むし歯は知識で予防する?! 一般保護者の「知識と意識」を大調査 / 6月4日むし歯の日

歯科医療情報プラットフォームのWHITE CROSS株式会社(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:赤司征大、以下「WHITE CROSS」)は、乳幼児〜10代の子どもの保護者250名を対象に「むし歯予防に対する知識と意識の実態調査」を実施いたしました。
むし歯の日(6月4日)をきっかけに、より多くの方に予防歯科の知識をアップデートし適切な口腔内ケアをしていただくために、これらの調査結果を公開いたします。
■調査概要
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調査方法:インターネット調査
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調査対象:乳幼児〜10代の子どもの保護者
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回答数:250サンプル
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調査実施日:2025年4月22日(火)~25日(金)
子どものむし歯予防の対策として日常的に行っていることは?

約半数の保護者が「毎食後に歯磨きをさせている」と回答。また、寝る前に保護者が仕上げ磨きをしている割合も36%と高い傾向にあることがわかりました。
文科省が発表している「令和6年度学校保健統計」(*1)によると、むし歯のある子どもの数は昭和後期から減少の一途を辿っており、令和6年の数値は過去最低を更新しています。今回の調査結果だけを見ると、食後の歯磨き習慣の定着がむし歯予防に大きく影響している可能性が伺えます。
次に、「むし歯の経験有無」と「歯磨き習慣」の関係を見ていきましょう。
むし歯の経験有無と日常的な歯磨き習慣を比較

これまでに一度もむし歯になったことがない子どもと、むし歯になったことがある子どもとを比較したところ、「毎食後の歯磨き」「寝る前の仕上げ磨き」の割合に差があり、いずれもむし歯になったことがない子どもの方の割合が高いことがわかりました。
こちらの結果からは、寝る前の仕上げ磨きはむし歯の有無に大きく影響していそうです。
では、歯の専門家から見ると、この結果はどのように捉えられるのでしょうか?お2人の歯科衛生士に話を聞きました。
川﨑さをり先生(祥南歯科・矯正歯科医院/歯科衛生士)、以下、川﨑先生
TOP3に歯磨きやフッ化物使用などの適切な予防習慣が入ってることはいいことですね。
一方で、むし歯になりやすいお菓子や甘い飲み物など「食」のことが上位にランクインしていないことには懸念を感じます。
平澤一美先生(坂田歯科医院/歯科衛生士 )、以下、平澤先生
むし歯予防=歯みがきの根強さを感じます。
しかし、3位にフッ化物の使用が入っていることから、予防の考え方が昔よりも定着してきたのではないかと思います。
フッ化物の正しい使用法がさらに広まっていき、あと数年後には「フッ化物の使用」が
「歯みがき・仕上げ磨き」を上回るといいなと思います。
仕上げ磨きは何歳までやるべき?!
保護者からは、「何歳まで仕上げ磨きをすれば良いかわからない」といった声も多くあり、専門家からは以下のようなアドバイスがありました。
川﨑先生
「小学生のうちは」とお勧めしています。いつか卒業できるように、自分磨きの後に、仕上げ磨きで磨き残しチェックをしましょう。保護者のチェックでは、ときどき「染め出し液」を使うとお互いにわかりやすいと思います。
また、歯科医院でのメンテナンスの日に子ども自身の「自分磨き」だけで来院し、歯科衛生士に歯磨きスキルをチェックしてもらうと仕上げ卒業の参考になるかと思います。
平澤先生
親御さん自身がその子に任せられると思った時で大丈夫ですが、歯の交換期(乳歯が抜けて永久歯に生え変わる時期)など、変化の多い時期には時々見てあげてほしいとは思います。
甘い食べ物・飲み物など「食」に関する意識は?

歯磨きの習慣が定着してきている一方で、食べ物に対する意識は、「むし歯になりやすいお菓子を控えている」が全体で7%、「ジュースなど甘い飲み物を控えている」が全体で10%と、かなり低い結果となっています。
年齢別で見ると、年齢が上がるに連れ意識が低くなっていく傾向が明らかになっています。
この結果について、川﨑先生は「多くの保護者さんはもちろん食も大事と認識されていると思いますが、歯磨きしているから大丈夫だと思っている、または、食も気をつけなければと考えているものの実施に至っていない、といったことがあるかもしれない」と考察されています。
特にむし歯になりやすいおやつは何だと思う?

むし歯になりやすいおやつについての意識では、あめ、キャラメルなど「歯にくっつきやすいもの」が66%、次いで、ケーキ、チョコ、クッキーなど「洋菓子全般」が43%という結果がでました。
また、ガムなど「口の中に長く残るもの」は19%で、あめ、キャラメルなど「歯にくっつきやすいもの」66%に比べるとかなり低い数値です。
また、ナッツ・スルメなど「しっかり噛む必要があるもの」は6%、おにぎり、チーズ、無糖ヨーグルトなどの「軽食」は4%と、むし歯になりにくいおやつと考えられていることが伺えます。
歯科から伝えるおやつガイド

実際に、むし歯になりやすさはどのような要素が影響するのか。「歯科から伝えるおやつガイド」(「以心塾」 医療従事者によるスタディグループ)によると、おやつの選び方には3つのポイントがあるそうです。
(1)砂糖の摂取量
WHO(世界保健機関)の基準では、1日の砂糖の摂取量の目安として、3歳未満は極力避ける、3〜5歳は約16gまで、6歳以降も25gを超えないということが示されています。
例えば、ショートケーキ1つ(100g)に含まれる糖分は約30g、チョコレート1枚(60g)では約26gです。また、果汁100%のジュースであっても250mlあたりの糖分は約25g。「おやつ」と認識している食べ物に、どれくらいの糖分が含まれているのかを意識することが大切です。
また、糖分の中でも「遊離糖(ゆうりとう)」と呼ばれる食品や飲料に製造・調理時に加えられた糖(砂糖・蜂蜜・シロップなど)はより注意が必要。果物そのものはOKですが、果汁100%であってもジュースに加工した場合は遊離糖となります。
(2)食形態
糖分とは別に「食形態」という観点も重要なポイント。例えば、「噛まずに食べられるもの」、「口の中に残りやすいもの」、「だらだら食べになりやすいもの」は、よりむし歯になりやすいと考えられます。
ジュース、ソフトクリームなどは「噛まずに食べられるもの」に含まれ、「口の中に残りやすいもの」には、グミ、キャラメルなどの歯にくっつきやすいと考えられているお菓子の他にも、ポテトチップス、お煎餅なども含まれるそうです。
最近は子どもたちの間でもグミ人気が過熱してきており「グミが原因と思われるむし歯が増えてきている」という歯科医師の声もありますので、注意が必要です。
「だらだら食べになりやすいもの」としては、あめ、チューイングキャンディなどがあります。
(3)おやつを食べる回数
おやつを食べる回数は、多ければ多いほどむし歯に繋がりやすいという傾向が明らかになっており、多くても1日2回までとすることが推奨されています。
より詳細な情報は、添付の「歯科から伝えるおやつガイド」をご参照ください。
フッ化物(フッ素)に対する意識は?

最近では、歯科医院で塗布してもらったり、歯磨き粉などの商品に配合されることが多い「フッ化物(フッ素)」についての意識では、「むし歯に効果があり積極的に使いたい」という保護者が57%と過半数を超えています。
一方で、「むし歯に効果があるかわからない」が25%で、フッ化物(フッ素)に関する知識不足も伺えます。
また、「むし歯に効果があるが体に悪そうなので使いたくない」6%、「むし歯に効果があるが費用がかかる等の理由で使わない」12%と、フッ化物(フッ素)の活用にネガティブな意識を持つ保護者も一定数いることがわかります。
フッ化物(フッ素)は、むし歯を防ぐ効果が科学的に証明されています。歯の表面を強くし、酸に溶けにくくすることで、むし歯の原因となる「脱灰(だっかい)」を防ぎます。また、初期のむし歯であれば、自然に修復される「再石灰化(さいせっかいか)」も助けます。
なお、費用面では、歯科医院でのフッ化物(フッ素)の塗布は保険適用で行えるケースもあるため、かかりつけの歯科医院に相談してみると良いでしょう。
「フッ化物」と「フッ素」の違いを知っていますか?

ここまでは「フッ化物」と「フッ素」を併記してきましたが、実は両者はまったく異なるものを表します。
たびたび混同されるこの2つの名称ですが、厳密にいうと「フッ素」は元素の名前であり、自然界で単体で存在することはありません。一方、「フッ化物」はフッ素と別の物質を合わせてむし歯に効果のあるものとして加工されたものを表します。歯科医院で塗布したり、歯磨き粉に配合されたりしているのは「フッ化物」です。
WHO(世界保健機関)や日本の厚生労働省も、フッ化物を適切に使用することで効果的にむし歯の予防ができるとしています。
ただし、フッ化物の使用量には注意が必要
フッ化物は体に安全なものとはいえ、当然のことですが過剰に摂れば害になります。
日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科学会の4学会が合同で公開している「4学会合同のフッ化物配合⻭磨剤の推奨される利⽤⽅法」(*2)の中で、年齢に応じた適切な使用量の目安が分かりやすく示されているので、こちらもぜひ参考にしてください。

むし歯は”知識で予防”する時代に
歯磨きに対する抵抗感は、子どもそれぞれで異なります。仕上げ磨きを嫌がる子どもへの対応に頭を悩ませることもあるでしょう。
専門家によると、無理に押さえつけることは逆効果になることがあるそうです。保護者から寄せられた仕上げ磨きの工夫では、「歌を歌ってあげる」「歯磨きの動画を一緒に見てから磨く」「同じ時間に家族全員が歯磨きをする」などがあり、各家庭に合ったやり方を見つけていくと良いですね。
また、毎食後に歯磨きをさせ寝る前の仕上げ磨きもしっかり行っている保護者であっても、「ちゃんと磨けているのかわからない」「くまなく磨く方法がわからない」といった不安を抱えているケースも。
このような保護者の不安に対して、平澤先生は以下のようにアドバイスされています。
そもそも、むし歯予防の観点からいえば、くまなく完璧に磨く必要はないのです!むし歯は知識で予防するものと心得ましょう。
また、甘いお菓子や飲み物を控えるといった食習慣で対策することも重要。「甘いお菓子やジュースは家には置かない」、「特別な時だけ」というようなルールを作って、上手に付き合えるようになると良いですね!
6月4日は、むし歯の日。子どものいるご家庭だけでなく、全ての人にむし歯予防の知識をアップデートし、効果的なむし歯予防の習慣を身につけていただけることを願います。
(*2)4学会合同のフッ化物配合⻭磨剤の推奨される利⽤⽅法【普及版】 (日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会)
添付資料)歯科から伝えるおやつガイド
d17615-39-903a834db70ba341b242b603a21b26be.pdfWHITE CROSS株式会社について

「歯科医療の社会的価値を高める。」をパーパスとし、歯科医療専門職に向けたメディアプラットフォームを運営しているヘルステックカンパニーです。
日本経済が停滞する中、医療費を含む社会保障費が増加しており、健康寿命を延ばし医療費を抑える施策が求められています。最近では、口腔の健康と全身の健康の関連性が注目され、国民皆歯科健診が推進されるなど、歯科医療の役割が変化しています。WHITE CROSSは、歯科医療業界の可能性をデジタル技術で支援し、社会全体の発展に貢献することを目指しています。
WHITE CROSS株式会社 会社概要
本社:東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 プレファス恵比寿南 4F
設立:2015年3月
株主:ニッセイ・キャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、伊藤忠商事株式会社、ライオン株式会社、株式会社モリタ、CRGインベストメント株式会社等
サービスサイト:https://www.whitecross.co.jp/
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