消費税増税の駆け込み需要は始まっていた ~日用雑貨品は増税6週前、化粧品は4週前から顕著な増加~
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下:インテージ)は、国内最大規模の消費者パネル、SCI®(全国消費者パネル調査)の購買データをもとに、2019年10月1日から実施予定の消費税増税を前にした、日用消費財の駆け込み需要の発生状況を発表しました。
今回の増税は、食料品などで軽減税率が初めて導入されます。また期間限定で対象店舗で、キャッシュレス決済を利用すると代金の最大5%がポイント還元されるなど消費の平準化への施策が打たれています。
しかし税率アップに備え一部のカテゴリーでは、8月中旬には駆け込み需要が始まっていたことが明らかになりました。特に前回の増税時に駆け込み需要が大きかった日用消費財の中では、日用雑貨品のカテゴリーで6週前に、化粧品も4週前から各家庭の購買金額が前年を大きく上回り始めました。
※5週前(8/26-)と4週前(9/2-)は速報値となります。
※前回の消費税増税は2014年4月1日に行われています。
[ポイント]
- 前回駆け込み需要が6週前に起こっていた日用雑貨品は、今回も同時期に購買金額が前年比大幅増
- 日用雑貨品の中でトイレットペーパーや洗濯用洗剤などは、6週前に前年比10%以上増に
- 前回より遅れ、化粧品は4週前から大きく増加、今後はヘルスケアも同様の流れになるか
- 食品・飲料は軽減税率対象で駆け込みがない可能性も、対象外の酒類は起きる可能性あり
日用消費財全体では、駆け込み需要は顕著にみられず、前回増税時より遅めか
10月1日に消費税が10%に上がります。前回までの増税時に、特に駆け込み需要が大きかった日用消費財ですが、各家庭の購入金額を調べてみると、9月2日週までは前年の同時期と比べても大きな差が出ていません(図表1)。前回の増税時は6週間前から106%、104%、109%となり、その後は右肩上がりに数字が伸びていますが、今回は101%、102%、101%と前年比横ばいが続いています。軽減税率やキャッシュレスでのポイント還元などの情報が錯綜する中で、まだ生活者も“様子見”の状態が続いていることがうかがえます。
図表1
日用雑貨品については、増税6週間前から駆け込み需要の兆候が
ただ一方で、日用雑貨品については、前回増税時同様にすでに6週前から前年比を10%ほど超えており、駆け込み需要の動きがみられています(図表2)。このカテゴリーは2014年に消費税がアップされた時も、早めに購買への影響が出ていたので、他のカテゴリーの状況を見るときの1つの指標になるかも知れません。前回は6週前から113%、111%となり、4週前に126%になると、増税前週の179%まで一気に増えていきました。今回も110%、112%から、4週前に119%となっているだけに、どこまで数字を伸ばしていくかも注目です。
図表2
日用雑貨品の中でもトイレットペーパーや洗濯用洗剤などは大幅増
日用雑貨品の中でも大きく購入金額が増えたのがトイレットペーパーで6週前から117%、119%、119%と順調に増加しています。洗濯用洗剤については114%、115%から、4週前に138%まで大きく数字を伸ばしました(図表3)。日々確実に使うものだが消費期限などがない、もしくは長いものが早めに買われている傾向がうかがえます。図表3
前回は日用雑貨品の後、化粧品、ヘルスケア、食品・飲料の順だったが
前回増税時の調査では、日用消費財の駆け込み需要は、日用雑貨品が6週前から始まり、同時期に化粧品、3週間前にヘルスケア、食品・飲料は2週間前から顕著な購入金額の増加が見られました(図表4)。前回より少し遅くなっていますが、化粧品にも4週前から顕著な変化が見られ120%まで購買金額が伸びています。ヘルスケアについては直近、3週連続で前年超えが続いており、過去のデータを見ると来週からさらに大きな増加も予想されます。
図表4
食品・飲料については軽減税率の対象であるため、今回は駆け込み需要が起きない可能性がありますが、酒類については対象外なので、駆け込み需要が起きる可能性が十分にあります(図表5)。ただ購買全体として軽減税率とともに、キャッシュレス決済によるポイント還元があり、テレビや新聞などでも繰り返し報道され始めていることから、今までの増税時とは違う購買行動が起きることも予想されます。
図表5
ここに掲載していないデータを含む記事をインテージのオウンド・メディア「Intage 知る gallery」で公開しています。
今回の増税に関する自主企画調査の記事はこちら: https://www.intage.co.jp/gallery/zouzei2019-2/
前回の増税を売上データ等を用いて振り返った記事はこちら: https://www.intage.co.jp/gallery/zouzei2014/
あわせてご参照ください。
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使用したデータ
【SCI®(全国消費者パネル調査)】 https://www.intage.co.jp/service/platform/sci/
全国15歳~69歳の男女50,000人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません。
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【株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。
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■株式会社インテージ 広報担当:小林/下河原
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