Kaginowa(カギノワ)にかかる連携開始について
~カギケノリによる牛のゲップ由来メタンの削減を通じた社会と環境への貢献に向けて~
1 背景・経緯
カーボンニュートラルに向けた農林水産業由来のGHG排出の中で大きな課題として認識されているのが、牛のゲップに含まれるメタンです。本邦におけるメタン排出のうち、40%程度が家畜のゲップや排泄物から生じていると試算されており、牛をはじめとする畜産がたんぱく源の確保や食文化の維持という観点からも今後も重要な農業の一分野であり続けるために牛のゲップ由来のメタンの抑制は急務といえます。
そのようななかで、近年注目を集めているのが、紅藻類の一種であるカギケノリです。畜産が盛んなオーストラリアでは、牛の餌飼料に約0.2%のカギケノリを混合することで、牛のゲップによる発生するメタンガスを最大98%減少させるという結果が確認[1]されております。カギケノリは本邦でも一部海域で自生しており、微細藻類にかかる知見、技術を有するアルヌールとカギケノリが自生する海域を所管する山川町漁協がこれに着目し、カギケノリの養殖と安定供給技術の確立による、本邦の畜産のメタン削減に向けて両者での連携を開始していたところです[2]。また、農林中金は管轄海域の自然共生サイト登録[3]やブルーカーボン創出をはじめとした先進的な環境課題への取組みを行う山川町漁協との連携のなかで、両者のカギケノリにかかる取組み、構想に賛同し、情報提供や取組み拡大に向けた議論に参加してまいりました。
2 基本合意書に基づく連携強化
本邦におけるカギケノリの養殖と安定供給技術の確立は、メタン削減を通じた畜産のサステナビリティにとって極めて重要なアプローチの一つであると考えられますが、これは技術開発だけでは実現せず、技術を実装していくために、バリューチェーン、サプライチェーンにおける多様なプレイヤーを巻き込んだビジネス化の検討も不可欠となります。
そのため、アルヌールと山川町漁協ではカギケノリにかかる取組みを「Kaginowa」として位置づけ、両者の技術開発の取組みを支え、趣旨に賛同する多様なプレイヤーにパートナーとして参画いただくことを呼び掛けています。これを受け、農林中金は従前からの議論を踏まえて、プロジェクトの発展に向けたサステナビリティ知見やカギケノリによるメタン削減効果のカーボンクレジットにかかる助言提供を行うパートナーとして、三者で基本合意書を締結し、「Kaginowa」に参画いたします。
本邦におけるカギケノリによるメタン削減のスキーム確立は、単に畜産のGHG排出を削減・抑制し、気候変動対策に貢献することのみならず、魚価の低迷や水揚げの不振に直面する水産業の新たなビジネスチャンスとなりうるものです。地域の基幹産業である農業と水産業の振興は、カーボンクレジットによる資金還流等も合わさり、地域のサステナビリティを向上させることにもつながります。アルヌール、山川町漁協、農林中金の三者は連携して、「Kaginowa」の実現に向けて取組みを進めてまいります。
[1] ScienceDirect/Journal of Cleaner Production/Volume 259, 20 June 2020, 120836を参照しております
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959652620308830
[2] アルヌールと山川町漁協の連携にかかるリリースは以下を参照してください。
[3] 自然共生サイト認定については環境省のHPを参照してください。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
[1] アルヌールと山川町漁協の連携にかかるリリースは以下を参照してください。
[1] 自然共生サイト認定については環境省のHPを参照してください。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
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農林中央⾦庫 コーポレートデザイン部 広報コミュニケーション班
(宮澤・⽔元) Tel: 03-6362-7172
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