~“環境と肌にやさしい”アミノ酸系香粧品素材~ 味の素㈱、生分解性の高い化粧品用マイクロプラスチックビーズ※1代替品の開発に成功
2022年度上期上市予定
近年、サステナビリティやESGへの取り組みの意識が高まる中、環境への悪影響が大きい高分子プラスチックの使用禁止や削減に向けた規制が各国で強化されています。既に北米・欧州・アジアの国々ではマイクロプラスチックビーズを使用した洗い流せるパーソナルケア製品等に対する規制が強化されており※2、代替品に置き換わっています。
一方、スキンケアやメークアップ化粧品に使用されてきたマイクロプラスチックビーズにおいては、肌触りや使用感を維持した代替品の開発が技術的に難しいこともあり、日本を含む多くの主要国で使用の規制には至っていません。こうした状況の下、現在はこれらのマイクロプラスチックビーズについても化粧品メーカー各社による代替品を模索する動きが顕著になっていますが、代替品が従来のマイクロプラスチックビーズと同等の感触・機能を再現するには技術的な課題が顕在していると言われてきました。
当社は1972年に、植物由来の発酵法で製造したグルタミン酸を原料としたアミノ酸系洗浄剤を世界で初めて発売して以降、パイオニアとして世界55カ国、5,000社以上(2019年5月時点)にアミノ酸系香粧品素材を提供しています。さらに化成品事業の一環として、主力のアミノ酸系洗浄剤に加え、アミノ酸に関する豊富な知見を生かし、主にメークアップ 化粧品用途に使用される、肌にやさしい機能性素材も提供しています。これらの機能性素材の一つである「アミホープ®LL」は、滑沢性の高い板状粉体としてフェースパウダーを始めとした多くの化粧品に使用されており、柔らかくしっとりとした感触と肌への密着感が特長です。
近年、当社はこの「アミホープ®LL」の知見や技術を活用し、感触がよく、機能性の高いマイクロプラスチックビーズ代替品の開発に取り組んできました。その結果、「アミホープ®LL」の機能を自然由来の球状粒子に付与することに成功し、従来のマイクロプラスチックビーズと同等の感触・機能を持つマイクロプラスチックビーズ代替品の開発に成功しました。この開発品は、プラスチックを使用せず自然由来の原料のみを使用しているため生分解性が高く、環境への負荷低減が期待できます。また、多くの既存のマイクロプラスチックビーズ代替品に見られる技術的な課題も大幅に改善されています。
当社は2020-2025中期経営計画において、地域・地球との共生に関する目標として資源循環型社会の実現を掲げており、2030年度までにプラスチック廃棄物ゼロ化および課題原料の持続可能な調達比率100%を目指しています。2030年度へのロードマップにおいて、プラスチックの使用量を削減するとともに、資源循環を促進するためモノマテリアル(単一素材)などのリサイクル可能な素材へ転換することを具体的施策として位置付けています。
本素材の開発・上市はこの施策の一環として重要な取り組みの一つであり、当社は今後も環境と肌に優しいアミノ酸系香粧品素材の開発を通じて、“地球環境への負荷の低減”と“生活者の快適な生活”に貢献していきます。
用語解説
※1) マイクロプラスチックビーズとは、5㎜以下のビーズ状のプラスチックで、洗顔料や歯磨き粉など洗い流すタイプのパーソナルケア製品や、スキンケアやメークアップ化粧品などに利用されています。なお、マイクロプラスチックビーズなどマイクロサイズで製造されたプラスチックを「一次的マイクロプラスチック」、大きなサイズで製造されたプラスチックが自然環境中で破砕・細分化されマイクロサイズになったものを「二次的マイクロプラスチック」と分類します。(出典:平成30年 環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)
※2) 2018年6月、カナダにおいて開催されたG7シャルルボワ・サミットでは、「可能な限り2020年までに洗い流しの化粧品やパーソナルケア製品に含まれるマイクロプラスチックビーズの使用を削減するよう産業界と協力する」との憲章が制定されました。(出典:平成30年 環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)
味の素グループは、“アミノ酸のはたらき”で食習慣や高齢化に伴う課題を解決し、人々のウェルネスを共創する、食と健康の課題解決企業を目指しています。
私たちは、“Eat Well, Live Well.”をコーポレートメッセージに、アミノ酸が持つ可能性を科学的に追求し、事業を通じて地域や社会とともに新しい価値を創出することで、さらなる成長を実現してまいります。
味の素グループの2019年度の売上高は1兆1,000億円。世界35の国・地域を拠点に置き、商品を販売している国・地域は130以上にのぼります(2020年現在)。詳しくは、www.ajinomoto.co.jpをご覧ください。
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