【ニュースレター】 経営層/総務・情報システム部門向け 業務用の動画配信サービス 選び方のポイントをプロが解説
業界・組織別の予算状況、選定にあたって押さえたい6つのポイント、AI活用や高セキュリティの実現など最新の成功事例をご紹介
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新年度を目前に控え、業務用動画配信サービスを見直してさらなる効率化を図ろうと考える企業が増えています。
本ニュースレターでは、累計1,500社・100万人以上が利用する「クラストリーム」を開発・運営する株式会社アイ・ピー・エルの知見を踏まえ、最新の市場動向や導入成功のための選定のコツ、そして具体的な成功事例をご紹介します。
導入効果を最大化し、コストや運用の手間を抑えつつ、セキュリティ要件を満たすためのヒントを得ていただければ幸いです。
目次
1. 業界トレンド情報
動画配信サービス市場の最新動向から、年間予算額(全体/業界別/組織規模別)
選定時の重視ポイントランキングを解説
2. 専門家が教える、動画配信サービス選定のコツ
3. 動画配信サービス選定時に見逃しがち! 6つのポイント
4. 成功事例紹介
(※)アイ・ピー・エル「業務用の動画配信サービス市場に関するトレンド調査」(2025年1月14日公開) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000091800.html
1.動画配信サービス市場の最新動向
動画配信サービスは、研修や社内向けコンテンツの共有、さらには外部向けプロモーションなど、多岐にわたる用途でニーズが高まっています。2024年の調査結果では、企業の年間予算は「10~30万円未満」と「30~50万円未満」が最も多い一方、セキュリティの重要性があらためて浮き彫りになりました。また、業界や企業規模によって予算や重視ポイントが異なる点にも注目が集まっています。本章では、そうした市場の全体像を理解し、自社に合った目線で導入を検討するための基礎情報を提供します。
1.1 業界・組織別の予算状況
●年間予算(全体)の状況
導入や運用にあたって、真っ先に気になるのがコスト。特に業務用の動画配信サービスを検討する際には、初期費用だけでなく運用にかかるコストや組織規模・業種による違いも考慮する必要があります。
ポイント
・「10~30万円未満」「30~50万円未満」が各25.0%で最多
・続いて「50~100万円未満」(16.8%)
図1 業務用の動画配信サービスの年間予算
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業務用動画配信サービスにかける予算には、業界別で大きな違いが見られます。業界ごとに動画配信 サービスの利用傾向を分析すると、主な用途や予算帯が大きく異なることが分かります。
ポイント
・低価格帯(~30万円) : 教育・医療・建設・運輸・卸売・小売・不動産
・中価格帯(30~50万円) : 製造・金融・サービス
・高価格帯(50万円以上) : 電気・ガス・水道
図2 業務用の動画配信サービス 業界別の年間予算
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低価格帯(無料~30万円未満)を選択する業界
手軽に導入できるシンプルなシステムを選ぶ企業が多く、教育・研修・業務マニュアルの共有が主な用途。小規模事業者やコストを抑えたい企業での利用が目立ちます。
・建設業では、施工マニュアルや安全研修に動画を活用。低価格帯が中心だが、大規模プロジェクトでは50万円以上の予算を確保するケースもある
・医療・教育業界では、研修・講義配信用途で低価格帯の利用が進んでいる
・卸売・小売・不動産業では、顧客向けの説明動画の活用が多く見られる
・運輸業界ではドライバー教育が主な用途で、簡易な動画配信ツールが選ばれる傾向
中価格帯(30~50万円未満)を選択する業界
業務効率化や社内研修に本格的な活用が進んでいます。中規模以上の企業が、業務マニュアルの整備や、研修用コンテンツの体系化に投資されています。
・製造業では、技能伝承や工場内研修に動画を活用する企業が多い
・金融業界では、コンプライアンス研修や顧客向け情報提供のために動画配信を導入するケースが増えている
・サービス業では、会員向けコンテンツの配信やスタッフ教育に30~50万円の予算を確保する企業が多い
高価格帯(50万円以上)を選択する業界
専門的な動画配信が求められる業界では、50万円以上の予算を確保するケースが多い。特に、インフラ業界や宿泊業では、高度な研修やマーケティング活用が進んでいます。
・電力・ガス・水道業界では、技術研修やインフラ保守に関する教育用途での利用が進んでいる
1.2 組織規模別の違い
組織規模ごとの年間利用額データを分析すると、組織規模が大きくなるほど、動画配信サービスにかける予算が高額になる傾向が明らかになりました。
・小規模(~500人) : 無料~10万円未満が中心
・中規模(500~5,000人) : 30~50万円未満が最多
・大規模(5,000人以上) : 50万円以上を選ぶ割合が増加
図3 業務用の動画配信サービス 組織規模別の年間予算
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小規模組織(~500人未満)の傾向
・無料プランや1~10万円未満の低コスト帯を選択する割合が高い
・100人未満の企業では、無料プラン(16.7%)や1~10万円未満(43.9%)が多く、コストを抑えながら導入できるサービスを利用する傾向
・100~500人未満の企業でも、1~10万円未満(41.3%)が最多で、基本機能を満たす範囲で運用しているケースが多い
中規模組織(500人以上~5,000人未満)の傾向
・30~50万円未満の予算を選択する割合が高まる
・500~1,000人未満の企業では、30~50万円未満(34.8%)が最多
・1,000~5,000人未満の企業では、30~50万円未満(34.0%)が最多であり、一定規模の社内研修やコンテンツ配信が行われていることが示唆される
大規模組織(5,000人以上)の傾向
・50万円以上の高価格帯を選択する割合が急増
・5,000~10,000人未満の企業では、50~100万円未満(34.4%)が最多
・10,000人以上の企業では、100万円以上を選択する割合(21.3%)が最も多い
1.3 サービス選定時に重視されるポイント
セキュリティへの信頼性が最も高く(22.5%)、次いでコストパフォーマンス(16.3%)、操作性の良さ(13.5%)がランクインしています。これらの要素は、業界や組織の特性に関わらず、共通して重要視されています。
図4 動画配信サービス選定時の重視ポイント
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2.専門家が教える、動画配信サービス選定のコツ
動画配信サービスの導入は、単なる「配信機能の導入」ではなく、長期的な運用体制の構築や企業全体のデジタル戦略と深く関わります。たとえば、今は研修用に導入していても、将来的にAI字幕や海外拠点との連携など、運用範囲が拡大する可能性があります。また、セキュリティ要件が業種によって大きく変わることも忘れてはなりません。本章では、サービス選定時に見逃しがちな長期視点とサポート・企業安定性の重要性、そして具体的なセキュリティ要件の考え方をまとめました。
1. 長期運用を見据えた拡張性
サービスを選定する際には、現在のニーズだけでなく、将来的な拡張性や技術の進化も考慮する必要があります。例えば、利用規模の拡大に伴う機能追加のしやすさ、AI字幕や検索機能の発展など、新しい技術に適応できる柔軟性を持つサービスが望ましいでしょう。
2. 提供企業の信頼性とサポート
提供企業の安定性やサポートの継続性も重要なポイントです。特にクラウドサービスでは、事業撤退や価格改定のリスクもあるため、契約条件やサポート体制を事前に確認することが求められます。
3. セキュリティ要件の明確化
動画配信サービスは、適切なセキュリティ対策が不可欠です。単に「セキュリティが高い」とうたわれているだけでは不十分で、具体的な対策を確認することが重要です。サービスを選定する際には、セキュリティ基準が業界要件に適合しているかを慎重に確認しましょう。具体的なチェックポイントについては、次のセクションで詳しく見ていきましょう。
3. 動画配信サービス選定時に見落としがち! 6つのポイント
動画配信サービスを導入したものの、「想定外のコストが発生した」「担当者が一人で抱えきれず運用が回らない」などの失敗談は少なくありません。こうしたトラブルは、導入前のチェックリストを丁寧に確認するだけで大幅に防げるケースが多いです。ここでは、運用体制・セキュリティ・他システム連携など、特に見落としがちな6項目をピックアップし、導入後の安定稼働に役立つポイントをまとめました。
①運用体制の確立
導入するだけではなく、継続的に活用できる運用体制を整えることが重要です。利用目的や年間の利用計画を明確にし、導入推進者一人に依存せず、複数人のチーム体制を構築しましょう。特に中小企業では、一人で運用を抱え込まない仕組み作りが鍵となります。
②配信対象者の規模と利用シナリオの明確化
社内研修用か顧客向けか、ライブ配信かオンデマンド配信かなど、具体的な利用シナリオを明確にしておくことが重要です。
③他の社内システムとの連携可否
業務の効率化には、LMS(学習管理システム)、CRM(顧客管理)、社内ポータルとの連携が鍵になります。APIの提供やカスタマイズの柔軟性も確認しておきましょう。
④セキュリティ対策とコンプライアンスの適合性
セキュリティ要件は、業界や企業ごとに異なります。特に、金融機関や医療機関では、厳格なデータ保護とアクセス管理が求められ、慎重な選定が必要です。一方で、教育機関や一般企業では、利便性とコストのバランスを考慮することが重要です。
導入前に、以下の項目を確認し、自社のリスクに適したセキュリティ対策を選択しましょう。
☑ ストリーミング配信の採用(データのダウンロード防止)
☑ データの暗号化(送信時・保存時)
☑ ユーザー認証の強化(ID/パスワード、多要素認証、IP制限)
☑ ウォーターマーク(電子透かし)の活用(仮にデータが持ち出された場合でも追跡可能)
☑ 第三者監査の有無(外部機関のセキュリティ評価を受けているか)
☑ データの保存先(国内 or 海外)(企業の情報管理ポリシーに適合しているか)
セキュリティは「高ければ良い」というものではなく、企業のリスクに応じて適切に設計されるべきものです。例えば、社内研修用の動画と、機密情報を含む動画では、必要な対策が異なります。リスクの影響度を考慮し、必要なセキュリティ要件を明確にして選定することが不可欠です。
⑤コストの透明性と継続的なコスト負担
導入後、「追加コストが発生して予算を超えてしまった」というケースは少なくありません。特に、ストレージの増加、追加ユーザー数の課金、オプション機能などは見落としがちです。初期費用だけでなく、運用コストも含めて契約前にしっかり確認しましょう。
⑥カスタマーサポートの質と対応体制
運用をスムーズに進めるためには、サポート体制が重要です。24時間対応の有無、問い合わせ手段(電話・メール・チャット)を事前に確認し、実際に問い合わせを行って対応の質を確かめるのも有効です。
4.成功事例紹介
新たなシステム導入の際には、実際の成功事例が最大のヒントになります。本章では、多言語対応で海外技術者の研修を効率化したメーカーや、厳格なセキュリティが求められる金融機関など、さまざまな企業が動画配信サービスを活用して得た成果をご紹介します。自社の課題に近い事例から学ぶことで、導入後のイメージを具体的に描き、失敗を回避するヒントを得ることができるでしょう。
①[メーカー]AIを活用した多言語対応の動画マニュアルで、海外人材が活躍
新潟県に拠点を置くあるメーカーでは、海外の技術者を積極的に採用した結果、研修内容や業務マニュアルが属人化し、指導効率の低下が深刻化していました。そこで、現場で撮影した作業手順動画にAIによる多言語字幕を自動生成する仕組みを導入。技術者が母国語で学習できるようになり、研修期間を短縮するとともに定着率も向上しました。従来は口頭や紙ベースの指導に頼っていましたが、動画なら視覚的に理解しやすく、知識共有も一元化。結果として、熟練者に負担が集中しがちだった指導体制も大きく改善され、組織全体の生産性が高まりました。
②[金融機関]高いセキュリティ要件をクリア
高いセキュリティ環境下での動画配信サービスの導入は、都銀・地銀・信用金庫など金融業界を中心にニーズが高く、近年急速に広がりを見せています。金融機関では厳格なデータ保護基準やコンプライアンス要件を満たすことが必須なため、一般的なクラウド型配信サービスでは対応が難しいケースもあり、オンプレミス型配信サービスの導入も増えています。
全国最大級の規模を誇る城南信用金庫では、動画配信を活用した研修や業務共有のニーズがありながらも、情報漏洩リスクが導入の障壁となっていました。金融機関のシステムは、外部ネットワークとの接続が制限されるケースが多く、そのため動画データはDVDなど記録メディアを使って物理的に共有するという非効率が発生していました。
そこで、高いセキュリティ要件を満たす動画配信サービスが採用されました。外部からの不正アクセスリスクを排除し、厳格なセキュリティポリシーを順守した運用が可能となったことで、支店間の研修が効率化され、従来の集合研修に比べてコスト削減と学習効率の向上を同時に達成。また、重要な業務ノウハウの共有もスムーズになりました。
③AI検索システムによる業務効率の向上
近年、多くの企業がセミナーや研修、社内イベントの動画データを蓄積していますが、必要な場面を探すのに時間がかかるという課題がありました。そこで注目を集めているのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を活用したAI検索システムです。動画をデータベース化し、キーワードを入力するだけで関連シーンを即座に表示できるため、視聴時間の大幅な短縮が可能。さらに字幕の自動生成や要約機能によって、長時間のコンテンツからも的確に知識を抽出できます。結果として、研修やナレッジ共有の効率が格段に向上し、動画資産の有効活用につながりました。
「クラストリーム」とは
ビジネス向けの動画配信システム「クラストリーム」は、主に研修や会議、社内イベント、ウェブセミナーの配信で用いられています。利用実績は1,500社以上、累計利用者数は100万人を超えました。導入先は中小企業から大企業まで多岐にわたり、官公庁、大学、病院など高いセキュリティが求められる場面でも多数利用されています。オンプレミス版、クラウド版、ハイブリッド版の3種を提供中です。
公式サイト
会社概要
会社名:株式会社アイ・ピー・エル
代表取締役:吉川 実
所在地:神奈川県厚⽊市中町4丁⽬9番17号 ハラダセンタービル3階
事業内容:動画配信サービス事業、コンピュータソフトウェア開発事業
本件に関するお問い合わせ
株式会社アイ・ピー・エル 広報・PR担当
電話:046-295-3971 E-Mail:info@ipl-soft.co.jp
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