墨出しを全自動かつ高精度に行う「ロボプリンⓇ」を開発 生産性を約2倍向上
当社は今後、自社現場への導入を進めるだけでなく、建設業界全体の生産性向上と働き方改革のため、当社が幹事会社を務める建設RXコンソーシアムでの活動を通じて普及に貢献してまいります。
※1:床面などに工事に必要な基準線を書く作業
開発の背景
当社は、全社で推進中の「鹿島スマート生産」において、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに掲げ、各種ロボットの導入による現場の生産性向上に取り組んでいます。
建築工事に必要不可欠な墨出し作業は、各作業の開始前に完了している必要があるため、夜間や早朝などに行われることも多く、墨出し工の負担となっています。
さらに、昨今の技能労働者数の減少と建設需要の高まりにより墨出し工が不足していることから、墨出し作業のロボット化が求められていました。
ロボプリンの概要と特長
ロボプリンは、施工図面データを基に、基準点に設置した自動追尾トータルステーション※2(以下、トータルステーション)により高速制御することで、高精度(計測値±約1mm以内)に実寸大の連続線や文字(サイズ10mm)を床面にプリントできます。
車輪には全方位移動型車輪オムニホイールを採用しており、スムーズな移動が可能です。そのため、高精度な矩形線なども無駄な動作なくプリントすることができ、基準墨から仕上げ墨まで幅広い種類の墨出しに対応します。
操作はブラウザ上で行うため、スマートフォンやタブレットなどのデバイス機器で操作できます。また、特別な装置は不要で、一般的なトータルステーションと連携することができるため、導入が容易です。利用開始までの準備時間は、基準点へのトータルステーションの設置を含め約10分で、スタート後は全自動で墨出し作業を行うので、誰でも手軽に高精度の墨出しを行うことができます。
※2:自動で追尾して距離と角度を同時に測る測量機器
ロボプリン本体は、直径350mm、重さ15kg程度と小型・軽量で、付属品を含め専用キャリーケース一つに格納できます。現場間の移動のほか、現場内における階をまたぐ移動も容易です。
現場への導入を進めるにあたり、ロボプリンを当社機械技術センターで実証しました。その結果、墨出し工が作業する場合の同等量に相当する墨出しを、同時間に全自動で行えることを確認しました。墨出し工が作業する際にロボットを併用することで、墨出し作業における生産性が約2倍向上します。この成果を受けて、当社の複数の建築現場での導入を開始しました。
今後の展開
鹿島は今後も、「鹿島スマート生産ビジョン」と働き方改革の実現に向け、ICTを活用したロボット技術の開発と現場管理手法の革新を進め、より魅力的な建築生産プロセスの実現を目指します。
(参考)
建築の生産プロセスを変革する「鹿島スマート生産ビジョン」を策定
(2018年11月12日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/201811/12a1-j.htm
建設施工ロボット・IoT分野における技術連携に関するコンソーシアムを設立
(2021年9月22日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202109/22a1-j.htm
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