糖尿病・肥満症外来において「血糖クラウド管理システム」を活用したインスリンポンプ療法のオンライン診療を開始
慶應義塾大学病院(病院長:松本 守雄)、中部電力株式会社(代表取締役社長:林 欣吾、以下「中部電力」)およびメディカルデータカード株式会社(代表取締役社長:鈴木 康之、以下「メディカルデータカード」)は、慶應義塾大学病院の糖尿病・肥満症外来で使用するオンライン診療システムを日本メドトロニック株式会社(代表取締役社長:ロブ サンドフェルダー、以下「日本メドトロニック」)のケアリンクシステムと連携できるよう拡充し、2022年1月27日より1型糖尿病などの治療のため持続グルコースモニタリング機能搭載インスリンポンプ療法(以下「SAP療法」:注1)を使用する患者に対するオンライン診療を開始しました。
1.オンライン診療システムの概要
慶應義塾大学病院、中部電力およびメディカルデータカードは、慶應義塾大学病院におけるオンライン診療システムを構築し、2020年6月に産科外来、2020年11月に糖尿病・肥満症外来でオンライン診療を開始しました(2020年7月15日、2020年12月22日お知らせ済み)。
また、日本メドトロニックは24時間の血糖・インスリン投与データをクラウドへ集積するシステム「ケアリンクシステム」を運用しています。
本オンライン診療システムは、「ケアリンクシステム」と中部電力のデータプラットフォームおよびメディカルデータカードの「MeDaCa」(注2)を連携することで、患者が入力した血圧・体重・血糖値、SAPから得られる24時間の持続グルコース値・インスリン投与量などのデータを集約し、正確なデータを閲覧しながらテレビ電話でオンライン診療が可能となるシステムです(図1)。
2.SAP療法における課題
SAP療法は、きめ細やかな血糖コントロールが可能となる高度医療であり、1型糖尿病などの患者への普及が期待される一方、距離・頻度など通院時の患者の負担感に加え、専門医が不在のエリアでは受診が困難という課題がありました。このため、SAP療法についてもオンライン診療の導入が求められていました。
ケアリンクシステムはインスリン投与量の指示に必要な情報を遠隔で把握する事を可能とし、オンライン診療を実現するものですが、ケアリンクシステムでデータを閲覧するためには、医師が診察の都度、システムにログインして該当患者や適切なデータを検索する必要があり、他の糖尿病関連データシステムとの使い分けやカルテと異なるID管理を医師が行う必要があるため、医療現場において短い診察時間でデータの管理や確認作業に労力を要するという課題がありました。
さらに、患者が自宅で測定する血圧や体重などの測定データの共有とテレビ電話での診察は、他システムを介して別途行う必要があることから、短い診察時間での対応が困難という課題がありました。
3.今回の取り組み
今回、慶應義塾大学病院主導のもと、中部電力と日本メドトロニックは、RPA技術(注3)を活用し、中部電力クラウドが連携するメディカルデータカードのMeDaCaシステムを介してレポートを一元的に画面上に表示する仕組みを構築しました。これにより、従来の血圧・体重・血糖値といった患者の集約された自己測定データに加え、SAPから得られる24時間の持続グルコースデータ・インスリン投与量を併せて閲覧することが可能となり、これらの正確なデータ(図2)を閲覧しながら、テレビ電話機能により遠隔地や医療過疎地に住む患者にも対面と同等のクオリティの医療が可能となります。このデータの一元化による利便性の向上により、医師の業務効率の向上とストレスが軽減される事で高度医療技術を習得した医師等の限られた医療資源の活用や、診察日以外の専門看護師による細やかなケアを行う事で対面診察以上の質の高い診療の実現が期待されます。また、SAP療法使用の中心となる1型糖尿病患者は社会で活躍する若い方が多く、通院頻度が削減される事で仕事や生活への影響を軽減し、社会経済効果も期待されます。
4.今後の展望
慶應義塾大学病院、中部電力およびメディカルデータカードは、高度医療を必要とする全ての患者が医療を受けられる体制と、医師の業務負担軽減による医療資源の活用を目指します。そして、更なる垣根を超えた情報の一元化と解析技術の開発によりシームレスな「データ連携遠隔医療システム」の構築(図3)を目指し、慶應義塾大学病院、中部電力を中核に、内閣府が掲げるSociety 5.0の実装に向けて開発を進めてまいります。
5.特記事項
慶應義塾大学病院は、内閣府より「戦略的イノベーション創造プログラムAI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発事業を受託しています。その一環として、在宅患者の見守りや遠隔診療支援、コミュニティヘルスケアサポートについて、中部電力と共同で研究を進めており、本取り組みはその成果の一つです。
【用語解説】
(注1)SAP(Sensor Augmented Pump)療法とは皮下のグルコース値から血糖を推測し血糖変動を24時間リアルタイムに把握する事が可能な機能を搭載し、インスリンを皮下に持続で注入する糖尿病治療法です。血糖が一定の範囲を超えた場合にアラートが通知され、低血糖が予測される場合に自動でインスリン注入を中止する機能も搭載しており、低血糖を防ぐ事か可能です。
(注2)患者が自分の医療情報を自己管理するシステムです。血液検査データや検査画像、処方箋などの病院が保有する患者の医療情報、そして血圧や体重といった自身で測定したデータをスマートフォンやPCに集約し保管・閲覧することが可能です。また、ビデオ通話によりオンラインでのコミュニケーションにも対応しています。
(注3)RPA(Robotic Process Automation)は人が行う入力作業をAIや機械学習により代行する機能です。
※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。
※本リリースは文部科学記者会、科学記者会、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、エネルギー記者会、電力研究会、各社科学部等に送信しております。
【本発表資料のお問い合わせ先】
慶應義塾大学医学部 内科学(腎臓・内分泌・代謝)
助教 田村 理絵(たむら りえ)
助教 中島 裕也(なかじま ゆうや)
TEL:03-3353-1211 FAX:03-3359-2745 https://keio-emn.jp/
中部電力株式会社 総務・広報・地域共生本部 報道グループ
TEL:052-961-3582 FAX:052-957-1352 https://www.chuden.co.jp/publicity/press
メディカルデータカード株式会社
TEL:03-3226-0303 FAX:03-3226-0303
E-mail:press@medaca.co.jp https://www.medaca.co.jp/
【本リリースの発信元】
慶應義塾大学信濃町キャンパス総務課:山崎・飯塚・奈良
TEL:03-5363-3611 FAX:03-5363-3612
E-mail:med-koho@adst.keio.ac.jp http://www.med.keio.ac.jp/
※本リリースのカラー版をご希望の方は上記【本リリースの発信元】までご連絡ください。
慶應義塾大学病院、中部電力およびメディカルデータカードは、慶應義塾大学病院におけるオンライン診療システムを構築し、2020年6月に産科外来、2020年11月に糖尿病・肥満症外来でオンライン診療を開始しました(2020年7月15日、2020年12月22日お知らせ済み)。
また、日本メドトロニックは24時間の血糖・インスリン投与データをクラウドへ集積するシステム「ケアリンクシステム」を運用しています。
本オンライン診療システムは、「ケアリンクシステム」と中部電力のデータプラットフォームおよびメディカルデータカードの「MeDaCa」(注2)を連携することで、患者が入力した血圧・体重・血糖値、SAPから得られる24時間の持続グルコース値・インスリン投与量などのデータを集約し、正確なデータを閲覧しながらテレビ電話でオンライン診療が可能となるシステムです(図1)。
2.SAP療法における課題
SAP療法は、きめ細やかな血糖コントロールが可能となる高度医療であり、1型糖尿病などの患者への普及が期待される一方、距離・頻度など通院時の患者の負担感に加え、専門医が不在のエリアでは受診が困難という課題がありました。このため、SAP療法についてもオンライン診療の導入が求められていました。
ケアリンクシステムはインスリン投与量の指示に必要な情報を遠隔で把握する事を可能とし、オンライン診療を実現するものですが、ケアリンクシステムでデータを閲覧するためには、医師が診察の都度、システムにログインして該当患者や適切なデータを検索する必要があり、他の糖尿病関連データシステムとの使い分けやカルテと異なるID管理を医師が行う必要があるため、医療現場において短い診察時間でデータの管理や確認作業に労力を要するという課題がありました。
さらに、患者が自宅で測定する血圧や体重などの測定データの共有とテレビ電話での診察は、他システムを介して別途行う必要があることから、短い診察時間での対応が困難という課題がありました。
3.今回の取り組み
今回、慶應義塾大学病院主導のもと、中部電力と日本メドトロニックは、RPA技術(注3)を活用し、中部電力クラウドが連携するメディカルデータカードのMeDaCaシステムを介してレポートを一元的に画面上に表示する仕組みを構築しました。これにより、従来の血圧・体重・血糖値といった患者の集約された自己測定データに加え、SAPから得られる24時間の持続グルコースデータ・インスリン投与量を併せて閲覧することが可能となり、これらの正確なデータ(図2)を閲覧しながら、テレビ電話機能により遠隔地や医療過疎地に住む患者にも対面と同等のクオリティの医療が可能となります。このデータの一元化による利便性の向上により、医師の業務効率の向上とストレスが軽減される事で高度医療技術を習得した医師等の限られた医療資源の活用や、診察日以外の専門看護師による細やかなケアを行う事で対面診察以上の質の高い診療の実現が期待されます。また、SAP療法使用の中心となる1型糖尿病患者は社会で活躍する若い方が多く、通院頻度が削減される事で仕事や生活への影響を軽減し、社会経済効果も期待されます。
4.今後の展望
慶應義塾大学病院、中部電力およびメディカルデータカードは、高度医療を必要とする全ての患者が医療を受けられる体制と、医師の業務負担軽減による医療資源の活用を目指します。そして、更なる垣根を超えた情報の一元化と解析技術の開発によりシームレスな「データ連携遠隔医療システム」の構築(図3)を目指し、慶應義塾大学病院、中部電力を中核に、内閣府が掲げるSociety 5.0の実装に向けて開発を進めてまいります。
5.特記事項
慶應義塾大学病院は、内閣府より「戦略的イノベーション創造プログラムAI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」の研究開発事業を受託しています。その一環として、在宅患者の見守りや遠隔診療支援、コミュニティヘルスケアサポートについて、中部電力と共同で研究を進めており、本取り組みはその成果の一つです。
【用語解説】
(注1)SAP(Sensor Augmented Pump)療法とは皮下のグルコース値から血糖を推測し血糖変動を24時間リアルタイムに把握する事が可能な機能を搭載し、インスリンを皮下に持続で注入する糖尿病治療法です。血糖が一定の範囲を超えた場合にアラートが通知され、低血糖が予測される場合に自動でインスリン注入を中止する機能も搭載しており、低血糖を防ぐ事か可能です。
(注2)患者が自分の医療情報を自己管理するシステムです。血液検査データや検査画像、処方箋などの病院が保有する患者の医療情報、そして血圧や体重といった自身で測定したデータをスマートフォンやPCに集約し保管・閲覧することが可能です。また、ビデオ通話によりオンラインでのコミュニケーションにも対応しています。
(注3)RPA(Robotic Process Automation)は人が行う入力作業をAIや機械学習により代行する機能です。
※ご取材の際には、事前に下記までご一報くださいますようお願い申し上げます。
※本リリースは文部科学記者会、科学記者会、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、エネルギー記者会、電力研究会、各社科学部等に送信しております。
【本発表資料のお問い合わせ先】
慶應義塾大学医学部 内科学(腎臓・内分泌・代謝)
助教 田村 理絵(たむら りえ)
助教 中島 裕也(なかじま ゆうや)
TEL:03-3353-1211 FAX:03-3359-2745 https://keio-emn.jp/
中部電力株式会社 総務・広報・地域共生本部 報道グループ
TEL:052-961-3582 FAX:052-957-1352 https://www.chuden.co.jp/publicity/press
メディカルデータカード株式会社
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E-mail:press@medaca.co.jp https://www.medaca.co.jp/
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