10年で倍増。フェアトレード国内市場が堅調に推移持続可能性に注目が集まり、気候変動等による価格上昇を受ける中で一人当たりの年間購入額も100円増加

~値上げラッシュの中でも2.2%伸長。フェアトレード国内市場動向2024~

国内でのフェアトレードの普及・啓発活動を行う認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京都中央区 / 事務局長 潮崎真惟子)は、5月のフェアトレード啓発全国キャンペーン「ミリオンアクションキャンペーン」開催と同時に最新の国内フェアトレード市場規模を発表します。

今年は2.2%増 値上げラッシュが続く中でも最大の市場規模

総務省の発表(*1)によると、2024年は、消費者物価指数が前年比2.7%の上昇をしており、2025 年 4 月の飲食料品値上げは、合計 4225 品目となるなど(帝国データバンク *2)、食料品を中心とした値上げラッシュが続いています。価格高騰によって売上や市場規模の縮小が予期される物品がある中でも、2024年度のフェアトレード国内市場は2.2%と増加しました。カカオ豆、コーヒー豆の歴史的原料価格の高騰や為替の影響により、原料の調達や製品の販売に関しては逆境であった2024年でしたが、フェアトレード認証製品の市場は堅調に推移する結果となりました。

*1 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html

*2 https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250331_neage2504/

10年で2倍以上増加。

2014年以来、市場規模は94億円(2014)から215億円(2024)となりこの10年で2倍以上増加、国民一人当たり年間購入額は74円(2014)から174円(2024)となり、10年間でちょうど100円増える結果となりました。

産品別の市場規模~コーヒー、カカオが牽引。紅茶やハーブ・スパイスも増加~

日本のフェアトレード市場の大半を占めるのは食品であり、最新の2024年のデータにおいても、コーヒーが全体の78.2%を占める主要製品となっています。次いでカカオ製品が12.2%を占め、市場を牽引しています。フェアトレードコーヒーは、大手外食チェーンによる取扱中止の影響で外食市場での伸び悩みが見られたものの、家庭用製品の販売が好調であったため、2024年度全体では前年比97%と微減にとどまりました。一方で、カカオ製品は前年比169%と大幅な成長を記録しました。これは、輸入製品の売上増加に加え、国内の大手小売企業によるフェアトレード製品(主にプライベートブランド)の取扱強化に伴い増加した結果と推測されます。また、紅茶は前年比160%、ハーブ・スパイスは前年比109%と、いずれも着実に市場が拡大しています。

気候変動で絶滅や半減が危惧される日常の食

市場価格の高騰にもかかわらず、生産者である農家の収益向上には必ずしも結びついていない現状があります。多くの農家は気候変動に起因する異常気象により収穫量が著しく減少すると同時に、労働力確保、原材料調達、物流コストの上昇に直面しています。さらに、森林保全や人権・環境保護に関する規制強化等により、経営・管理コストの負担も増大。そのため、価格が上昇しても農家全体の収入は低いままの状況が続いています。

また、気候変動の影響で、2050年にはコーヒーの栽培地が50%に半減(アラビカ種)し、カカオの木は西アフリカで生育が難しくなると予想されています。また、バナナは病気で絶滅するリスクがあるほか、オレンジジュースやワイン、アボカドなど日常で親しみのある産品の多くが栽培・生産の危機の直

面しています。その対策の一つとして注目されているのがフェアトレードです。持続可能な開発目標(SDGs)の全項目に寄与するとされ、消費者の日常的な選択で社会・環境改善に貢献できる最も身近な対策・アクションの一つです。従来、フェアトレードは「人権問題の解決手段」や「開発途上国支援」という印象が主流でしたが、気候変動対策としての機能については十分に認知されていません。

しかしながら、フェアトレードによって生産者に還元される資金が異常気象に適応するための農業トレーニングや資材への投資、グリーンエネルギー導入等の環境保全施策に活用されることで、気候変動対策としても重要な役割を果たしています。

今後、私たちの日常の食を守っていくための選択肢としても、ますますその価値が高まっています。

フェアトレード月間である5月にミリオンアクションキャンペーン2025を開催

フェアトレードの商品購入やSNS投稿、イベント参加などのフェアトレードに関するアクションが、1アクション=1円として開発途上国への寄付になるキャンペーンです。期間内の商品販売数は200万個以上*にのぼるなど気候変動やフェアトレードをテーマにした取り組みとしては、国内最大規模となります。(*2024年実績:参加団体188社、販売数211万個)今年は、商品販売数230万個以上、期間内の合計300万アクションを目指し、キャンペーン開始5年目で最大の目標・開催規模で実施します。

【キャンペーン概要】

・名称:フェアトレード ミリオンアクションキャンペーン2025

・キャンペーン期間:5月1日(木)~5月31日(土)

・参加方法:フェアトレード商品の購入、#Fairtrade2025のSNS投稿、全国のフェアトレード関連イベントへの参加、フェアトレード・ラベル・ジャパンへの寄付、登録レストランでのフェアトレードドリンク・フード購入など、フェアトレードに関するアクションを行う

・キャンペーンサイト:https://fairtrade-campaign.com/

【フェアトレードとは?】

フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。通常の取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如により、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことが今も多くあります。その結果、生産者の生活水準低下、コスト削減を目的とした児童労働・強制労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者が健康被害をうけるという問題が引き起こされます。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引し、持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みです。フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標全ての達成に寄与すると言われ、特に8つ(目標1貧困、目標2飢餓、目標5ジェンダー、目標8労働環境、目標12持続可能な消費と生産、目標13気候変動、目標16平和、目標17パートナーシップ)の達成に大きく寄与すると言われています。

フェアトレードはSDGsのすべてのゴール達成に寄与すると海外の第三者研究で言われています。経済・環境・社会の3つの幅広い側面から国際フェアトレード基準(※)は作られており、昨今の国内におけるSDGsの認知の高まりや、環境や人権などを意識しサステナブルな消費活動を選択する消費者が増える中で、フェアトレードの市場も急速に拡大しています。私たちは本キャンペーンを通して開発途上国の生産者や環境、未来の地球を守り続けるために、日常的にフェアトレードが選択される世界が当たり前になることを目指し活動を行います。

【認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン】

1993年設立、2023年11月に30周年を迎えた認定NPO法人。国際フェアトレードラベル機構(FairtradeInternational)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業、フェアトレードの啓発・アドボカシー活動を行います。国際フェアトレードラベル機構は、公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指して1997年設立された国際組織。現在開発途上国70カ国・200万人以上の生産者・労働者と消費国30カ国メンバーが参加しています。(https://www.fairtrade-jp.org/

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会社概要

URL
https://www.fairtrade-jp.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区日本橋富沢町11-6 英守東京ビル3階
電話番号
-
代表者名
堀木一男
上場
未上場
資本金
-
設立
1993年11月