育種×電気分解式ろ過の組み合わせで、カビ臭ゼロ・高成長を両立した次世代型サーモン陸上養殖を実証

SmoltとベルデアクアによるRAS共同実証試験の最終成果を発表

株式会社Smolt

株式会社Smolt(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役:上野 賢)と株式会社ベルデアクア(本社:愛知県一宮市、代表取締役:竹廣 洋児)は、2024年12月より開始した共同実証試験の最終成果を取りまとめ、ここに発表します。

 本試験は、Smoltが6世代以上の選抜育種により開発した「高温耐性サクラマス種苗(※1)」と、ベルデアクアの特許取得済み「VA式電気分解式ろ過システム(※2)」を組み合わせた閉鎖循環式陸上養殖(RAS)の有効性を検証したものです。

 試験の結果、換水なし(足し水のみ)でオフフレーバー(カビ臭)の完全な抑制、良好な飼料効率が確認され、季節・地域の制約を超えた次世代型サーモン養殖モデルの高い実現可能性が実証されました。

試験開始後4か月時点での成長したサクラマス
試験魚から造ったサクラマスのお刺身

※1 従来18℃以下が必要なサーモンに対し、20℃前後でも安定成長できる。6世代にわたる選抜育種で開発した革新的品種で地球温暖化に対応し、温暖な地域でも養殖可能。 

※2 海水の電気分解によってアンモニアを除去し、水質を安定化させると同時に、殺菌効果により病原菌の発生を抑制。 大型設備や長期間の水づくりを必要としない。 

■ 背景と課題

 気候変動により海水温は年々上昇(日本沿岸は過去100年で+1.33℃上昇、世界平均の約2倍)しています((出典:気象庁「海面水温の長期変化傾向(日本近海)」) 。(引用:https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/shindan/a_1/japan_warm/japan_warm.html) そのため、サーモン養殖の適地・適期は年々縮小しています。そのため近年の気候変動による水温上昇の影響で、国内における海面養殖では生産地域や出荷時期が限られるほか、閉鎖型陸上養殖(RAS)においても低水温下での生物ろ過効率低下や設備の大型化が課題となっています。

 特に、RASでは、ジオスミンや2-メチルイソボルネオール(2-MIB)に起因するオフフレーバーが品質課題として残っており、商業化の大きなボトルネックとなってきました。

 本共同試験は、これら二つの課題―「サーモンの養殖の季節的・地域的制約の排除」と「オフフレーバーの排除」―を育種技術と革新的ろ過技術の掛け合わせで同時に解決することを目的として実施しました。

■ 試験概要

実施期間

2024年12月〜2025年4月(約4ヶ月間)

試験場所

株式会社ベルデアクア 一宮ラボ(愛知県一宮市)

試験魚種

高温耐性サクラマス種苗(Smolt社開発・6世代以上の選抜育種)

飼育システム

VA式電気分解式ろ過システム搭載 閉鎖循環式陸上養殖(RAS)

評価項目

成長性・飼料効率(FCR)・生残率・オフフレーバー有無

■ 実証結果

評価項目

実証結果(本試験)

飼育水温

15℃

飼料効率(FCR)

1.3

オフフレーバー

検出なし(カビ臭ゼロ)

生残率

98%(飛び出しによるへい死のみ)

開始最大魚体重

220g

最大魚体重

1480g

試験中のサクラマス

【主要な成果】

  • RAS環境下におても、Smoltの高温耐性サクラマスは良好な成長を維持し、季節を問わない安定育成を確認

  • VA式電気分解式ろ過システムにより、ジオスミン・2-MIBに起因するオフフレーバー(カビ臭)を試験期間を通じて検出せず

  • バクテリアに依存しない電解ろ過の特性により、低水温期の立ち上げ待ちが不要で、設備規模を抑えた小型RASへの展開可能性を確認

  • 両社関係者および寿司職人による食味試験で、肉質・風味評価においても高い品質が確認され、プレミアム商品としての市場展開に向けた知見を取得

サクラマスを飼育しているベルデアクア社の水槽の様子

■ 各社コメント

株式会社Smolt 代表取締役 上野 賢

「弊社が長年時間をかけて育て上げた高温耐性サクラマスが、ベルデアクア社のVA式電解ろ過システムという革新的な水処理技術と組み合わさることで、陸上養殖成長のボトルネックとなっている大きな課題を解決できることが実証されました。今回の成果は、日本の陸上養殖産業にとって大きなマイルストーンであり、気候変動時代における持続可能なサーモン養殖の新たなスタンダードを切り拓くものです。今後は本モデルが国内外の養殖事業者へのソリューションとなることに高い期待を持っています。」

株式会社ベルデアクア 代表取締役 竹廣 洋児

「VA式電解ろ過システムによる鮭鱒類の養殖は今回が初めての試みでしたが、Smolt社が育種した種苗との相性の良さを実証することができました。高い成長性に加え、オフフレーバーが完全に抑制されていることも確認でき、採算性を伴う「種苗とRASをセットにした小規模養殖モデル」の実現に向けた手応えを得ました。

また、本実験を通じて、飼育条件の最適化に向けた要件も明確にすることができました。次回の試験では、これらを反映し、さらなる生産性向上の実証を目指してまいります。」

愛知県一宮市 鮨みのる本町店主 竹市敦彦 様

「今回のサクラマスは国内産養殖トラウトサーモン系と比べると身質と味が繊細で美味。

普段サーモンは仕入れていないが、このサクラマスであれば使いたいと感じるレベルであった。

あと500gほど成長させられれば、身の厚みや上品な脂の乗りも向上するため出荷サイズの増加を期待している。」

ベルデアクア社の養殖システムで育てられたサクラマスとクエタマの握り

■ 各社技術の特長

【株式会社Smolt】高温耐性サーモン種苗(サクラマス)

 高水温に強い家系を選抜し、6世代以上の育種を重ねることで、20℃前後の水温に対応しながらも高い成長性を持つ革新的なサクラマス種苗を確立。従来の冷水域に限られていた生産の地域的・季節的制約を克服し、長期育成や生産地域の拡大を可能にします。ゲノム編集によらない選抜育種技術により、食品安全性・消費者受容性も担保しています。

【株式会社ベルデアクア】VA式電気分解式ろ過システム

 特許取得済みの電解ろ過技術により、アンモニアを分解して水質を安定化させ、同時に病原菌・寄生虫の発生を抑制。バクテリアを使用しないため低水温でも性能が低下せず、設備の大型化や水作り期間を必要としません。また、ジオスミン・2-MIBの発生を抑えるシステム構造により、陸上養殖の大きな課題であるオフフレーバーの発生を根本から抑制します。

■ 今後の展開

 両社は本実証の成果を基に、以下の取り組みを推進してまいります。

  • 商業規模(数千〜数万尾)への展開に向けたスケールアップ試験の実施検討

  • 採算性の高い小規模RASモデルとして養殖事業者・参入希望者への技術提供

  • 生産された高品質サクラマスのブランド化・市場展開

  • サクラマス以外の魚種(トラウト・ギンザケ等)への技術応用検討

■ 会社概要

株式会社Smolt

社名:株式会社Smolt

所在地:宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地 

代表者:代表取締役 上野 賢

設立:2019年4月11日

事業内容:水産養殖業、水産に関する技術開発、サーモン種苗供給事業

URL:https://www.smolt.co.jp/

株式会社ベルデアクア

社名:株式会社ベルデアクア

所在地:愛知県一宮市多加木5丁目17-34

代表者:代表取締役 竹廣 洋児

設立:2023年10月2日

事業内容:陸上養殖システムの研究・開発、製造、販売

URL:https://www.verdeaqua.co.jp/


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会社概要

株式会社Smolt

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URL
https://www.smolt.co.jp/
業種
水産・農林業
本社所在地
宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地
電話番号
0985-40-2904
代表者名
上野 賢
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月