JCBA・JVCEA 暗号資産に係る2026年度税制改正要望書を政府宛てに提出
~Web3.0産業全体の発展を期するべく、暗号資産に関する一連の税制改正を要望~
一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(所在地:東京都港区、会長:廣末紀之、略称:JCBA、以下当協会)は、税制検討部会(部会長:斎藤 岳)が中心となり、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会(会長:小田 玄紀、以下JVCEA)と共同で、暗号資産に係る2026年度税制改正要望書を取りまとめ、7月30日付で政府へ提出しました。

■本要望書の目的
Web3.0とは、ブロックチェーン技術の台頭に伴い、従来のインターネットアーキテクチャの上に、新たなレイヤーとして加わった「価値のインターネット(ブロックチェーン等の技術による価値の共創・保有・交換システム)」であり、これによってインターネットだけでは標準実装されていなかった、仲介者を必要としない価値の共創・保存・交換が可能となります[1]。また、Web3.0の大きな特徴として、オープンソース・ソフトウェアとして構築されたパブリック・ブロックチェーンやスマートコントラクトによって、国境や組織を超えた技術革新が促進され、これまでになく急速に革新的なサービスが生まれる可能性が指摘されています[2]。我が国において、政府は日本のWeb3.0のイノベーションを強力に後押しすべく、Web3.0推進に向けた環境整備を国家戦略として進める方針を示しています [3]。
それらの方針を受けて、税制面では、令和7年度与党税制改正大綱において、一定の暗号資産について業法等の法整備をするとともに、暗号資産取引に係る課税の見直しを検討する旨が明記されました。さらに、「デジタル・ニッポン2025」においては、暗号資産への投資が急増していることを踏まえて、国際競争力確保、市場の健全性確保、投資家保護のため、開示義務、インサイダー規制、分離課税導入等により、暗号資産を信頼性・健全性を備えた「新たなアセットクラス」として社会に位置付けることを目指す旨が明記されました[4]。
米国においてはトランプ大統領就任後、米国を「世界の暗号資産の首都」とするとのビジョンに基づき、暗号資産政策の大転換が進められています。Web3.0産業で日本がリーダーシップを取り戻すためには、米国の動きも参考にしつつ産業としての国際競争力を強化する施策を講じることが必須の状況にあることは明らかです。
一方で、現行税制は、国民が暗号資産にアクセスしたり利用したりすることを躊躇させる内容となっており、我が国がWeb3.0の分野において起死回生を図るにあたって、税制が最大の障害となっていることに疑いはありません。このような現状は、Web3.0の推進という政府の目標にとって致命的です。インターネット産業における失敗の轍を繰り返すことなく、政府が掲げるとおりWeb3.0において我が国が起死回生の一打を放つためには、なによりも暗号資産にまつわる税制を中立なものとし、株式など他の金融資産と同等の扱いを認めることが不可欠といえます。現状、規制面において、暗号資産を金融商品取引法の下で他の金融資産と同様に規制する方向での検討が進行しており、税制面においてもこれと平仄を合わせて、金融商品としての中立的な税制を暗号資産に適用するための千載一遇の機会です。
この税制の見直しにあたっては、令和7年度与党税制改正大綱の検討事項を踏まえた上で、Web3.0の根幹であるウォレットを通じたブロックチェーン上の取引を阻害しない制度を検討することがグローバル基準とも合致します。グローバル基準の税制となることで、個人の取引の活発化に繋がり、これまで整備された国内関連規制の後押しを受けて国内Web3.0の発展が見込まれ、既存のスタートアップ等オンチェーン関連事業者のビジネスを後押しする施策となり、スタートアップ振興やWeb3.0立国を掲げてきた国家戦略とも合致することになります。
両協会は、暗号資産の利用促進、市場の活性化、関連産業の発展を期するべく、あるべき暗号資産税制について上記のとおり要望し、関係各所と引き続き協議を進めてまいります。
[1]大臣官房Web3.0政策推進室(現イノベーション・環境局イノベーション政策課フロンティア推進室)「Web3.0事業環境整備の考え方ー今後のトークン経済の成熟から、Society5.0への貢献可能性までー」(2022年12月16日)
[2]デジタル庁・Web3.0研究会「Web3.0 研究会報告書~Web3.0 の健全な発展に向けて~」(2022年12月)
[3]「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」(令和7年6月13日)において、「暗号資産等のweb3ビジネスの健全な発展は、我が国が抱える社会問題を解決し、生産性の向上に寄与する。また、ブロックチェーン技術を基盤とする暗号資産取引の拡大は、デジタルエコノミーの進展にもつながり得るとともに、暗号資産はボラティリティが相当程度高いものの、オルタナティブ投資の一部として、リスク判断力・負担能力のある投資家による資産形成のための分散投資の対象となることも期待される。」とその意義を明記。
[4]前掲3においても、「諸外国の動向も踏まえつつ、暗号資産を国民の資産形成に資する金融商品として業法において位置付けるとともに、投資家保護のための制度を整備する法案の早期国会提出を図りつつ、税務当局への報告義務の整備などを行った上で、分離課税の導入を含めた税制面の見直しの検討も併せて行う」と明記。


■資料のダウンロード
1.2026年度税制改正に関する要望書(PDF)
2.【資料1】暗号資産の各国税制比較表_2026年7月改訂版(PDF)
3.【参考】「2026年度 税制改正要望書」概要(PDF)
■税制検討部会について
活動内容 :
日本における暗号資産(仮想通貨)、ブロックチェーン、Web3ビジネスの健全な成長のため、税制の課題について議論し、税制改正要望等の提言やロビイングを目的に活動しています。
部会のページ:https://cryptocurrency-association.org/subcommittee/tax/
部会の運営体制:
部会長 斎藤 岳 株式会社pafin(旧株式会社クリプタクト) 代表取締役
副部会長 竹ケ原 圭吾 コインチェック株式会社 常務執行役員CFO コーポレート本部長
幹事 堀田 昂慈 株式会社HashPort 取締役
幹事 神藤 優介 Animoca Brands株式会社 CFO
法律顧問 増島 雅和 森・濱田松本法律事務所 パートナー
下尾 裕 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 パートナー
福井 崇人 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 パートナー
泉 絢也 東洋大学 法学部 准教授
遠藤 努 長島・大野・常松法律事務所 パートナー
■協会概要
企業名 :一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会
(Japan Cryptoasset Business Association)略称 JCBA
所在地 :東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル 12階
代表者 :会長 廣末 紀之 URL:https://cryptocurrency-association.org
設立 :2016年3月
事業内容:暗号資産、ブロックチェーン上のデジタル資産、Web3に関連するビジネスについての会員間の知見共有、意見集約、業界課題の解決に向けての論点整理や提言を通じて、ビジネス環境整備・促進、普及啓発活動に取り組んでいます。
・分科会等:現在 12 部会 税制検討、ICO・IEO、ユースケース、金融、NFT、ステーブルコイン、
DeFi、セキュリティ・ システムほか、各種タスクフォース、ワーキンググループ等が活動
・月次勉強会 :法規制、税務会計、技術、ビジネス面に関するテーマで開催
・提言、要望 :業界課題の論点整理、政党や監督官庁への提言・要望
・外部講演活動:講演等による普及啓発、司法当局や消費者センター等への講演及び協力など
■会員企業について
正会員:33社 準会員:98社 特別会員:4社 団体会員:15社 計150社(2025年7月時点)
Web3.0関連事業者、暗号資産交換業者、ゲーム・エンタメ事業者、システム・セキュリティ関連事業者、法律事務所、会計監査法人、税理士事務所、研究・教育機関、地方自治体など
会員一覧:https://cryptocurrency-association.org/member/
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