子どものためにしたいけれど経済的理由でできないこと【ひとり親家庭調査結果】
ひとり親家庭のフードバンク利用者アンケートの調査結果
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは、 2017年9月からひとり親家庭に食品を配付する「グッドごはん」の事業を通して、子どもの貧困問題に取り組んできました。
今回、「グッドごはん」利用者472名を対象に実施したアンケート調査の結果から、利用者にどのような効果・変化があったかを検証しました。
今回、「グッドごはん」利用者472名を対象に実施したアンケート調査の結果から、利用者にどのような効果・変化があったかを検証しました。
「グッドごはん」とは?
「日本の子どもの7人に1人が貧困」。この問題は、ひとり親家庭ではより深刻です。 厚生労働省の調査では、日本国内のひとり親世帯の子どもの2人に1人にあたる50.8% が貧困状態にあるといいます。(H28年 厚生労 働省国民生活基礎調査)
「グッドごはん」とは、主に都内に住むひとり親家庭(※1)を対象に、食品を無料で配付するフードバンク事業です。企業や個人の寄付によって集まった、お米や調味料、レトルト食品、お菓子など、一世帯当たり16,000円相当の食料を、毎月最大165世帯のひとり親家庭に配付しています。
※1 当事業の対象者は、ひとり親家庭等医療費受給者証(通称マル親医療証)をもつ、18歳以下の子どもを養育する所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭です。
調査報告書はこちら(PDF)
https://prtimes.jp/a/?f=d5375-20191212-8824.pdf
アンケート調査概要
・調査期間:2019年9月13日〜2019年10月10日
・調査対象:グッドごはん利用者472名(アンケートフォームをメール送信)
回収数:183件、有効票数:183件
・調査目的:グッドごはん利用者の生活状況の調査と効果測定、今後の支援方針の検討
Ⅰ.「グッドごはん」の概要(2019年10月末日現在)
- 利用登録者 532名 (主に東京都近郊に在住)
- のべ2,947世帯、4,646人の子どもに食品を配付
- のべ220人がボランティアとして参加
- 累計45,738,059円相当の食品を配付
- 離婚によるひとり親が84%、年齢40代以上が多数
- 「子ども2人以上を養育」が半数近く、最も多いのは小中学生
- 9割が就労、内6割が非正規雇用。全国ひとり親世帯等調査の結果※1の母子・父子世帯と比べて就業率も非正規率も高い
- 半数近くが年収(公的補助金などを含む)200万円未満、子ども3人を年収300万円未満で養う場合も
- 住居費が生活を圧迫、半数以上が3万円未満で食費をやりくり
Ⅲ.グッドごはんの効果
- 家庭の食生活や食事内容が改善(やや改善)した。83%
- 子どもの変化(支援への感謝、喜び、勉強に励めた)62%
- 親の変化(食費の負担減、孤独感の解消、調理の負担減、子どもとの会話が増えた、健康状態の改善)84%
- 「子どもに食べさせたいと思う食材でも、お金を気にして買えなかったりします」
- 「365日ほぼ休みの日がありません。仕事、育児、介護のため1日24時間では足りません。自分の食事や睡眠時間を削っています」
- 「経済的に厳しい時に不安で悲観的になり、子どもへの罪悪感の中、その日その日を必死に過ごしていました」
- 「食材を持ち帰るととても嬉しそうに喜んで、受験生だった娘は甘いものが食べられて元気になり勉学に励めました」
- 「頂ける量が想像を遥かに超えていたので感動した。余裕のない日々の中で、人の温かみを感じ、張り詰めた緊張が和らいだ」
- 必要な支援は家計、教育、住居。精神面でのサポートを求める声も少なくなかった。
- 塾などの費用は捻出することが難しく、親は仕事で忙しいため宿題を見てあげることも困難。学校での人間関係や不登校を心配する声も多数。
- 子どもの健康診断で、歯科・眼科・内科等「気になる症状を指摘された経験がある」は75%。内15%が通院、治療をしていない。
- 栄養失調や偏り、精神的不安定、発達障害、低身長低体重など、約70%が子どもの健康面で「心配」。
Ⅴ.調査結果を受けて
生きるために不可欠な「食」の支援で、「気持ちが前向きになった」「自分の朝食が食べられるようになった」「子どもの集中力が上がった」など、親子の心身に変化が見られました。
しかし利用者の状況を見ると、住居費と食費を除くと月3~4万円弱しか残らない状況(一例)など生活は依然厳しく、子どもの将来の夢を応援したり、年に一度の旅行に連れていくこともできない、日用品や衣類すら不足する状況が見て取れとれました。
また、子どもの学習や進学に対する支援は金銭的支援の次に需要が高く、教育の重要性は理解しつつも与えること
ができない歯がゆさを抱えていました。
- 「学力をつける事が貧困から遠ざかる一番のルートなのに、学歴を高めるのにはお金をかけないと難しいのが現状…」
- 「子供(高2)が大学進学を希望しています。本当は塾に通わせたいところですが本人がバイトをして大学費用を少しずつ貯めています。」
毎月直接利用者に会って食品を渡していて感じることは、「コミュニケーションが苦手な人が少なくない」のではないかということです。加えて「支援を受けていることを隠したい」「貧困は恥ずかしいこと」「離婚は自分の責任なのに支援を受けるのが申し訳ない」、このような意識を持っている方も一定数おり、様々な要素が絡み合って、相談できなかったり孤立してしまうひとり親がいると感じています。
ひとり親の、特にシングルマザーの多くは、一家で唯一の働き手でありながら、終わりのない家事を誰かと分担することもできません。子どもの成長や将来についての不安に押しつぶされそうになりながら、それを誰にも相談できない状況にいます。
グッドネーバーズ・ジャパンは今回の調査結果を活用し、支援を必要としているひとり親へのグッドごはんの周知、利用者の方々への情報提供や新たな支援など、検討していきたいと考えています。
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンについて
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(http://www.gnjp.org/)は、国際組織であるグッドネーバーズ・インターナショナルの一員で、海外と国内で子ども達のこころと身体を守る国際NGOです。アジア・アフリカでは教育や水、医療などの支援、国内ではひとり親世帯を対象とした食料支援を行っています。 2004年に日本事務局を大阪で開設、2007年には東京へ事務局を移しました。2013年11月8日より、公益性の高い団体である「認定NPO法人」として東京都から認可を受けています。
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