インフォメティスが推進した世界初の機器分離推定技術(NILM)に関する国際標準規格が発行されました
〜日本発のNILM技術国際普及貢献へ

エナジーインフォマティクス事業に取り組むインフォメティス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:只野 太郎、以下「インフォメティス」)は、機器分離推定技術(以下、NILM(Non-Intrusive Load Monitoring))に関する世界初(注1)の国際規格案 (以下「NILM-IS」)の国際標準規格化を、経済産業省からの6年にまたがる受託事業(注2)を通して国際的に推進することに貢献し、このたび、同案が2025年6月25日に国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission(以下「IEC」)、本部:スイスのジュネーブ)(注3)にて正式に国際標準規格として発行されるに至りました。
■ インフォメティスは業界のパイオニアとしてグローバルに活動
インフォメティスのNILMは、主幹電流(注4)波形からAIが電⼒内訳をリアルタイム(即時)に推定する最先端技術です。世界的に見ても革新的な技術であったため、これまではグローバルスタンダードが存在せず、技術比較検討が容易ではありませんでした。インフォメティスはNILM技術開発と商業展開の世界的パイオニアとして自負しており、経済産業省の「国際標準の獲得・普及促進事業」への採択を足がかりにIECに積極的に働きかけることにより、欧州の産業・エネルギー分野の有力電機メーカー複数社と共に、TC85WG20にてNILMの技術比較検討を可能にする国際標準化活動を推進してまいりました。国内ではNILM検討委員会(注5)を立ち上げ、参加していただいた委員様たちから多大なるご指導とご協力をいただきました。
■ NILM-TSの発行、表彰、そして国際標準規格化
活動4年目の2021年にはIECの技術仕様書であるTechnical Specification(IEC TS 63297:2021)の発行を実現し、この貢献は「IEC1906 Award」として表彰されました。その後、最終目標である国際規格(International Standard)に昇格させるべく活動を続け、このたび正式に(IEC 63297:2025 注6)として発行されました。
■ NILM-IS発行の意義
NILM分析のベースとなるのは、消費電力の計測データです。この計測データは、その取得方法によって時間粒度、頻度、それらに伴うデータ量が多様であるため、NILM分析の効能についても一様には評価ができない状態が続いてきました。そこで本国際規格では、計測データのクラス分けを定義し、それに応じた用途、スマートメーターへの搭載実現性などに合理的な方式選定が行えるよう、NILM向けの計測データを出力する測定機器には出力可能なクラスを明示することをNILM-ISで義務付ける形となっています。なお、インフォメティス方式は、このクラス分けにおいて世界中のスマートメーターへの搭載実現性が高いものと解るようなクラスになっています。
■ スマートメーターによるNILM分析をグローバルに普及推進
インフォメティスは、2014年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択され、国内の第一世代スマートメーターのハードウェアはそのまま(コストアップなく)で、ファームウェアを変更するだけで、高付加価値なNILM分析に必要な高精細電力データを取得ができ、そのデータでインフォメティスのNILM分析ができることを実証いたしました。これは、大幅な追加投資なく国のインフラ規模でのNILM分析サービス提供環境が技術的には可能であることを証明したものと言えます。
このたびのNILM-IS発行は、インフォメティス創立当初から目指してきた「国のインフラ規模でのNILM分析サービスの世界展開」への後押しとなります。 インフォメティスでは、すでに、独自のセンサーを用いた高付加価値なNILM分析サービスと、現行の国内スマートメーターが出力する30分間の使用電力量データによる簡易なNILM分析サービスを電力会社様に提供しておりますが、今後は高付加価値なNILM分析を先々スマートメーターのデータにより提供できるように推進しております。
インフォメティスは今後も、NILM技術の国際的な認知・普及を通してスマートメーターの進化を追求し、エネルギーマネジメント等を通じて持続可能な社会づくりに貢献すべく邁進します。
なお、2025 年 12 月期業績への影響は軽微と見込んでおりますが、今後、業績に重大な影響が認め
られる場合には、速やかにお知らせいたします。
注1: IEC (International Electrotechnical Commission)において。インフォメティス調べ。
注2:「平成30年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(省エネルギー等国際標準開発(国際電気標準分野))」(テーマ名:電力計測機器のNILM等応用向け計測性能クラスに関する国際標準化・普及基盤構築)での3年間、及び「令和3年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(省エネルギー等国際標準開発(国際電気標準分野))(テーマ名:電力計測機器のNILM(機器分離推定技術)等応用向け計測性能クラス に関する国際標準化普及促進事業)での3年間
注3 :電気や電子技術分野の国際規格を作成する非政府組織の国際機関
注4:主幹電流とは、住宅の分電盤に最初に設置されているブレーカー(主幹ブレーカー)が流れる電流を指します。これは、家庭全体の電気使用量を制限し、異常な電流が流れた場合に保護する役割を担っています。
注5: 国内のNILM検討委員会参加委員の所属組織名称(50音順)
一般財団法人電気安全環境研究所
一般財団法人電力中央研究所
インフォメティス株式会社
大崎電気工業株式会社
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)
東京電力パワーグリッド株式会社
東光東芝メーターシステムズ株式会社
日本電気計器検定所 (JEMIC)
早稲田大学
注6: 発行文書の購入先:https://webstore.iec.ch/en/publication/90125
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