博報堂テクノロジーズ、Agentic AIの共同構築を推進
~博報堂DYグループのAIエージェント基盤を強化し、広告主と生活者の双方に新たな価値を創出~
株式会社博報堂テクノロジーズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:中村信、以下「博報堂テクノロジーズ」)は、NVIDIA テクノロジーを活用して、エージェント型AI(Agentic AI)の研究開発を本格的に開始することを発表いたします。

■背景と目的
近年、生成AIは単なるテキストや画像の生成を超え、複数のタスクを横断的に遂行できる「エージェント型AI(Agentic AI)」へと進化しつつあります。広告・マーケティング領域においても、複雑化する消費者行動やリアルタイム性の高い施策運用に対応するためには、複数のAIが協調し自律的に判断する仕組みが不可欠です。
こうした背景を踏まえ、博報堂テクノロジーズは、NVIDIAのテクノロジーを活用してAgentic AIの研究開発を推進することを決定いたしました。本取り組みは、博報堂DYグループにおけるAI活用の進化を支えるものであり、株式会社Hakuhodo DY ONEが2025年8月に提供を開始したAIエージェントサービス「ONE-AIGENT」(注1) や、博報堂DYホールディングスが開発する統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM」(注2)における応用・強化も視野に入れています。
■ 技術基盤
本プロジェクトでは、急速に進化する広告・マーケティング環境に対応するため、博報堂テクノロジーズが広告領域に特化したAIエージェント技術の研究開発を主導します。さらに、NVIDIAが提供する最新のフレームワーク「NVIDIA AI Blueprint」や「NVIDIA NeMo-Agent-Toolkit」を積極的に活用します。
これらのNVIDIAテクノロジーを活用し、自律的に広告制作を行うAIエージェントの開発を推進します。NVIDIA Nemotronモデルを含むNVIDIA AI Blueprint for RAGを活用することで、博報堂テクノロジーズはオープンソースの先進モデルを用いて、企業の独自データをシームレスに活用しAIエージェントに情報を提供するためのパイプラインを構築できます。NVIDIA NeMoにより、これらのエージェントはライフサイクル全体を通じて管理が可能です。NVIDIA NeMo Agent Toolkitを活用し、同ツールキットのReAct Agentを用いて広告制作を自律的に遂行するAIエージェントを開発します。また、NVIDIA NeMoマイクロサービスを活用した「NVIDIA Data Flywheel」の考え方を取り入れ、実運用から得られるフィードバックデータを基に精度を継続的に改善していきます。
これにより、
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広告主企業に対しては、実施したキャンペーンの成果やユーザー反応を即座に次の施策へ反映でき、マーケティング投資の効率を高める「自己強化型の広告運用サイクル」を実現します。
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生活者に対しては、々の広告体験が常にアップデートされ、自身の興味関心や状況により合致した広告と出会えるようになり、広告の煩わしさが軽減されることが期待できます。
■協業の全体像
博報堂テクノロジーズは、複数のAIエージェントを連携・統合して最適に機能させるオーケストレーション、Hakuhodo DY ONEが開発したZero Data Sharing (注3)による安全なエージェント間連携を軸に研究開発を進めます。
また、技術基盤の中核を担い、博報堂DYグループの横断的な AI 推進プロジェクト(HCAI Initiative)の一環として、当社の AI スペシャリストや各領域のプロフェッショナルチームが開発に携わりながら、ONE-AIGENTやCREATIVITY ENGINE BLOOMをはじめとするグループ横断の取り組みに応用することで、グループ全体の競争力強化に寄与します。

(Zero Data Sharingを活用したクライアントエージェントとの連携)
■ NVIDIA AI Day Tokyoでの発表
この取り組みの詳細は、2025年9月25日に開催される 「NVIDIA AI Day Tokyo 2025」 にて発表予定です。博報堂テクノロジーズはセッション「AI エージェントでビジネスを加速する:AdTech における AI エージェント開発事例」に登壇し、ONE AIGENTにおけるAgentic AI応用の最新動向を紹介します。
■ コメント
株式会社博報堂テクノロジーズ 代表取締役社長 中村 信
「マーケティングの基盤にNVIDIAの最先端技術を応用することで、広告成果と生活者体験を高める、新しいAI強化型のマーケティングが展開できると考えています。Agentic AIは広告業務の進化において非常に大きな力になると確信しています。」
NVIDIAエンタープライズ プロダクト ディレクター ジェイコブ リバーマン (Jacob Liberman)
「企業は複雑なワークフローの自動化と顧客体験の向上のため、AIエージェントの導入を急速に進めています。NVIDIA AI BlueprintとNVIDIA NeMo Agent Toolkitにより、博報堂テクノロジーズは広告主と消費者に測定可能な価値を提供する広告特化型AIエージェントを迅速に展開が可能になります」
■ 今後の展開
博報堂テクノロジーズは、広告制作・運用にAIを活用した複数の実証実験を展開し、将来的には業界横断的なAIエージェント連携基盤の構築を推進してまいります。
■博報堂テクノロジーズについて

フルファネルマーケティング・生活者インターフェース市場・メディア・クリエイティブ領域をはじめとした各種テクノロジー戦略の立案・開発を行うテクノロジー戦略会社。博報堂DYグループの開発体制を集結し、体制強化・進化を目的として2022年4月に設立。
会社名:株式会社博報堂テクノロジーズ
所在地:東京都港区赤坂5丁目3番1号
事業内容:博報堂DYグループ/得意先の課題解決に向けての各種テクノロジー戦略の立案・実施及び各種テクノロジー戦略のプロダクト・ソリューション・サービス開発
■お問い合わせ先
株式会社博報堂テクノロジーズ 広報部
Email: hr-koho@hakuhodo-technologies.co.jp
注1:ONE-AIGENT(ワン・エージェント)
博報堂DYグループのデジタルマーケティング会社である Hakuhodo DY ONE が開発した、複数の専門特化AIエージェントを連携させるマーケティング支援サービス。市場分析、インサイト調査、クリエイティブ生成、効果測定など、広告主のマーケティングプロセス全体を自動化・高度化することを目的としている。グループが保有する生活者データ基盤を学習させたカスタムエージェントも組み込み、ファーストパーティデータの活用を強化している。
注2:CREATIVITY ENGINE BLOOM(クリエイティビティ・エンジン・ブルーム)
株式会社博報堂DYホールディングスが開発した統合マーケティングプラットフォーム。AI技術およびグループ保有データを活かし、マーケティング、クリエイティブ制作、メディア、流通、購買体験、CRM/販促領域など、顧客接点をワンストップで統合・管理する仕組みを提供する。
注3:Zero Data Sharing(ゼロ・データ・シェアリング)
企業間で生データを直接共有することなく、AIエージェントを介して必要な情報や分析結果のみを連携する仕組み。機密性の高いデータを開示せずに利活用できるため、データ漏洩リスクを抑えながら広告効果や業務効率を最大化できる。同方式は特許出願中であり、一部広告主との実証実験が進行している。
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