使用済み剥離PETフィルムのリサイクル技術を開発
~独自の研磨洗浄技術で、高品質再生と温室効果ガス38%削減~
ZACROS株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:下田 拓、以下ZACROS)は、電子機器の製造工程などで使用されたポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(※1、以下剥離PETフィルム)から表面の機能層を除去する独自技術を開発しました。同フィルムは従来多くが焼却処理されていましたが、本技術により、これらのフィルムを高品質なリサイクル材に再生することが可能となります。焼却処理と比較した場合、温室効果ガス排出量を38%削減(※2)します。当社はこの技術を用いて剥離PETフィルムの再資源化を目指し、循環型社会に貢献します。
■開発の背景
剥離PETフィルムは、最適な剥離強度で製品からフィルムを剥離できるようシリコーンなどの機能層が塗付されています。同フィルムをリサイクルする場合には、この機能層の存在がリサイクル材の品質を大幅に低下させる問題があり、従来はリサイクルされずに焼却処理されることが一般的でした。
一方、世界的には環境問題への意識の高まりからプラスチックの資源循環に関する取り組みが加速しており、当社はこうした社会的要請に応えるため、剥離PETフィルムの高品質リサイクル技術の開発に取り組みました。
■剥離PETフィルムのリサイクル技術について
剥離PETフィルムを高品質にリサイクルするため、当社は懸案の機能層を除去する独自のフィルム研磨洗浄技術を開発しました。さらに、素材の性能劣化を抑える特殊なペレタイズ方式を用いております。

本技術は以下のような特徴を備えています。
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独自の研磨洗浄技術(特許出願中): 剥離PETフィルム表面を研磨し機能層を除去
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非溶融ペレタイズ(※3)方式: 研磨済みフィルムを溶かさずにペレタイズし、素材の性能劣化を最小限に抑制
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環境負荷の最小化: 有機溶剤不使用かつ溶融エネルギー不要のプロセス。焼却処理を行う場合と比較し温室効果ガス排出量を38%削減
■今後の展開
当社では、剥離PETフィルムの回収からリサイクル材の活用まで、様々な企業等と連携しながら資源循環のスキームづくりを進めています。また、当該工程で得られた再生ペレットから再度フィルムを製膜し、自社製品への採用を検討してまいります。
なお、当社は本技術について2026年度の社会実装を目指しています。
サステナブル社会に向けたZACROSの取り組み
ZACROSは『持続可能で豊かな未来の創造』を重要課題と位置づけ、環境配慮と生活の豊かさを両立する社会の実現に取り組んでいます。今回開発した剥離PETフィルムのリサイクル技術は、より高品質なプラスチックを生み出し、「資源」として循環させる取り組みの一環です。当社はこの技術を活用し、循環型社会の実現に貢献してまいります。
※当社のサステナビリティへの取り組みの詳細は、当社ウェブサイトをご覧ください
■「第27回インターフェックス ジャパン」について
本技術は、下記の展示会でご紹介いたします。
名称:「第 27 回インターフェックス ジャパン」
(第 27 回インターフェックス Week 東京[医薬品][化粧品]研究・製造展内)
会期:2025 年 7 月 9 日(水) ~ 11 日(金) 10:00~17:00
場所:東京ビッグサイト 西ホール 1F 小間番号 W9-76
来場事前登録:こちら から
■本件に関するお問い合わせ先
ZACROS株式会社 総務部 広報グループ
URL: https://www.zacros.co.jp/contact/
※1 剥離フィルム:基材となるプラスチックフィルムに剥離剤を塗布したもので、粘着製品の粘着面の保護などに使用される。
※2 温室効果ガス排出量の算定は、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)における算定ロジックの確認に基づいて、自社にて実施。

算定単位 |
1ロットあたり |
算定範囲 |
焼却処理:原材料調達~製造~流通~廃棄、次製品原材料調達 リサイクル:原材料調達~製造~流通~リサイクル(次製品原材料製造) |
データベース |
AIST-IDEA v3.4 |
廃棄シナリオ |
剥離フィルムの廃棄は100%焼却 |
リサイクル加工設備 |
仕様の必要エネルギーを使用し、歩留は実績値を適用 |
次製品原材料調達 |
再生品質であることを考慮しバージンPET製造排出量の83%と仮定 |
※3 ペレタイズ:プラスチック材料を小さな粒状(ペレット)に加工する工程。一般的な方法では、材料を高温で溶かして粒状に形を整えるが、この熱処理によってプラスチックの品質が低下することがある。
以上
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