「10,000人の営業実態調査」を発表 営業のプロセスにおいて、多くの業種で「分業」より「非分業」の業績が悪い傾向
「非分業」の外回り営業担当者は「個人パフォーマンス」 、「はたらく幸せ実感」ともに低い
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)の営業力強化事業本部は、BtoBの営業担当者と顧客各5,000人を対象とした「10,000人の営業実態調査 2024」の結果を発表しました。
近年では、テクノロジーの進化や消費者ニーズの多様化により市場環境は日々変化しており、顧客企業における課題の複雑化や要求の高度化も進展しています。一方、営業現場においても、労働人口の減少による人手不足やSales Tech、AIなどのテクノロジーの導入によって営業を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。
しかしながら、「営業組織は疲弊している」といった現場の課題は依然として解決されておらず、本来営業が担うべき創造的な役割を果たすことができていないといった現状も伺えます。
本調査では、以下の3つの視点で「営業の実態」を明らかにすることを目的に実施しました。
1.顧客の期待に応え、業績を高めるために営業(組織)は何をすればよいのか
2.顧客接点プロセスの分業体制は有効に機能しているのか
3.営業従事者のパフォーマンスを高め、且つはたらく幸せを実感してもらうためにはどうしたらよいのか
「10,000人の営業実態調査2024」の詳細は、以下の報告書をご覧ください。
https://rc.persol-group.co.jp/form/dl/salesresearch_2024.html
■調査結果サマリ
1. 顧客の期待に応え業績を高めるために営業(組織)は何をすればよいのか
・ 購買プロセス上で顧客が営業に期待していることについて、営業組織は総じて期待に沿った強化を行っている。
・ 顧客側は自社の業界のことや自社の状況を理解し、自社に合った提案をしてくれることを期待しており(ハイライト部分)、営業側もそうした顧客の期待に応えようとしていることが見て取れる。
・ ただし、「当社(顧客)が気付いていない視点の提供」のほか、「他社の商品・サービスと比較検討しやすい情報の提供」「費用対効果の明示」などの項目についてはギャップが見られる。
調査結果からの示唆
顧客が求めているが、多くの営業が実践できていないポイントを強化すれば、競合企業との差別化につながる可能性がある。
2.顧客接点プロセスの分業体制は有効に機能しているのか
営業担当者に組織の課題を聞いたところ、「営業活動における組織間連携ができていない」が最も多かった。ついで「事例の共有、営業ツール化ができていない」、「フィールドセールスが前工程や後工程に時間を割かれ、本来業務に集中できない」と続く。
・ 分業体制別※にみると、完全に分業している方が課題を感じていない。
・ 全般的に一部分業が課題感を強く持ちやすい傾向にあるが、「フィールドセールスが前工程や後工程に時間を割かれ、本来業務に集中できない」と「営業のシステムやツール(CRM/SFA)が導入できていない」は非分業がやや高い。
・ 完全分業の組織では、非分業や一部分業の組織に比べて全般的に課題感を感じておらず、その点は業績が低くても変わらなかった。分業によって個々の担当者の視野が狭くなり、課題を感じにくくなっている可能性もある。
※非分業:マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスの機能を組織や担当者で分担しておらず、フィールドセールスが全てを行う組織
※一部分業:マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスのいずれかの機能の一部をフィールドセールス以外の部署や担当者が担い、分業体制が取られている組織
※完全分業:マーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセスの機能をフィールドセールス以外の部署や担当者が担い、分業体制が取られている組織
調査結果からの示唆
分業体制はフィールドセールスの業務負荷を軽減し、提案や商談などの本来業務により集中できるようにするために有効と考えられる。ただし、分業体制にすることで業績が高まるとは限らず、分業の弊害も懸念される。
やみくもに分業するのではなく、個社の戦略に適合した分業体制を設計することが重要と考えられる。
3. 営業のパフォーマンスを高め、かつはたらく幸せを実感してもらうためにはどうしたらよいのか
・ 職種別ではカスタマーサクセスのはたらく幸せ実感が低い。
・ 各職種を分業体制別にみると、フィールドセールス以外の職種は一部分業よりも完全分業の方が、幸せ実感が低い傾向。
・ フィールドセールスは非分業(フィールドセールスが全て担うケース)の幸せ実感が低く、分業している方が、幸福度が高い。
・ 「個人パフォーマンス」への影響が高い職場要因は、 「自己裁量」「成長機会」「メンバー同士の協力」である。
・ 「個人パフォーマンス」を高める要因と「はたらく幸せ実感」を高める要因は、職種や分業体制によっても異なる。
・ 「はたらく幸せ実感」への影響が高い職場要因は、 「プライベートとのバランス」「リーダーシップ」「成果に対する称賛」である。
調査結果からの示唆
営業体制を検討する際は、組織設計(ハード)だけではなく、「個人パフォーマンス」「はたらく幸せ実感」それぞれへの影響を考慮した職場要因(ソフト)の設計も必要である。
■調査の概要
■回答者属性
※本調査の内容を引用される際は、出所として(株)パーソル総合研究所 営業力強化事業本部 「10,000人の営業実態調査2024」と記載いただくようお願いいたします。
■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
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