MediaTek、新しい「オールビッグコア」設計により、スマートフォンの性能と電力効率を最大化するフラッグシップチップセット「Dimensity 9300」を発表
一段と強化されたSoCがオンデバイスAI処理に対応し、シームレスでセキュアなエッジAIエクスペリエンスを実現
MediaTekのプレジデントであるJoe Chenは、次のように述べています。「Dimensity 9300はMediaTek史上最も強力なフラッグシップチップであり、当社の革新的な『オールビッグコア』設計により、フラッグシップスマートフォンのコンピューティング能力を大幅に向上させることができます。この独創的なアーキテクチャに、アップグレードした当社のオンチップAIプロセッシングユニット(APU)を組み合わせることで、開発者はエッジAIやハイブリッドAIコンピューティング能力の限界に挑戦することができ、生成AIアプリケーションの新時代が切り開かれます。」
MediaTekの次世代APU 790 AIプロセッサは、Dimensity 9300に統合され、生成AIの性能とエネルギー効率を大幅に向上させ、より高速で安全なエッジコンピューティングを実現できるように設計されています。APU 790は、整数および浮動小数点演算の性能を倍増させつつ、消費電力を45%削減します。また、演算子を高速化するためにTransformerモデルを採用したことで、処理速度は前世代に比べて8倍高速化され、画像生成はStable Diffusionを活用することで1秒以内に完了します。
MediaTekは、混合精度演算に対応したINT4量子化技術を開発しており、当社のNeuroPilotメモリハードウェア圧縮機能と組み合わせることで、メモリ帯域幅の利用効率を高め、大規模AIモデルのメモリ要件を大幅に削減することができます。APU 790は、NeuroPilot Fusionに対応しています。これは低ランク適応(LoRA)を継続的に実行でき、1B、7B、13Bのパラメータ数を持つ大規模言語モデルに対応し、最大33Bまで拡張可能です。
MediaTekの豊かなAIエコシステムの要素として、Dimensity 9300は、Meta Llama 2、Baichuan 2、Baidu AI LLMなど、最先端の主要な大規模言語モデルに対応しています。これによって、開発者はマルチモーダル生成AIアプリケーションを迅速かつ効率的に実装し、テキスト、画像、音楽などを対象にした生成AIエクスペリエンスをユーザーに提供することができます。
Armの最新のフラッグシップGPUであるArm(R) Immortalis(TM)-G720を搭載したDimensity 9300は、モバイルゲーミングエクスペリエンスを向上させます。Dimensity 9300は、Dimensity 9200と同レベルの消費電力でありながら、GPUの性能は約46%も向上しています。さらに、Dimensity 9300を同レベルの性能を持つ前世代のチップセットと比較すると、GPUの消費電力を40%も削減しています。これにより、ユーザーはバッテリー寿命を気にすることなく、性能を大幅にアップグレードすることができます。
Dimensity 9300を搭載したスマートフォンは、同チップセットの卓越したオクタコアCPU設計とMediaTekの第2世代ハードウェア・レイトレーシング・エンジンを組み合わせることで、滑らかな60FPSでコンソールレベルのグローバルイルミネーション効果を発揮します。さらに、この強力なチップセットにより、ユーザーはシームレスなマルチタスクが可能になるため、ゲームとビデオストリーミングを同時に楽しんだり、プレイ中に別のビデオを視聴することもできます。
Dimensity 9300は、低消費電力のAI-ISPと、60fpsで最大4K解像度の常時オンHDRを組み合わせることで、スマートフォンの写真やビデオの撮影を革新します。また、このチップセットは、プロ品質のリアルタイムぼかし調整機能を備えた30fpsの4Kシネマティックモードや、4K AIノイズリダクション(AI-NR)、RAW写真およびビデオのAI処理にも対応しています。さらに、Dimensity 9300は次世代スマートフォン向けAndroid 14の新しいUltra HDRフォーマットに対応しています。Ultra HDRは、スマートフォンの写真にとって大きな進歩であり、写真をより鮮やかに見せつつも、汎用的にサポートされているJPEGフォーマットとファイルの互換性を保持しています。さらに、Dimensity 9300は画期的な環境光適応型HDRリカバリー技術をサポートし、写真撮影機能をさらに向上さています。
Dimensity 9300ディスプレイシステムは、このチップセットの強力なオンデバイスAI機能を活用することで、画像中の主要オブジェクトと背景をリアルタイムに検出します。MiraVision PQ(画質)エンジンと組み合わせることで、主要オブジェクトの最適なコントラスト、シャープネス、カラーを動的に調整し、画像全体を強化して奥行き感を出すことで、今日のフラッグシップDTVに匹敵する臨場感あふれる映像体験を実現します。
接続性はユーザーエクスペリエンスの核となるため、Dimensity 9300は最大6.5GbpsのWi-Fi7速度に対応し、さらにMediaTek Xtra Range(TM)技術を統合することで、より優れた長距離接続を可能にします。MediaTekのマルチリンク・ホットスポット技術により、競合ソリューションと比較して、Dimensity 9300はスマートフォンのテザリング速度も最大で3倍向上しています。
MediaTek Dimensity 9300のその他の主な機能は以下のとおりです。
· ビッグコアによる性能向上:TSMCの第3世代4nmプロセスで製造され、最大3.25GHzの動作速度のArm Corte(TM)-X4コアを4基と、最大2.0GHzで動作するCortex-A720コアを4基搭載したことで、最高の性能を発揮します。
· より高速のディスプレイ:180HzのWQHDと最大120Hzの4Kに対応し、驚異的なビジュアルを提供します。また、折りたためるフォームファクタのデュアル・アクティブ・ディスプレイにも対応しています。
· シームレスな5G接続:5G R16モデムは、4CC-CAサブ6GHzおよび8CC-CA mmWaveに対応し、MediaTekのUltraSave 3.0+技術により電力効率を向上させています。
· 高速メモリ:現時点で利用可能な最高速度のLPDDR5T 9600Mbpsメモリに対応しています。
ユーザーエクスペリエンスを中心とした上記の機能に劣らず重要な機能として、Dimensity 9300には、フラッグシップのAndroidデバイス用の優れたセキュリティ機能を備えています。プライバシーを重視したこのチップセットのセキュリティ設計は、起動時やセキュアなコンピューティング実行時に重要なプロセスを保護することで、データアクセスに対する物理的な攻撃を防御します。Cortex-X4およびCortex-A720プロセッサは最新のArm v9アーキテクチャに基づいて構築されており、同チップセットはArmの先進的なMemory Tagging Extension(MTE)技術に対応しているため、開発者は実装する前であっても後であっても、メモリ関連のバグを簡単に発見することができます。ユーザーの安全を守り、開発プロセスを加速することから、OEMメーカーは市場投入時間を短縮することができます。
Dimensity 9300チップセットを搭載した最初のスマートフォンは、2023年末までに発売される予定です。MediaTekのDimensityポートフォリオの詳細については、 https://i.mediatek.com/mediatek-5g/jp をご覧ください。
MediaTek Inc.について
MediaTek Inc.(TWSE:2454)は、その製品が年間約20億台のコネクテッドデバイスに採用されているグローバルファブレス半導体メーカーです。モバイル、ホームエンターテイメント、コネクティビティ、およびIoT製品向けの革新的なシステムオンチップ(SoC)の開発で市場をリードしています。イノベーションに対する積極的な取り組みにより、電力効率に優れたモバイルテクノロジーや自動車用ソリューション、高度なマルチメディアソリューションを含む主要テクノロジー分野で市場を牽引する地位を確立しています。それらの技術はスマートフォン、タブレット、デジタルテレビ、5G、音声アシスタントデバイス(VAD)、ウェアラブル端末など幅広い製品に活用されています。MediaTekは、スマートテクノロジーを通じて、人々が視野を広げ、容易に目標を達成できるようサポートを行っていきます。世界のブランド企業と協業して、優れたテクノロジーを誰もが利用できるようにすることを、企業活動の原動力としています。
詳しくは弊社HPをご覧ください。https://www.mediatek.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像