環境移送ベンチャー イノカ、ブルーカーボン生態系としても注目が集まるマングローブ林を環境移送し、都市部でのマングローブ研究・保全を加速する「ブルーフォレストプロジェクト」を立ち上げ
地球上の生物が排出するCO2の約30%を吸収するブルーカーボン生態系。その象徴であるマングローブ林の価値を普及啓蒙し、過剰な伐採や開発により急激に面積を減らすマングローブの保全に繋げていくプロジェクト
※1 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。2022年、時期をずらしたサンゴの人工産卵に世界で初めて成功。
社会的背景
赤道付近の地域に分布するマングローブ林は鳥やカニ・貝など多くの生き物が暮らす生物多様性の中心になっています。
さらに人間にとっても、漁場や高波などから沿岸にある家々や農地を守る防波効果、カヌーツアーなどの観光も生み出す重要なスポットとなっております。
実際に、マングローブ生態系が私たちにもたらす恵みを経済的な価値を金額に換算した場合、1ヘクタール2,000-9,000ドルとも試算されています(Wells et al. 2006)。
しかし、ここ数十年間のマングローブ林の消失は住宅や工場、水産養殖、農地への転換などによる人間の経済活動によって急激に面積を減らしつつあり、その面積の約1%が毎年失われていると報告されています。これは世界の森林消失の3倍から5倍の早さです。
さらに、マングローブは地球温暖化による海面上昇などの原因でも影響を受けています。
マングローブ林がなくなると、森林資源や水産資源に依存している沿岸地域の人々の生活に大きな打撃を与え、野生動物の生息場所や餌場が失われるだけではなく、大量のCO2が大気中に放出されることになります。
イノカは、これまで環境移送技術を活用してサンゴの保全研究や活用研究・普及啓蒙を行ってまいりました。
今回、ブルーフォレストプロジェクトを立ち上げ、サンゴだけではなくマングローブ林に対しても保全や活用の研究・地域の人達にマングローブ林の価値をしってもらうための普及啓蒙を開始してまいります。
ブルーフォレストプロジェクト立ち上げの経緯
イノカでは、水棲生物飼育者(アクアリスト)の技術をシチズンサイエンスとして結集するべく、2023年2月25日(土)に「第1回 INNOVATE AQUARIUM AWARD 」(プラチナパートナー:ジェックス株式会社)を開催いたしました。
自宅を改造し、マングローブやアマモ場の生態系環境を構築し、最優秀賞に選ばれた五十嵐 琢人が最優秀賞を受賞し、その後イノカにジョインしました。
五十嵐の加入により、イノカでは本格的なマングローブ生態系の環境再現が可能となり、イノカの環境移送技術と組み合わせることでマングローブの生態系の再現とデータ取得が可能となりました。
実際に、イノカのラボでも五十嵐の飼育技術をベースにマングローブ林生態圏を環境移送し、どこでもマングローブ林の環境移送を実現可能にしております。
さらに、陸上の森林に比べてマングローブは単位面積当たりでより多くのCO2を取り込み、炭素として蓄積することができることからブルーカーボンとしても注目を集めています。
ブルーフォレストプロジェクトの概要
ブルーフォレストプロジェクトとして、主に下記3つのサービスの提供を開始します。
① マングローブ生態系を環境移送してオフィスなどの共有スペースにご提供するサービス「マングローブビオトープ」
② マングローブ生態系への影響評価やマングローブの新たな活用方法の研究や検討「海洋治験」
③ マングローブの生態について学べる環境エデュテインメントプログラム「マングローブラボ」
提供サービス① マングローブビオトープ
企業さまのエントランスや商業施設・個人の自宅などにマングローブ生態系を再現したビオトープの設置を行います。
<対象>
マングローブ生態系をオフィスや商業施設に設置を希望される企業さま
<サービス提供フロー>
1. 事業者様ごとにヒアリングおよび要件定義(無料)
2. 水槽内に再現可能な環境(”モデル環境”)のご提案(無料)
3. 水槽の設置
提供サービス② マングローブ海洋治験
「環境移送技術」を応用し、マングローブ生態系を水槽内閉鎖環境に高度に再現・モニタリングすることで、従来では実現できなかったマングローブ生態系の「見える化」を行うことが可能です。
今後は、課題ごとにカスタマイズした手法による解析、専門家チームによる課題解決に向けたアドバイザリーを提供してまいります。
企業が持つ技術や製品、製造過程で生まれる副産物といったアセットを活用し、マングローブの成長促進作用の検証・マングローブ林保全にむけた水質改善効果の実証などの調査研究・実験を実施することが可能です。
ネイチャーポジティブの実践に関心のある企業様は、是非お問い合わせください。
<対象>
マングローブ生態系への影響評価や毒性評価、ブルーカーボン領域の新規事業立ち上げをお考えの企業さま
<サービス提供フロー>
1. 事業者様ごとに課題のヒアリングおよび要件定義
2. 水槽内に再現可能な環境(”モデル環境”)のご提案
3. 専門家ネットワークから、適切な解析手法のご提案
4. 当社ラボにてモデル環境構築および解析・報告書の作成
提供サービス③ マングローブラボ
イノカでは「おもしろい!が原動力の、世界を変えられる人を育てる。」をテーマに、2020年より提供してまいりました「サンゴ礁ラボ」に続き、「マングローブラボ」を開講いたしました。
実際のマングローブ生態系を目の前に持ってくることで、マングローブに直接触れたり、マングローブ林で暮らす生き物の特徴を楽しみながら学ぶことができるプログラムとなっております。
マングローブ生態系の魅力や面白さを伝えるマングローブラボの提携校・提携商業施設を募集いたします。
第⼀弾として、10⽉14⽇・15日にみなとみらい東急スクエア(神奈川県横浜市西区)で出張マングローブラボを開催します。
先着での受付となりますのでみなさまぜひご参加ください。
詳細は下記リンクよりご覧くださいませ。
https://www.minatomirai-square.com/event/detail/?cd=001231
<対象>
最先端のSDGs教育や環境教育に興味のある小中高校・商業施設
<提供可能なプログラムの例>
出張マングローブラボ:商業施設の販促イベント×SDGsイベントとして1日単位での提供が可能。
※ 講座設計については柔軟にご対応可能ですので、 info@innoqua.jp 宛にお問い合わせください。
株式会社イノカについて
イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」ことをビジョンに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水棲生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み、2019年に創業したベンチャー企業です。
「海の見える化」をミッションに掲げ、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。
当社は、遺伝資源を含む海洋生物多様性の価値を持続可能にすることを目的として、2022年7月には国内ベンチャー企業としては初の事例となる、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」のフォーラムメンバーへの参画を公表しております。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都文京区後楽二丁目3番21号 住友不動産飯田橋ビル1階
お問合せ info@innoqua.jp
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