難治性疾患をもつ就労者の約4割が 「会社から配慮を受けていない」
—病気とワークエンゲージメントに関する調査—

一般社団法人ピーペック(東京都世田谷区/代表理事:宿野部 武志)は30~60代の就労者1,093人(うち533人は難治性疾患(難病)をもつ)を対象に「病気とワークエンゲージメント」等に関する調査を実施しました。
育児・介護と仕事の両立支援が法制度として定着しつつある一方、病気の治療と仕事の両立支援は2026年4月にようやく事業主の努力義務化が施行されたばかりです。これまでの調査は病気をもつ当事者だけを対象に、その就労課題を明らかにしようとしたものが中心で、病気のある人・ない人を同条件で比較した就労調査はほとんど行われてきませんでした。本調査は特にワークエンゲージメント等が難治性疾患のある・なしでどう変化するかを含め、その実態を明らかにすることを目的としています。
調査概要
調査対象:n=1,093人/全国30〜60代の就労者/うち通院を要する難治性疾患(難病)をもつ群:533人、もたない群:560人
調査期間:2026年2月19〜24日実施
調査委託先:株式会社アクセライト
調査方法:Webアンケート
※この調査は公益財団法人 洲崎福祉財団助成事業(令和6年度継続助成)を受けて実施しています。
調査実施の背景
難治性疾患とは
医学的に「治療が難しい疾患」の総称。難病を含む広い概念で、法律上の定義はなく、完治が困難・長期通院を要する疾患全般を指します(パーキンソン病・潰瘍性大腸炎などの指定難病のほか、がん・糖尿病・関節リウマチなども含まれる場合がある)。
本調査では、定期的な通院を要する難治性疾患をもつ就労者(以下、「難治性疾患をもつ就労者」という)、もたない就労者を対象としています。難治性疾患をもつ就労者には、症状に波があり、外見からは判断できない疾患が多く含まれます。
背景と調査への思い
一般社団法人ピーペックは2019年の創設以来、病気をもつ人たちの“こえ”を社会に届ける活動を続けてきました。難治性疾患をもつ人たちと協働する中で常に話題に上がるのが就労の課題です。「体調に波がある」「その日にならないとどれくらい動けるかわからない」そうした日々の揺らぎを抱えながらも「働き続けたい」と工夫を重ねる人たちがいます。難治性疾患をもつ人たちの就労困難性への支援という枠組みだけでなく、仕事への思いや情熱、いわばワークエンゲージメントというプラスの側面も可視化することが本調査の出発点です。
近年、治療しながら働く就労者の増加を背景に、法整備が急速に進んでいます。2024年、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化となりました。今年4月には治療と仕事の両立支援が努力義務化、7月には障害者法定雇用率の引き上げが予定されています。こうした背景の中、企業現場の実態を就労者の視点から明らかにするために本調査を実施しました。
調査結果
難治性疾患をもっていると伝えている就労者の約4割が「会社から具体的配慮を受けていない」
調査によると難治性疾患を会社に伝えている就労者の39%が「会社からの具体的な配慮がない」という結果となりました。61%が「配慮がある」と回答し、具体的な配慮としては「休暇・勤怠の調整」、「通院への配慮」「体調に応じた業務・負荷の軽減」などが挙がりました。休みやすさや仕事環境などが配慮として認識されています。
※難治性疾患をもっていることを会社の誰にも伝えていないと答えた人は83人、全体の16%に上りました。

会社からの配慮(一部)
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急な体調不良の際、休みやすく休暇取得の案内をしてもらえるなど配慮してもらっている
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1ヶ月に一回通院の為休みが取れる
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力仕事が必要なポジションの仕事は免除してもらっている
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温かい励ましが継続的に行われています
難治性疾患をもつ就労者の約半数は具体的な配慮が必要
一方で、「会社からの具体的な配慮が必要」と答えているのは、難治性疾患をもつ就労者の45%となりました。必要だと思う配慮には「理解・精神的サポート」や、急な体調不良や通院などによる「休暇・勤怠の調整」、「体調に応じた業務・負荷の軽減」などが挙がりました。具体的な対応だけでなく、理解を求める意見が多くありました。(※前問で既に会社から受けている配慮を回答した人はそれ以外を回答)

求める配慮(一部)
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日々の体調管理が、非常に困難なので、理解を示してほしい
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休みが取りやすい雰囲気
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症状が出た時に休憩したい
難治性疾患をもつ就労者は自分は「仕事に熱心である」と感じている
仕事に関してどう感じているかを問う質問で、「仕事に熱心である」に対して、難治性疾患をもつ群は「全くない」の割合が低く、「よく感じる」が高い傾向がありました。

難病になると、短期離職のリスクが上がる可能性
難治性疾患をもたない560人に、「もし難治性疾患になった場合、今の勤務先にいつまで勤めたいか」を仮定で質問したところ、「半年程度」の割合が現状の6%から12%へと約2倍に増加。一方、「6〜10年程度」は9%から4%に減少しました。
難治性疾患の発症が勤続意欲に大きな影響を与えることが示されています。適切な支援があれば防ぎうる離職リスクでもあることがわかりました。

一般社団法人ピーペック
理事/CKO/CHRO 武田 飛呂城のコメント

今回の調査結果から、難治性疾患をもっていることを会社に伝えている就労者の約4割が配慮を得られていないことが明らかになりました。また、難治性疾患をもつ人のうち約16%は病気を伝えずに働いており、不利益を恐れているであろう現状がうかがえます。
また、難治性疾患をもつ人ともたない人でワークエンゲージメントを比較したところ、仕事への熱心さが、いくつかの質問で難治性疾患をもつ群の方が有意に高いことを示唆する結果となりました。
一方、難治性疾患をもたない人たちの短期離職リスク(半年程度での離職を考えている)が、難治性疾患になったと仮定すると倍増する結果となったことは、難治性疾患の発症によって人材流出のリスクが高まることを示しています。
現在、就労人口の減少と共に、企業はどのように人材を獲得し、働き続けてもらうかが大きな課題となっています。職場に、潜在的に病気をもつ人がいるという前提の下、様々な施策を検討しておくことが、将来的な人材流出を防ぐためにも重要です。
今回の結果を踏まえ、難治性疾患をもつ人たちの就労を、疾患による制約を補うという従来の支援モデルから脱却し、それぞれの力を組織の力とする価値創造モデルに転換する一助となればと考えています。
調査レポートプレゼント付きイベント開催
一般社団法人ピーペックでは2026年5月22日(金)に開催する「個のテンポが活きる職場づくり ~誰もが自分らしく働ける『場所』をどうデザインするか?~ 第2回テンポ経営研究会」の参加者特典として今回の調査レポートをプレゼントします。
日 時:2026年5月22日(金)16:00~17:30(開場15:45)
※オンラインは講演・トークセッションのみとなります
形 式:ハイブリッド開催(会場+オンライン)
場 所:(1)会場:株式会社エスケイワード TOKYO BRANCH
(2)オンライン:Zoomウェビナー
対 象:経営者、人事・ダイバーシティ推進担当の方
参加費:無料 ※懇親会参加者は、実費5,000~6,000円程度を当日頂戴します
定 員:(1)会場:18人
(2)オンライン:定員なし
締 切:(1)会場:5月19日(火)
(2)オンライン:当日14時まで
お申込み:https://tempo-02.peatix.com/

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