
「自分のために生きる」と言うと「身勝手」と感じられるのかもしれませんが、人生の道筋を決めるのも、責任をとるのも、結局は自分自身。
「子どものいない人生を、責任をもって生きていく」と決めたなら、あとは自分の選択した人生をまっとうするだけ。他人にどう言われても、どう思われても、気にする必要はありません。
60万部を超すベストセラーとなった『家族という病』(幻冬舎)の著者・下重暁子氏は、子どもをもたない選択をしながら輝く人生を送ってきました。本書は、そんな著者が「子どものいない生きかた」についてまとめたもの。結婚しても・しなくても、子どもをもっても・もたなくても、選択と決断の多い女性の人生。どんな生き方であっても、悩みは尽きません。
さまざまな悩みを抱える女性たちへ、前を向く力がもらえる1冊です。
◆著者からのメッセージ
「『家族という病』(幻冬舎)を出して以来、「家族」に関する書籍を続けざまに出版した。今度は、「子ども」である。私は子どもを作らない選択をした人間だから、そのことを書くしかない。きっかけとなったのは、ひとつの記事だった。ライフスタイル誌『FRaU』のロングインタビューで女優の山口智子さんが、「子どもを産まない選択をした」と話して話題になった。この記事をめぐってネット上で賛否両論、彼女の潔い生き方に拍手を送る人もいれば、結婚したら子どもを作るのが当たり前という常識派との間で、さまざまな意見が飛びかった。
私はその現象を見て心底驚いた。
そして何とも言えぬ違和感を抱いたのである。
なぜそんなことが話題になるのか。今頃になって……。
戦前・戦中の「生めよ、殖やせよ」と国が号令をかけた時代ならいざしらず、憲法に保障されているように、一人ひとりは個であり、自分が選んだ生き方に責任をもっていればいいわけで、そんなことは個人の選択に任されていると思いこんでいたからだ。
「勇気ある行動」だの、「それは彼女の生き方を理解して寄り添う人がいるから」だのと、とりあげて称賛するのも私にはよくわからない。他人がとやかく言うことではないからだ。
産みたくない人がいて、産みたい人がいて、それでいいではないか。
ごくごく自然の出来事なのに、こんな当たり前のことがネットで炎上するのは、「女は子どもを産むもの」という刷りこみがあるからではないか。子どもをもつ・もたないは個人が決めることで、国が指示するようなことではない。子どもについても、個人の選択に任されるべきで、その人自身の生き方と関わってくる。」
(はじめにより・一部抜粋)
◆「女性の選択」における多様性とはなにか?
本書の見出しの一部をご紹介。最終章には子どもをもたなかった10人の男女による匿名インタビューを掲載しています。
・自分のものさしで「淋しいでしょう」と言う人たち
・ほんとうは存在しない「圧力」を感じていないか
・母の愛がしんどくてたまらない
・子どもがいるだけで善になってしまう不思議
・五人に一人の女性が、生涯子どもをもちたくない
・子のない夫婦の、自立した個のある潔さ
・『消滅世界』が暗示する未来
・産みたくなければ産まなくていい
・毒母に育てられた女性が恐れること
・時代錯誤な国の少子化対策
・子どもは親のものではない
・家族は「しがらみを抱える集団」か、「個の集まった集団」か
・身内を重用するトランプ政権への警戒心
・結婚も出産も、向き不向きがある
・養子という選択
・愛する対象が欲しい
・孤独死する人は、ほんとうに淋しいのか
【目次】
第1章 子どもを産むことは無条件で良いことなのか?
第2章 子どもを持たない時代
第3章 家族という幻想が人を不幸にする
第4章 結婚してもしなくても。子どもがいてもいなくても
終章 わたしが子どもをもたなかった理由
【著者プロフィール】
下重暁子 (しもじゅうあきこ)
作家。日本ペンクラブ副会長。日本旅行作家協会会長。
早稲田大学教育学部国語国文科卒業。NHKに入局。アナウンサーとして活躍後フリーとなり、民放キャスターを経たのち、文筆活動に入る。ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる。公益財団法人JKA(旧:日本自転車振興会)会長等を歴任。
著書に、60万部を超すベストセラーとなった『家族という病』(幻冬舎)をはじめ、『持たない暮らし』(KADOKAWA/中経出版)『母の恋文』(KADOKAWA)、『「父」という異性』(青萠堂)、『老いの戒め』『若者よ、猛省しなさい』(集英社)などがある。
【書誌情報】
書名:『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』
定価:1,188円(税込)
判型:46判変形
頁数:240頁
ISBN:978-4-7612-7255-5
発行日:2017年5月22日
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