高齢者向け見守りサービスの導入率はわずか1割未満。未導入・未認知の企業が半数以上に。
見守りサービスの導入時に重視するポイントは「コスト」が最多。「導入の手軽さ」「プライバシー配慮」も上位に。導入済みのタイプはインフラ型・センサー型・アプリ型・訪問型にそれぞれ分散。
65歳からのお部屋探しを専門で支援する株式会社R65(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本遼、以下「R65不動産」)は、全国の賃貸住宅の管理業務を行う不動産管理会社を対象に「高齢者向け見守りサービスの導入状況に関する実態調査」を実施いたしました。本調査では、高齢入居者の受け入れに関連する「見守りサービス」の導入状況や評価についてアンケートを行い、その実態を分析しました。

■調査背景
日本では世界最高水準の高齢化が進行していますが、高齢者が賃貸住宅を借りにくい状況が依然続いています貸主側が抱く「孤独死による事故物件化」への不安が大きな要因であり、R65不動産の調査(※1)では賃貸オーナーの約4割が高齢者の入居を受け入れていないことも明らかになっています。
こうした課題に対処するため、国土交通省は2024年に「住宅セーフティネット法」の改正を成立させ、見守り機能付きの「居住サポート住宅」の創設など高齢者の入居支援策を2025年10月より本格施行しました。
また、見守りサービスなど高齢者の入居支援サービス市場も多様化が進んでおり、適切な見守り手法の活用によって高齢者の入居促進を図ることが期待されています。そこで今回、見守りサービスの導入実態と効果を改めて調査し、高齢者入居支援の現状と課題を検証しました。
(※1)高齢者を「受け入れていない」賃貸オーナーが約4割。一方で、約7割が高齢者入居のサポート次第で受け入れを検討。【高齢者向け賃貸に関する実態調査(賃貸オーナー向け)】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000068855.html
■高齢者向け見守りサービスのタイプについて
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インフラ型(電気・ガス):電気またはガスのインフラの使用量などで異常を感知するサービス。
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センサー型(電球・家電・その他):電球や家電などのIOT機器の使用で異常を感知するサービス。
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アプリ・電話型:スマートフォンアプリを利用して位置情報や動態を確認するサービスや電話で安否確認を行うサービス
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訪問・駆け付け型:定期的に訪問して安否確認を行うサービス
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その他

【2025年版】「高齢者向け入居支援サービス カオスマップ 2025年」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000068855.html
■調査結果の要約
①見守りサービス導入率は約1割。半数以上の企業が見守りサービスを「知らない」。
②導入済みの見守りサービスのタイプは「インフラ型」「センサー型」「アプリ・電話型」「訪問型」に、ほぼ均等に分散。
③見守りサービス導入時の重視ポイントは、1位「コスト(33.6%)」、2位「導入の手軽さ(27.3%)」、3位「プライバシー配慮(25.3%)」に。
④見守りサービスの他社へのおすすめ度合いは平均6.55点(10点満点)。「アプリ・電話型(6.89点)」や「インフラ型(6.79点)」が上位となるも大差なし。
⑤タイプ別における各項目の満足度は、インフラ型はプライバシー面(3.33)で高評価、センサー型はサポート面(3.30)で相対的にやや優位。
■調査概要
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調査実施期間:2025年09月16日 ~ 2025年09月24日
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調査対象:①全国の賃貸住宅の管理業務を行う不動産管理会社 / ②高齢者向け見守りサービスを導入している不動産管理会社
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有効回答数:3,000名(①) / 289名(②)
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調査方法:インターネット上でのアンケート調査
■調査結果
①見守りサービス導入率は約1割。半数以上の企業が見守りサービスを「知らない」。

高齢入居者向けの見守りサービスについて導入状況を尋ねたところ、「全物件で導入済み」と答えたのはわずか4.0%、「一部物件で導入済み」も6.4%にとどまり、導入率は合計で約1割でした。また「半年以内に導入予定」とする企業は4.2%存在する一方、「未導入だがサービスについては知っている」が34.9%、「未導入かつサービス自体も知らない」が50.5%と、過半数の企業がサービスの存在を認知していない状況が明らかになりました。
見守りサービスの社会的意義が高まる一方で、不動産業界内では情報浸透が十分ではないことを示唆しています。導入の拡大には、サービスの内容や効果を広く周知し、認知ギャップを解消することが重要と考えられます。
②導入済みの見守りサービスのタイプは「インフラ型」「センサー型」「アプリ・電話型」「訪問型」に、ほぼ均等に分散。

高齢者向け見守りサービスを導入済みの企業に利用しているサービスのタイプを聞いたところ、「インフラ型(22.8%)」「センサー型(26.0%)」「アプリ・電話型(22.5%)」「訪問型(25.6%)」がほぼ均等に分かれる結果となりました。
特定のタイプに偏っておらず、物件の条件や入居者属性などによりサービス選択が分散していることも考えられます。また、市場に標準的な解がまだ確立されていないことから、今後は各方式のメリット・デメリットが整理され、導入環境に応じた最適な組み合わせが検討される可能性がありそうです。
③見守りサービス導入時の重視ポイントは、1位「コスト(33.6%)」、2位「導入の手軽さ(27.3%)」、3位「プライバシー配慮(25.3%)」に。

サービス導入・切り替え時に重視するポイントを尋ねたところ、「サービス料金(33.6%)」が最も多く、次いで「導入の手軽さ(27.3%)」、「入居者のプライバシー配慮(25.3%)」が上位に挙がりました。
高齢者向けの見守りサービスにおいては、高度なシステム連携よりも、日常的に運用しやすいシンプルで低価格なサービスが選定されやすいと考えられます。
④見守りサービスの他社へのおすすめ度合いは平均6.6点(10点満点)。「アプリ・電話型(6.9点)」や「インフラ型(6.8点)」が上位となるも大差なし。

現在利用中の見守りサービスについて、他社への推奨度(NPS)を10点満点で尋ねたところ、全体の平均は6.6点でした。タイプ別に見ると「アプリ・電話型」が6.9点で最も高く、次いで「インフラ型」6.8点、「センサー型」6.5点、「訪問型」6.4点と続きました。「その他」は4.3点と低水準でした。分布別に見ると、「アプリ・電話型」と「インフラ型」においては、8点の割合が最も多い結果となりました。
いずれのタイプも6点台に収まり、「やや満足」の水準に達している一方で、決定的な優劣がないことが明らかとなりました。また、満点(10点)評価を付けたケースはごく少数であることから、どのサービスもまだまだサービス改善の余地がある状況もうかがえました。
⑤タイプ別における各項目の満足度は、インフラ型はプライバシー面(3.3)で高評価、センサー型はサポート面(3.3)で相対的にやや優位。

見守りサービスを各項目ごとに5点満点で評価いただいた結果、全体的には3点台前半で大きな差はありませんでした。その中で、インフラ型は「プライバシー配慮」で3.3点と全タイプの中で最も高く、センサー型は「サポート体制」で3.3点と相対的に優位な結果となりました。また、訪問型は「導入の手軽さ」「プライバシー」で比較的高め、アプリ・電話型は「ブランド信頼性」で3.2点と他のタイプよりも高めとなりました。
現時点では特定のタイプで決定的な優位性がない一方で、それぞれ異なる分野で強みを持っている状況がうかがえる結果となりました。
■関係者コメント
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株式会社R65 代表取締役 山本 遼

本調査により、不動産業界における高齢入居者見守りサービスの浸透度がまだ十分ではなく、約半数の企業がサービス自体を知らないという実態が明らかになりました。日本がこれだけの高齢化社会であるにも関わらず、見守りサービスの認知・導入が進んでいない現状は、高齢者の賃貸入居を巡る課題(孤独死リスクや入居拒否問題)を解決する上で大きな障壁になり得ます。
2025年10月の住宅セーフティネット法改正施行では、見守り機能付き住宅「居住サポート住宅」の創設など高齢者入居支援策が盛り込まれており、これから貸主側・借主側双方にとって見守りサービスの必要性が一層高まると考えられます。
今回の調査結果を踏まえ、R65不動産としても低コストで導入しやすく、入居者のプライバシーにも配慮できる見守りサービスの普及に努め、業界全体の意識改革を促していきたいと考えております。また、見守りサービスの活用を通じて、高齢の方でも年齢に関わりなく好きな場所に安心して住み続けられる環境作りに寄与してまいります。
■会社概要 株式会社R65
日本は高齢化率が約30%近いにもかかわらず、65歳以上の「住宅難民」 が社会問題となっています。急な立ち退きによるお部屋探しが増える中、65歳以上の4人に1人が賃貸住宅への入居拒否を経験。R65不動産は、65歳からのお部屋探しを専門で支援する不動産会社として、物件を貸し出す際のあらゆるリスクの解決を行い、65歳以上の入居可能な賃貸物件を増やすことで、「いくつになっても、好きな場所に住める社会」を実現していきます。
代表:山本 遼
本社所在地:東京都港区赤坂3-11-15 VORT赤坂見附4階
設立:2016年4月7日
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