オンライン学習、メンタリング有無で「子どもの自己肯定感」に差。一斉休校から2年、コロナ禍の生活困窮世帯への支援活動報告会を3月8日に開催
認定特定非営利活動法人カタリバ(本部:東京都杉並区、代表理事:今村久美、以下カタリバ)は、2022年3月8日(火)、教育格差や子どもの貧困に関心のある教育関係者・一般生活者の方を対象に、生活困窮世帯へPCとWi-Fiを無償で貸出し、オンラインでの学習支援を行う「キッカケプログラム」の活動から見えてきた、コロナ禍の子どもの現状や、オンライン支援の可能性、そしてこれからについてに考えるオンラインイベントを開催します。また今回、本イベントを報道関係者に公開することになりましたのでお知らせします。
■10世帯に1世帯「必要な食料を買えない」経験も。コロナ禍で深刻化する子どもの貧困
令和3年に内閣府が公開した子育て世帯に対する『子供の生活状況調査の分析』 のデータによると、過去 1 年間に必要とする食料が買えなかった経験があるかという質問に対し、「よくあった」が 1.7%、「ときどき あった」が 2.7%、「まれにあった」が 6.9%、合わせた割合は 11.3%となっており、およそ10世帯に1世帯が、食料の調達にも困る経験をしていることが明らかになっています。(*1)
貧困を理由に、子どもは教育や社会経験の機会を失ってしまい、結果として学力不足の子どもや精神的に未成熟なまま大人になり、低所得あるいは所得がない生活を送るケースもあり、子どもの貧困の問題はさらに深刻化しているという見方もあります。
(*1)参考:https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html
■経済的困難を抱える世帯にPC&Wi-Fiを貸出、オンライン支援を行うキッカケプログラム
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校の長期化は、学校と子どもたちをインターネットでつなぐオンライン学習を進める契機となりましたが、コロナ禍で経済的負担が増加した家庭では、オンライン学習をするための環境すら整えられないケースも少なくありません。
カタリバでは、2020年にそのようなコロナ禍で困窮する子どもたちに学びの機会を届けるために、PCとWi-Fiを無償で貸出し、オンラインでカウンセリングや学習意欲を高めるサポートを行う「キッカケプログラム」を立ち上げました。「キッカケプログラム」では、ただPCとWi-Fiを無償で届けるだけでなく、オンラインによる、親と子それぞれに対するメンタリングや、学習意欲を高めるサポートを提供する活動を実施しています。
本プログラムの運営と並行して行ったクラウドファンディングでは多くの方々よりご支援をいただき、2020年8月からこれまでに1,009人の子供たちにオンラインでの支援を届けてきました。
▽キッカケプログラムwebサイト
https://www.katariba.or.jp/activity/project/kikkake/
■「デバイス貸与のみ」と「+人によるオンラインサポート」で子どもの自己肯定感に差
前述のキッカケプログラムにおいて、支援対象である家庭に対して調査を行ったところ、PCとWi-Fiのみを提供した家庭と、それに加えてメンターによるオンラインサポートを提供した家庭では、後者の方が子どもの自己肯定感が上がるということがわかりました。
※「私は自分に満足している」などの自己肯定感に関する10項目について4段階で回答
※キッカケプログラムでは、全世帯に対してPC+Wi-Fi貸与・オンラインサポートの両方を行っていますが、オンラインサポートの提供は順次となるため、一時的に「PC+Wi-Fi貸与のみ」というご家庭が存在しています。
▷オンラインサポートによる自己肯定感の向上
「オンラインサポートを受けた家庭」と、「オンラインサポートを受けなかった(PC・Wi-Fiのみを提供した)家庭」の2つに対し、「私は自分に満足している」などの自己肯定感に関する10項目について「はい」「どちらかといえばはい」「どちらかといえばいいえ」「いいえ」の4段階で回答をしてもらった結果、メンターによりオンラインサポートを利用していない(PC・Wi-Fiのみを提供した)グループでは21ポイント減少、一方で、オンラインサポートを利用したグループは、4ポイント増するという結果が得られました。この結果から、オンライン環境だけでなく、人が介在してメンタリングを行うというオンライン支援をセットで行うことの有用性が推測されます。
▷キッカケプログラムのサポートを利用している保護者・子どもたちの声
さらに、キッカケプログラムのオンラインサポートを受けた家庭の保護者・子どもからは、以下のような声も聞かれています。
- 高1男子
- 小5男子の保護者
プログラミングも楽しいとの事で一生懸命取り組んでおります。月に一度の親のミーティングもメンターに笑顔で優しく迎えていただき悩み事や相談事を熱心に聞いていただき色々な情報のご提供も有難いです。」
- 高3男子の保護者
昨年度はオンライン英会話教材の受講成果もあり、英検2級の取得をすることができました。今年度は準1級取得を目標に学習をしております。
このように、意欲的に検定を受けることにも繋がり、学習に対するモチベーションも以前より、高くなったと感じております。」
- 高2女子の保護者
- 高1女子
去年からパソコンを借りてYouTubeなどで勉強したりして昔より私が明るく楽しく生活出来ている気がします。」
■コロナ禍における生活困窮世帯への支援から見えてきた現状を語るイベントを3/8開催
新型コロナウイルス感染拡大による一斉休校から2年が経ちますが、この2年間で、人々の生活、そして子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しました。コロナ前の生活には戻らないという見方も多い中で、私たちは未来に対してどのように向き合えばよいのでしょうか。
前述の通り、キッカケプログラムのサポートを通して見えてきた成果もありますが、同時に浮き彫りになってきた課題もあります。それを受けてこの度、コロナ禍における生活困窮世帯の子どもたちへの支援を振り返るとともに、今後のために必要なことを考えるためのオンラインイベントを開催することになりました。
【開催概要】
開催日時:2022年3月8日(火)19:30~21: 00
環境:オンライン配信(Zoom/YouTube配信を予定。参加用URLは追ってご案内します。)
申し込みはこちら:https://www.katariba.or.jp/event/36648/
(*報道関係者はこちらからお申込みください:https://www.katariba.or.jp/report/ )
申込締切:2022年3月7日(月)23:59まで
費用:無料
対象:
・日頃からカタリバを支援してくださっている方、貧困・子ども支援・教育等のテーマに関心がある方、教育や福祉分野に携わっている方、報道関係者、学生など、どなたでもご参加いただけます。
【プログラム】
19:30 開会
19:35 コロナ開始から2年間、子どもたちの現状
20:00 キッカケプログラムの活動報告
20:30 貧困の子ども支援の課題とこれから
20:45 質疑応答
21:00 終了
※プログラム内容と時間は変更になる場合がございます。
【登壇者】
■加賀 大資 | Daisuke Kaga
東京都足立区にて、貧困や孤立など様々な困難を抱える子どもに向け居場所を兼ねた学習・食事・体験支援の複合型拠点、アダチベースを立ち上げ、運営する。現在は、外国ルーツの子どもたちや全国の困窮世帯向けオンライン支援事業を兼任し、生育環境に起因する教育格差に対する事業を統括する。
■中島典子 | Noriko Nakajima
新卒でメガバンクに入行。息子出産を機に、育休中はNPOやベンチャーでのボランティアに参加、ITベンチャーへ転職。その後、息子や中学生の弟との関わりの中から「教育」、そして「伴走」への可能性を大きく感じ、カタリバへ転職。現在はキッカケプログラム事業のメンバーとして活動。
■田村真菜 | Tamura Mana
■【団体紹介】認定特定非営利活動法人カタリバ
どんな環境に生まれ育った10代も、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育める社会を目指し、2001年から活動する教育NPOです。高校への出張授業プログラムから始まり、2011年の東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供するなど、社会の変化に応じてさまざまな教育活動に取り組んでいます。
<団体概要>
設立 :2001年11月1日
代表 :代表理事 今村久美
本部所在地:東京都杉並区高円寺南3-66-3 高円寺コモンズ2F
事業内容 :高校生へのキャリア学習・プロジェクト学習プログラム提供(全国)/被災地の放課後学校の運営(宮城県女川町・岩手県大槌町・福島県広野町・熊本県益城町)/災害緊急支援(西日本豪雨、令和元年東日本台風、熊本豪雨)/地域に密着した教育支援(東京都文京区・島根県雲南市・島根県益田市)/困窮世帯の子どもに対する支援(東京都足立区)
URL : https://www.katariba.or.jp/
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