【株式会社ヒューマノーム研究所】2500万点のビッグデータの解析結果から、従来大掛かりで複雑だった体調の推定を簡便にする可能性を示唆
英国で開催されるIEEE関連学会にて、当社で実施したデジタルデバイスを通じた生体計測およびデータ解析にて得られた研究成果として発表します
当社は、2022年7月11日〜15日まで、イギリス・Scottish Event Campus (SEC) Centre で開催される、the 44th International Engineering in Medicine and Biology Conference(EMBC2022) にて、生体計測に関する成果について発表いたします。
本論文では、デジタルデバイスを用いて日常的かつ簡便に取得できるデータから、計測対象者の体調を推定する手法について研究を行い、その手法の将来性を示しました。
今回の研究は、株式会社リササーナ様が運営する、女性特有がんに直面する方のための無料会員制SNS「Peer Ring」会員様にご協力いただいて実施した、デジタルデバイスを活用した日常生活を検証する共同研究プロジェクト「サバ子ちゃんヘルスアップチャレンジ」で得られたデータに関する解析結果の一部となります。
■ 参考ページ:https://humanome.jp/female-specific-cancer-report/
本論文では、デジタルデバイスを用いて日常的かつ簡便に取得できるデータから、計測対象者の体調を推定する手法について研究を行い、その手法の将来性を示しました。
今回の研究は、株式会社リササーナ様が運営する、女性特有がんに直面する方のための無料会員制SNS「Peer Ring」会員様にご協力いただいて実施した、デジタルデバイスを活用した日常生活を検証する共同研究プロジェクト「サバ子ちゃんヘルスアップチャレンジ」で得られたデータに関する解析結果の一部となります。
■ 参考ページ:https://humanome.jp/female-specific-cancer-report/
【研究の背景】
心拍変動を用いた体調推定については、これまで多くの研究成果が報告されてきました。しかし、実際に日々の体調を推測することを目的として、毎日心拍変動を計測することを想定した場合、現状では計測にかかる労力が大きく、あまり現実的ではありません。心拍変動を正確に計測するためには、高価な医療機器や胸部に装着するようなウェアラブル機器が必要であり、加えて、1回の計測ごとに膨大な時間を要し、また、測定機器の装着は不快感が大きく、日常的な利用には不向きであるためです。
そこで、我々は、市販の腕時計型活動量計・Fitbit(※)で計測可能であり、より日常的に計測しやすいと考えられる「心拍数」を利用した体調推定の可能性について研究を行いました。
【研究の内容】
本研究では、97人の方々にFitbitを3ヶ月間装着いただき、日々の心拍数を計測しました。加えて、データ計測期間中は、装着者の体調に関する主観評価を毎日記録していただきました。
Fitbitを利用して計測を行った場合、1分間に1回、心拍数と歩数を記録することが可能です。1人あたりでは、1日に1440点(24時間 × 60分)のデータ数となります。今回の共同研究では、90日間、全参加者の心拍数と歩数について計測を実施しており、全データ合算で2500万点以上となる大規模データの構築に成功しました。
これらのデータから、データ計測参加者によって、心拍数と主観評価間の関係性が異なることが分かりました。心拍数と体調の主観評価が(傾向は弱いながらも)正の相関と負の相関の傾向になる2グループに分けることができました(図1・使用したデータはいずれも前処理済)。
この2グループにデータを分け、それぞれのグループのデータに対し、機械学習モデルの一種であるサポートベクターマシン(SVM)を適用し、心拍変動による体調推定時のデータをベンチマークとして、SVM適用後のデータについて検討を行いました。その結果、心拍変動で推定される体調の精度が約56%に対し、本手法では58%以上の精度となりました。このことから、デジタルデバイスから取得された心拍数を用いた本手法は、計測に大きな負担がかかる心拍変動を用いた手法と比較し、遜色のない推定が可能である、と言えます。
【今後の展開】
今回の研究により、データ計測のハードルが低いデジタルデバイスから得た心拍数を利用して、従来手法と同等の体調推定を達成できる可能性が示されました。引き続き多くのデータを収集し、今回の結果について検証を進めることで、日常生活の中で一層気軽に体調推定ができる技術開発に取り組んでいきます。
また、リアルタイムでの体調推定はまだまだ難しい状況です。データ計測をどの程度の期間実施すれば体調推定が可能となるのかの研究も必要であり、こちらについては今後のデータ計測の中で明らかにしていく予定です。この研究を契機とし、今後も皆様の健康に寄与する研究活動を推進します。
【発表内容詳細】
【株式会社ヒューマノーム研究所 会社概要】
「人間とは何かー」 最先端人工知能(AI)技術の開発・活用と、健康のあり方を変えるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することにより、人間とそれを取り巻く環境を理解し、個々が自分らしく楽しく暮らせる健康社会を実現する研究所です。
心拍変動を用いた体調推定については、これまで多くの研究成果が報告されてきました。しかし、実際に日々の体調を推測することを目的として、毎日心拍変動を計測することを想定した場合、現状では計測にかかる労力が大きく、あまり現実的ではありません。心拍変動を正確に計測するためには、高価な医療機器や胸部に装着するようなウェアラブル機器が必要であり、加えて、1回の計測ごとに膨大な時間を要し、また、測定機器の装着は不快感が大きく、日常的な利用には不向きであるためです。
そこで、我々は、市販の腕時計型活動量計・Fitbit(※)で計測可能であり、より日常的に計測しやすいと考えられる「心拍数」を利用した体調推定の可能性について研究を行いました。
【研究の内容】
本研究では、97人の方々にFitbitを3ヶ月間装着いただき、日々の心拍数を計測しました。加えて、データ計測期間中は、装着者の体調に関する主観評価を毎日記録していただきました。
Fitbitを利用して計測を行った場合、1分間に1回、心拍数と歩数を記録することが可能です。1人あたりでは、1日に1440点(24時間 × 60分)のデータ数となります。今回の共同研究では、90日間、全参加者の心拍数と歩数について計測を実施しており、全データ合算で2500万点以上となる大規模データの構築に成功しました。
これらのデータから、データ計測参加者によって、心拍数と主観評価間の関係性が異なることが分かりました。心拍数と体調の主観評価が(傾向は弱いながらも)正の相関と負の相関の傾向になる2グループに分けることができました(図1・使用したデータはいずれも前処理済)。
この2グループにデータを分け、それぞれのグループのデータに対し、機械学習モデルの一種であるサポートベクターマシン(SVM)を適用し、心拍変動による体調推定時のデータをベンチマークとして、SVM適用後のデータについて検討を行いました。その結果、心拍変動で推定される体調の精度が約56%に対し、本手法では58%以上の精度となりました。このことから、デジタルデバイスから取得された心拍数を用いた本手法は、計測に大きな負担がかかる心拍変動を用いた手法と比較し、遜色のない推定が可能である、と言えます。
【今後の展開】
今回の研究により、データ計測のハードルが低いデジタルデバイスから得た心拍数を利用して、従来手法と同等の体調推定を達成できる可能性が示されました。引き続き多くのデータを収集し、今回の結果について検証を進めることで、日常生活の中で一層気軽に体調推定ができる技術開発に取り組んでいきます。
また、リアルタイムでの体調推定はまだまだ難しい状況です。データ計測をどの程度の期間実施すれば体調推定が可能となるのかの研究も必要であり、こちらについては今後のデータ計測の中で明らかにしていく予定です。この研究を契機とし、今後も皆様の健康に寄与する研究活動を推進します。
- ※ Fitbit、及びFitbitのロゴは、フィットビット・インクの米国及びその他の国々における商標、サービスマーク、かつ、または、登録商標です。その他のFitbitの商標は https://www.fitbit.com/legal/trademark-list をご参照ください。本リリースで言及されている他のすべての商標、サービスマーク、製品名称は、その各々の所有者の所有物です。
【発表内容詳細】
学会名 | the 44th International Engineering in Medicine and Biology Conference(EMBC2022) |
発表日時 | 2022年7月14日 15:45〜17:30(現地時間) |
発表者 | 小貫 真希、佐藤 牧人、瀬々 潤 (株式会社ヒューマノーム研究所) |
演題名 | Estimating Physical/Mental Health Condition Using Heart Rate Data from a Wearable Device |
詳細 | https://embs.papercept.net/conferences/conferences/EMBC22/program/EMBC22_ContentListWeb_4.html |
【株式会社ヒューマノーム研究所 会社概要】
「人間とは何かー」 最先端人工知能(AI)技術の開発・活用と、健康のあり方を変えるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することにより、人間とそれを取り巻く環境を理解し、個々が自分らしく楽しく暮らせる健康社会を実現する研究所です。
- 会社名: ヒューマノーム研究所
- 所在地: 東京都中央区築地2-4-10 SAテンハウス2階
- 代表者: 代表取締役社長 瀬々 潤
- URL:https://humanome.jp/
- 事業内容: ヒトやヒトの理解に向けたAI・データ解析技術の研究開発、生体・環境計測によるDX推進に関するAI技術支援・共同開発、AI開発普及に向けたノーコード環境開発 等
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