成蹊大学×西武鉄道 産学共同研究
駅ナカ店舗利用者の購買行動の研究:SDGs11「住み続けられるまちづくり」を目指して
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための17の国際目標です。成蹊大学(学長 森雄一、東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1)と西武鉄道株式会社(代表取締役社長 小川周一郎、埼玉県所沢市くすのき台一丁目11番地の1)は、この11/17番目の国際目標、SDGs11「住み続けられるまちづくり」実現のための産学共同研究を実施しました。
■分析結果
一年度目の2024年度は、「駅ナカ店舗利用者の購買行動の研究(プロジェクト・リーダー:永野 護 成蹊大学 経済学部教授)」の実証研究を実施しています。本研究は、2023年1月1日~12月31日の西武鉄道41駅の乗降者数、駅ナカ店舗32商品別売上数量・価格単価、天候、気温、湿度、駅周辺半径1キロメートル内競合他店数のデータを用い、乗降者数と駅構内店舗の商品販売数量にかかる分析を行い、鉄道利用者が駅構内店舗において、どのような購買行動の特徴を持っているのかを明らかにしました。実証分析結果は次の通りです。
◆ポイント
1.西武線乗降者数と売上数量(報告書Executive Summary 5参照)
● 駅構内店舗のうち、改札外店舗・改札内外店舗では、乗降者数の増加はほぼすべての商品売上に対しプラスに働く。
● 改札内店舗では、乗降者数の増加がもたらす売上数量への影響は、一部の商品に限られるが、その影響は改札外店舗・改札内外店舗よりも大きい。
2.価格ディスカウントと売上数量(報告書Executive Summary 7参照)
● 駅構内店舗では、価格ディスカウントによる売上への影響は、乗降者数の増加に比べ効果が小さい。
● 改札内店舗、改札外店舗ともに、価格引き下げが売上増を生む商品は32品目中4~6品目である。
3.気象条件と売上数量(報告書Executive Summary 8-9参照)
● 1℃の気温上昇は、32商品中、10品目ずつの商品に売上増加と減少の双方をもたらす。
● 1%の湿度上昇は、32商品中、21品目の売上数量が減少するが、売上増は3商品のみである。
4.駅周辺競合他店の影響(報告書Executive Summary 10参照)
● 改札内店舗では、駅周辺競合他店数の増減が売上へ影響する商品数は3/32品目である。
● 改札外店舗、改札内外店舗では、 多くの商品が、駅周辺競合他店数の増減が売上へ影響する。
■実証研究の概要
標本 |
分析対象データ |
|
---|---|---|
西武鉄道乗降者数 |
2023年1月1日~12月31日 |
41西武鉄道駅 |
駅構内店舗商品売上数量・売上単価 |
2023年1月1日~12月31日 |
32商品 |
気象条件(天候・平均気温・湿度) |
2023年1月1日~12月31日 |
出所:気象庁 |
西武鉄道駅所在地 平均所得データ |
2022年度 |
市区町村統計データ |
駅半径1キロメートル以内競合小売店舗 |
2023年1月1日~12月31日 |
NAVITIMEより算定 |
◆参考
SDG11-1 2030年までに、すべての人が、住むのに十分で安全な家に、安い値段で住むことができ、基本的なサービスが使えるようにし、都市の貧しい人びとが住む地域(スラム)の状況をよくする。
SDG11-2 2030年までに、女性や子ども、障害のある人、お年寄りなど、弱い立場にある人びとが必要としていることを特によく考え、公共の交通手段を広げるなどして、すべての人が、安い値段で、安全に、持続可能な交通手段を使えるようにする。
SDG11-3 2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める。
SDG11-4 世界の文化遺産や自然遺産を保護し、保っていくための努力を強化する。
SDG11-5 2030年までに、貧しい人びとや、特に弱い立場にある人びとを守ることを特に考えて、水害などの災害によって命を失う人や被害を受ける人の数を大きく減らす。世界の国内総生産(GDP)に対して災害が直接もたらす経済的な損害を大きく減らす。
SDG11-6 2030年までに、大気の質やごみの処理などに特に注意をはらうなどして、都市に住む人(一人当たり)が環境に与える影響を減らす。
SDG11-7 2030年までに、特に女性や子ども、お年寄りや障がいのある人などをふくめて、だれもが、安全で使いやすい緑地や公共の場所を使えるようにする。
SDG11-a 国や地域の開発の計画を強化して、都市部とそのまわりの地域と農村部とが、経済的、社会的、環境的にうまくつながりあうことを支援する。
SDG11-b 2020年までに、だれも取り残さず、資源を効率的に使い、気候変動への対策や災害への備えをすすめる総合的な政策や計画をつくり、実施する都市やまちの数を大きく増やす。「仙台防災枠組2015-2030」にしたがって、あらゆるレベルで災害のリスクの管理について定め、実施する。
SDG11-c お金や技術の支援などによって、もっとも開発の遅れている国ぐにで、その国にある資材を使って、持続可能で災害にも強い建物をつくることを支援する。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。