対馬市立東部中学校で「世界とつながる学び」— 生徒の創作が海を越え、12月から海外実装へ

離島の教室から世界の現場へ、未来の架け橋教材でむすぶ世界平和

2025年11月7日(長崎・対馬)
 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一)は、対馬市立東部中学校にて「世界とつながる学び」講演会を実施しました。東部中では、7月1日の導入講演で世界の現状を学んだのち、総合的な学習で「今、自分にできること」をテーマに探究を進め、9月1日の中間発表でトントン相撲・ビニール袋の凧・習字作品など、対馬や日本の文化・地域課題を前向きな価値に変換した“未来の架け橋教材(Future Bridge Learning Kit)”を制作。これらは12月(カンボジア)/1月(シリア)/2月(南スーダン)で順次実装されます。

世界の現状を聞いて対馬東部中学校生徒がどのように動いたのかを振り返る。

東部中の取り組みと「CoRe Loop」

 本プロジェクトは、CoRe Loop(つくる→届ける→共創→還る→拡張)で設計。生徒が自分たちの学びを“使える教材”へと翻訳し、海外の授業・現場で活用。その反応(手紙・写真・動画など)を再び学校へ戻す往還で、当事者意識(エマージェンシー)・自己効力感を高めます。なかよし学園は今年、全国50校超・関係人口1万人規模でこのモデルを展開し、3月のカンボジア、6月のケニア、7月のシリア、8月のルワンダなど前期実装のフィードバックを各校に還元してきました。

広島市特別支援学校の平和ポスター
対馬西部中学校の平和カルタ

歴史と現実に触れて“自分ごと”に

 講演では、これから教材が届くシリア・南スーダン・カンボジア等の歴史と現状(長期紛争や復興途上、教育・保健の課題)を、なかよし学園の現地パートナーとのオンライン接続も交えて紹介。ニュースの向こう側にいる同世代の顔が見えることで、生徒は「誰かの役に立つ学び」を自分ごととして捉え直しました。

 シリアでは2011年以降の長期紛争で学校やインフラが広く損壊し、いまも復興の初期段階にあります。学用品や教材が不足し、学び直し(catch-up)の需要が高い状況です。南スーダンは2011年独立後の内戦や治安不安、洪水などの影響で就学継続が難しく、読み書き・算数の基礎学習と心のケアを同時に支える教材が求められています。カンボジアは内戦や虐殺の負の遺産から回復してきた一方、農村部には学びの格差が残り、子どもが「楽しく・自分事として」学べる実用教材が効果を発揮します。

戦後0年のシリア。焼け野原からの復興支援を行う
洪水災害で村が水没した南スーダン。教育だけでなく医療支援も行う
地雷が300万個埋まっているというカンボジア。地雷除去支援と教育支援を行う

 対馬東部中学校の「未来の架け橋教材(Future Bridge Learning Kit)」──たとえばトントン相撲、ビニール袋の凧、習字カードなどは、材料入手が容易で、文化紹介・言語・理科(力学・空気)・算数の要素を横断的に含む“軽くて強い”学びの道具です。これらがシリア・南スーダン・カンボジアへ届けられ、現地の子どもたちと一緒に遊び・学び・作り替える共創のプロセス(CoRe Loop)に入ることで、対馬の生徒は教科書やニュース上の出来事を、顔の見える“自分の相手”の物語へと捉え直します。やがて現地から届く写真・手紙・短い動画が「届けた」が「つながった」に変わる証拠となり、当事者意識・自己効力感・地域への誇りが確かな手応えとして育っていきます。

Peace Baton と「はじめてのナガサキ」

 なかよし学園はこれまで広島平和記念資料館が発行する「はじめてのヒロシマ」を全国の生徒児童たちに英語翻訳してもらい、世界各国での平和教育活動に活用するPeace batonプロジェクトを行っています。

 東部中はなかよし学園が行うPeace Batonの一環として、なかよし学園が制作する絵本『はじめてのナガサキ』にイラストで参加します。生徒のみなさんは、自分たちの言葉と絵で被爆の記憶を世界へ手渡し、「願う平和から、行動する平和へ」を体現します。

 絵本本文は既に完成し、長崎原爆資料館に確認をいただいており、完成後はなかよし学園の平和授業(海外実装)で活用します。対馬から生まれた表現が、シリアやアフリカ諸国など復興・和平をめざす地域の学びに直結し、現地からの手紙・写真・動画という“反応”が再び教室に還るCoRe Loopを実感できる取り組みです。

「はじめてのナガサキ」の草稿文を聴く東部中学校生徒たち
「はじめてのヒロシマ」を使った平和教育
世界中の多くの生徒がヒロシマから平和を学ぶ
平和教育の後は各校の図書館に寄贈している
はじめてのヒロシマは戦後0年のシリアへも届いた

学校からの声

平山善行 校長
「実際に世界に出て活動している中村さんから世界のビジョンを見せてもらえたことで、子どもたちが何かを考えるときの視野が確実に広がりました。今後、対馬からイノベーションを起こす生徒が出てくることを楽しみにしています。」

竹末寿百 教諭
「これまでの平和・人権学習と違い、自分たちがアクションを起こせる点が新しく、ずっと探していた学びの形でした。“つながる経験”が子どもたちを大きな視野へ押し上げてくれます。『はじめてのナガサキ』が世界に届く日が今から楽しみです。」

代表メッセージ

なかよし学園 代表・中村雄一
「日本の“ふつう”は、世界では“すごい”になります。合唱、工作、凧、書、どれも世界を動かすチカラです。私たちは、日本の良さを世界の力に、世界の現実を日本の学びに変え続けます。東部中のみなさん、一緒に平和を前に進めていきましょう。」

世界各国で平和構築を行うなかよし学園

今後のスケジュール(予定)

12月:カンボジアで教材実装(凧・トントン相撲・書などを活用)

1月:シリアで平和学習・文化交流(合唱動画・平和教材)

2月:南スーダンで学びの共創(低コスト教材・生活工夫の共有)

参考:本プロジェクトの骨子

事業採択:経済産業省「探究・校務改革支援補助金」

モデルCoRe Loop=つくる→届ける→共創→還る→拡張

参加:全国50校超(小・中・高・特別支援・フリースクール)

実装国:ケニア/シリア/ルワンダ/南スーダン/カンボジア/東ティモール ほか

主な教材例SEIBU PEACE KARUTA、平和教材、合唱×英語字幕、食育キット、防災教材、文化紹介(お茶・工作) 等。

本件に関するお問い合わせ

特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト(広報:中村里英)
TEL:047-704-9844 E-mail:nakayoshigakuen.office@gmail.com
Web:http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html

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会社概要

URL
http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県松戸市小金原4-14-14
電話番号
047-704-9844
代表者名
中村雄一
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月