日工と立命館大学が高強度コンクリートの製造工程の最適化に寄与する「モルタルの製造方法およびフレッシュコンクリートの製造方法」特許を取得 ~「空練り」がコンクリートの流動性向上に貢献~
コンクリート製造設備を手がける日工株式会社(本社:兵庫県明⽯市、代表取締役社長:辻 勝 証券コード:6306以下、「日工」)、立命館大学(所在地:京都府京都市、学長:仲谷善雄)は、日工開発部坂本恭裕、立命館大学理工学部川崎佑磨准教授らが共同で研究している「モルタルの製造方法およびフレッシュコンクリートの製造方法(以下、本研究)」において、特許(特許第7403137号)を取得しました。
【特許の概要】
特許番号: 特許第7403137号
発明の名称:モルタルの製造方法およびフレッシュコンクリートの製造方法
登録日:2023年12月14日
特許権者:日工株式会社および学校法人立命館
【研究の背景】
近年の自然災害の激甚化や頻発化を受けて、より強固な建造物の必要性が高まっております。
そのなかで、強固な建造物を作るのに欠かせない「高強度コンクリート*1」の利用が促進されています。
また、人口減少や建設業界の人手不足といった観点から、高強度コンクリートの施工にはプレキャストコンクリート*2製品の利用が促進されると予想されています。
コンクリートはセメント、水、骨材(砂利・砂)、混和剤をミキサで混ぜて製造しますが、高強度コンクリートの練混ぜ時には普通コンクリートよりセメント量が多いために練混ぜ条件によるコンクリートの品質(流動性)への影響が大きくなります。
しかしながら、高強度コンクリートの練混ぜに関する研究が進んでおらず、最適な製造方法の確立に至っていないことから、日工は立命館大学と共同で高強度コンクリートの練混ぜに関する研究を行いました。
その結果、練混ぜの条件として「空練り*3」がコンクリートの品質(流動性)に与える影響とそのメカニズムを解明し、特許を出願するはこびとなりました。
高強度コンクリート*1・・・普通コンクリートの数倍以上の(約50N/mm2~)強度があるコンクリートで、高層ビルなどに使用されている。
プレキャストコンクリート*2・・現場で組み立て・設置を行うために、工場などであらかじめ製造されたコンクリート製品や部材の総称。製造時には製造時には施工性を確保するための品質(流動性)が求められる。
空練り*3・・・水と混和剤を加える前に、事前に表面水を持った細骨材(砂)とセメントを混ぜること。
【研究の概要と結果】
本研究では練混ぜの方法として「空練り*3」がコンクリートの品質(流動性)に与える影響とそのメカニズムを解明すべく、テストミキサ(60L)を用いてモルタルフロー*4とスランプフロー*5の計測を行いました。
その結果、両ミキサともに事前に空練りを行うことでモルタルフローもスランプフローも大きくなり、コンクリートの流動性を高められることがわかりました。
空練りを行うことでフロック*6が形成され、その後に吸着する混和剤の量やタイミングに変化が生じるためです。
モルタルフロー*4・・・モルタルの流動性を示す値
スランプフロー*5・・フレッシュコンクリートの流動性を示す値
フロック*6・・・水和反応によって発生する電荷によりできる微細なセメント粒子の塊
【期待される効果、今後の展望】
先述のとおり、空練りを行うことで流動性を高めることができるため、混和剤の使用量を抑えて流動性の高い高強度コンクリートを製造することができます。
混和剤使用量を削減できると高強度コンクリート製造メーカにとってはコストカットが期待できます。
さらに、混和剤量を削減することで粘性も低減できるため、プレキャストコンクリート製品製造時の施工性も向上することが期待できます。
今後は実装置での検証をすすめるべく研究を続けていくとともに、複数の配合、複数のミキサでの検証を進め高強度コンクリートの製造に最適なミキシングの追及ならびにミキサの開発に取り組んでまいります。
【参考】
日工テクニカルレポート2023「高強度コンクリートを対象とした空練りが
モルタルフローに与える影響」
https://www.nikko-net.co.jp/product/pdf/technical-report-2023.pdf
【本件に関するお問い合わせ先】
日工株式会社 経営企画課 (078-947-5263)
立命館大学 広報課 (075-813-8300)
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