ケールの健康効果を検証 「食後血糖値の上昇抑制効果を確認」
タイトル:Intake of kale suppresses postprandial increases in plasma glucose: A randomized, double-blind, placebo-controlled, crossover study
「ケールの摂取は食後の血糖値の上昇を抑制する:無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験」
掲載誌:Biomedical Reports 2016年9月29日オンライン
【研究の背景】
ケール(Brassica oleracea var. acephala)は南ヨーロッパ原産のアブラナ科でキャベツやブロッコリーの原種にあたり、β-カロテン、ビタミンC、カルシウム、ルテイン、葉酸、そしてミネラルを豊富に含んでおり栄養価の高い緑黄色野菜です。海外では葉物野菜として広く消費されていますが、日本では青汁などの健康食品として野菜不足解消や健康維持を目的に活用されており、生活習慣病等に関する研究も行われています。
生活習慣病の一つである糖尿病は、正常であれば食後に高くなり空腹時には低下する血糖値が、空腹時も高い状態のままとなるもので、糖尿病予防のための血糖値コントロールが着目されています。特に、食後に血糖値が急激に高くなる状態(食後高血糖)が糖尿病へ進展するリスクになると言われており、最近では食事の際に野菜を先に摂取するなど、食後血糖値の急激な上昇をコントロールすることが着目されています。
【研究の目的】
ケール粉末摂取が食後の血糖値上昇に与える影響及びその有効量を検討し、食後血糖値の上昇抑制効果を検証することを目的としました。
【研究の方法】
21~64歳の男女で血糖値が高めの方(空腹時血糖値が125 mg/dl以下、食後30分時点の血糖値が140~187 mg/dlの方)、42名を対象に、プラセボ(※1)またはケール粉末[低用量:ケール粉末(7 g)、高用量:ケール粉末(14 g)]を炭水化物が多く含まれる食事(親子丼:炭水化物…115.6 g)と同時に摂取し、摂取後30~120分時点の血糖値を測定しました。
【研究の結果】
■ケール摂取による食後血糖値に与える影響
【グラフ1】
ケール粉末[低用量:ケール粉末(7 g)、高用量:ケール粉末(14 g)]を摂取した方の食後血糖値の上昇は、プラセボ(※1)を摂取した方と比較して、摂取60分後において有意に抑制されました。
【グラフ2】
ケール粉末[低用量:ケール粉末(7 g)、高用量:ケール粉末(14 g)]を摂取した方の摂取後120分の血糖AUC(※2)値はプラセボ(※1)を摂取した方と比較して、有意に抑制されました。
これらの結果のメカニズムを検証するために、ケールに含まれる食物繊維に着目し、ケールの食物繊維が、腸内での食物に与える粘度を検討しました。その結果、ケール粉末を加えることで粘度が上昇し、その食物繊維のみでは、さらに粘度が上昇しました。よって、ケール粉末摂取による食後血糖値の上昇抑制効果のメカニズムは、ケールに含まれる食物繊維により、腸内での食物の粘度を上昇させることで、糖の吸収を抑制したのではないかと考察しています。
【研究のまとめ】
ケール粉末は血糖値が高めの方の食後血糖値の上昇を抑制することがわかり、その有効量は7 g以上であることが確認されました。また、そのメカニズムはケールに含まれる食物繊維による糖の吸収抑制作用であると考えられます。
※1 プラセボ ・・・ 有効成分(ケール)を含まないの食品のこと。有効成分の効果を評価する際の比較対象とされる。
※2 AUC(曲線下面積) ・・・ 経時的な血糖値増加量の面積の値であり、食品の血糖値上昇の比較の指標の一つ。
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