アストラゼネカとIncyte社、肺がんの臨床試験で提携

局所進行切除不能非小細胞肺がん患者さんにおけるデュルバルマブとepacadostatを評価する第III相試験を2018年上半期に開始予定

アストラゼネカ株式会社

本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年10月31日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)と当社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンは、2017年10月31日、Incyte Corporation (本社:米国デラウェア州、CEO:Hervé Hoppenot、以下、Incyte社)との共同臨床開発を拡大すると発表しました。本契約の一環として、両社はヒトPD-L1に対するモノクローナル抗体であるアストラゼネカのデュルバルマブ単剤との比較で、デュルバルマブとIncyte社が開発中の選択的IDO1酵素阻害剤であるepacadostatとの併用における有効性および安全性を評価します。

本試験対象における独占的提携により、両社は白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法 (CRT)の後に病勢進行が認められなかった局所進行(ステージIII) 切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)の患者さんを対象とする第III相試験を実施します。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べています。「デュルバルマブは局所進行肺がん患者さんの治療における非常に有望な臨床的可能性を示しました。当社は最新のPACIFIC試験のデータに加え、IDO阻害剤とデュルバルマブの併用が局所進行肺がん患者さんにもたらす更なるベネフィットを探求できることを嬉しく思います」。

Incyte社のチーフメディカルオフィサーであるSteven Stein医学博士は次のように述べています。「アストラゼネカとの既存の共同臨床開発を拡大し、局所進行切除不能肺がん患者さんにおけるepacadostatの可能性をさらに探求できることを嬉しく思います。当社は、IDO1酵素阻害をがん免疫療法の併用療法における主要な構成要素として位置付けることを目指しており、epacadostatの主要試験を追加で開始することを楽しみにしています」。

本第III相試験は、アストラゼネカが実施し、資金を両社が負担します。患者登録は、2018年上半期に開始予定です。本契約は、2014年5月に発表したデュルバルマブとepacadostatに関する両社間の既存の共同臨床開発を発展させるものです。

*デュルバルマブは本邦では未承認です。

以上

*****
局所進行(ステージIII)非小細胞肺がんについて
局所進行(ステージIII)の肺がんは2つのステージ(ステージIIIAおよびIIIB)に分類され、これらはがんの局所浸潤の面積と外科手術の可能性により定義されます。外科手術の可能性があることが、がんが他の臓器に転移したステージIVと異なる点です。

ステージIIIの肺がんはNSCLCの罹患件数の約3分の1を占めており、2016年には上位7カ国において約10万5千人が罹患したと推定されます。これら患者さんの70%超の腫瘍は切除不能です。現在の標準治療は根治的化学放射線療法で、その後は進行の有無について注意深い経過観察が行われます。予後は依然として不良であり、長期生存率は低率です。

Epacadostat (INCB024360)について
腫瘍微小環境に対するインドールアミン-2, 3ジオキシナーゼ1 (IDO1) 酵素活性の免疫抑制効果は腫瘍免疫を回避させます。Epacadostatは開発中の非常に強力かつ選択的なIDO1酵素の経口阻害剤です。既に、切除不能または転移黒色腫、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部扁平上皮癌、および膀胱がん患者さんを対象とする単群試験により、epacadostatと免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の概念実証 (Proof-of-Concept) が示されています。これらの試験において、CTLA-4阻害剤であるイピリムマブもしくはPD-1阻害剤であるペムブロリズマブまたはニボルマブとのepacadostatの併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤単剤に比べて奏効率を改善することが示されました。

デュルバルマブについて                              
デュルバルマブは、PD-L1を直接標的とするヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とT細胞上のPD-1およびCD80の相互作用を阻害し、腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないよう作用し、免疫反応を誘発します。

デュルバルマブは複数の単剤療法試験およびトレメリムマブや免疫療法における他の新薬候補との併用療法試験において検討が続けられています。デュルバルマブは、NSCLCの様々なステージ、小細胞肺がん(SCLC)、転移性尿路上皮がん(mUC)および頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の第III相試験において単剤療法として評価されています。一方、デュルバルマブとトレメリムマブの併用療法は、mUC、NSCLC、SCLCおよびHNSCCの第III相試験において評価されていますが、肝細胞がん(HCC)および血液腫瘍の第I/II相試験においても評価されています。

Incyteについて
Incyte Corporationはデラウェア州ウィルミントンに本社を置く、独自の低分子医薬品の創薬、開発および商業化に特化するバイオ医薬品会社です。Incyteの詳細についてはウェブサイト http://www.incyte.com/ をご覧ください。
また、ツイッター https://twitter.com/Incyte をフォローしてご覧ください。

アストラゼネカにおける肺がんについて
アストラゼネカは、すべての肺がん患者さんに貢献できる治療薬の開発に努めています。当社は、承認済の2つの治療薬に加えて、腫瘍細胞の遺伝子変異を標的とするものやがんに対する免疫応答を増強するものなど成長著しいパイプラインを有しています。当社は、サイエンスの限界に挑戦し続けることで、肺がんのすべてのステージおよびすべての治療ラインにおいて患者さん延命に寄与し、生活の質を改善する画期的な治療をもたらすことを目指しています。

がん免疫治療(IO)に対するアストラゼネカの取組みについて
がん免疫療法(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカおよび当社のバイオ医薬品研究発部門であるメディミューンにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療薬により支えられています。当社は、IOに基づく治療は多くの患者さんの人生に変革をもたらす抗がん治療となる可能性を提供するものと信じています。

当社は、患者さんにとって最善となる治療の方向性を見極める決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを使用することで、複数のがん種、病期、および治療の段階におけるデュルバルマブ(抗PD-L1抗体)単剤療法およびトレメリムマブ(抗CTLA-4抗体)との併用療法における包括的な臨床プログラムを追求しています。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカについて                              
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展へのさらなる貢献を果たすべく活動しています。当社については https://www.astrazeneca.co.jp/  をご覧ください。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。


会社概要

アストラゼネカ株式会社

15フォロワー

RSS
URL
https://www.astrazeneca.co.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
大阪府大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪タワーB
電話番号
06-4802-3600
代表者名
堀井 貴史
上場
未上場
資本金
-
設立
1975年04月