【中小建設企業の人材危機を徹底調査】給与を上げても人が辞めるのはなぜ?「3Kイメージ」と意識ギャップが定着を阻む
2025年問題が迫る中、経営者と従業員それぞれの本音から見えた離職の本当の理由とは?
創業74年の総合建設業、株式会社澤村(本社:滋賀県高島市、代表取締役:澤村 幸一郎)は、①中小建設企業の経営者/②建設現場で働く中小建設企業の従業員(20~50代)を対象に「建設業の人材不足と離職理由」に関する調査を行いました。
高齢化が進み、労働人口が急減する「2025年問題」。
中でも深刻なのが、建設業における若手人材の確保と定着です。
では、なぜ若手人材は建設業を離れていくのでしょうか。
そして企業側の取り組みと現場の実態には、どのようなギャップがあるのでしょう。
そこで今回、株式会社澤村(https://www.sawamura-shiga.co.jp/)は、①中小建設企業の経営者/②建設現場で働く中小建設企業の従業員(20~50代)を対象に、「建設業の人材不足と離職理由」に関する調査を行いました。
調査概要:「建設業の人材不足と離職理由」に関する調査
【調査期間】2025年7月17日(木)~2025年7月18日(金)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,008人(①501人/②507人)
【調査対象】調査回答時に①中小建設企業の経営者/②建設現場で働く中小建設企業の従業員(20~50代)と回答したモニター
【調査元】株式会社澤村(https://www.sawamura-shiga.co.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
建設業界の人手不足、経営者と従業員が共通認識として捉える最大の理由は「3Kイメージ」、そして最大の意識ギャップは「若手や未経験者の育成環境が整っていない」こと
はじめに、「建設業界が人手不足である理由」について尋ねたところ、以下のような回答結果になりました。

人手不足の理由として『3K(きつい、汚い、危険)のイメージ』と答えた中小建設企業の経営者が(53.7%)従業員が(54.8%)と、ともに50%以上を超える結果となりました。経営者と従業員が共通して、建設業界のそもそものイメージを改善することが、人手不足改善への最重要課題と考えているようです。
また、両者ともに『給与や待遇が仕事内容に見合わない』『休みが取りづらい・労働時間が長い』といった待遇面への課題を上位にあげました。特に『給与や待遇が仕事内容に見合わない』という項目では、従業員の回答割合が最多の(56.6%)と経営者の回答を約10%も上回り、給与・待遇の改善を現場はより切実に捉えているようです。
そして『若手や未経験者への育成環境が整っていない』の項目では、経営者が(26.6%)、従業員(37.1%)と最もギャップがみられました。人手不足の前に、教育・受入れ体制自体環境が整っていないという課題感を、現場の最前線で働く従業員はより重く捉えているようです。
人手不足の中で、教育係となる従業員が目の前の実務に追われてしまっている可能性も考えられます。
なお、『現場事務所や休憩所など職場環境が快適でない』という項目が、経営者と従業員ともに2割以上の回答で4つ目に多い項目となりましたが、「建設現場事務所」について、建設現場事務所を提供する経営者と実際に使用する従業員はそれぞれどのように考えているのでしょうか。
「一般的なオフィスと比べて、快適性に差がある」と4割以上が回答、仮設事務所特有の利便性の悪さや閉塞的な雰囲気に課題感も

『一般的なオフィスと比べて、快適性に差がある』という項目が、経営者(43.5%)従業員(43.6%)でともに4割を超え、最も高い回答を占めました。また、『仮設感があり、全体的に暗くて閉塞的な雰囲気がある』『必要最低限の設備しかなく、使い勝手や利便性が悪い』といった回答率も、経営者と従業員ともに高い結果となりました。これには、前設問の「建設業界が人手不足である理由」として回答率の高かった「3K(きつい、汚い、危険)イメージ」と「現場事務所の快適性やイメージの悪さ」に強い結びつきがあると考えられます。
そして、建設現場での女性活躍も期待されていますが、『女性への配慮が少ないと感じる』という項目において両者ともに約3割の回答が集まりました。人手不足の建設業界において、「性別関係なく働きやすい環境」に向けた対応や改善策を迫られている現状が浮かび上がりました。
経営者は納得、従業員は不足感…「給与をめぐる意識の差」が浮き彫りに
では、人手不足を解消するために企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
ここからは、「中小建設企業の経営者」に聞きました。

「現在、人手不足解消のために行っている取り組み」について尋ねたところ、『給与の引き上げ(50.9%)』が最多で、『福利厚生の充実(住宅手当・家族手当など)(39.3%)』『教育・研修制度の強化(27.5%)』となりました。給与や福利厚生といった待遇改善に取り組む企業が多いことがわかりましたが、自社の給与水準について、どのように考えているのでしょうか。

「貴社の給与水準は、従業員が納得して働き続けられる水準だと思うか」と尋ねたところ、約7割が『とても思う(20.0%)』『やや思う(51.7%)』と回答しました。従業員の給与満足度は高いと認識している経営者が多いようです。しかし、最初の設問「建設業界が人手不足である理由」では、従業員の半数以上が「給与や待遇が仕事内容に見合わない」と回答したことから、給与に関しては経営者と従業員の間に大きなギャップが生じていることが示されました。また、給与への満足度は業務負担や将来の昇給見通しとのバランスも関わってくるので、経営者の評価と従業員の本音には乖離があるといえるでしょう。
では、従業員の声を把握できる体制は整っているのでしょうか。
「従業員の本音や不満を把握できる体制を設けているか」について尋ねたところ、『定期的に対話・ヒアリングなどの機会を設けている(43.3%)』は約4割にとどまり、半数以上の企業において従業員の声を十分に拾う仕組みや従業員とのコミュニケーションの場が整っていない現状が浮き彫りになりました。
■従業員の定着や採用について、現在の課題や経営者として感じている難しさとは
・建設業全体のベースアップ。多重下請けの解消(40代/男性/大分県)
・若い人材に嫌われるイメージを払拭したい(50代/男性/神奈川県)
・報酬と労働環境のバランスを整えるのが、現状では難しい(50代/男性/大阪府)
・労働時間の短縮で売上は下降しているが給料は上昇しているところが課題(50代/男性/愛知県)
・求人募集をハローワークやSNSで募集しているが、若い人材が現場仕事を避けている感じがする(50代/男性/茨城県)
・従業員とのコミュニケーションの難しさ(60代/男性/千葉県)
・従業員の採用は控えざるを得ないほど、採算が悪い(60代/男性/神奈川県)
業界構造と現場運営の両面に課題を抱える声が多く、人材の定着・採用には複合的な改善が必要であることが示されました。
約9割が「建設業を辞めたい」と思った経験アリ、従業員が望む「働き続けたい」環境とは
ここからは、建設現場で働く中小建設企業の従業員の本音に迫っていきます。

「建設業を選んだ主な理由」について尋ねたところ、『ものづくりや現場の仕事が好きだから(24.3%)』が最多で、『手に職をつけられると思ったから(18.7%)』『給与が比較的良いと思ったから(18.2%)』となりました。
次に「建設業を辞めたいと思ったことがあるか」について尋ねたところ、約9割が『よくある(34.3%)』『たまにある(51.3%)』と回答しました。大多数の方が「辞めたい」と思ったことがあると回答したことから、建設業における離職リスクの高さを如実に示しています。
■建設業を「辞めたい」…そう思った理由とは?
・残業や元請けから理不尽な事を指示されたときなど(30代/男性/神奈川県)
・労働時間に対しての対価があまりにもない。休日も工期によって取得できない(30代/男性/北海道)
・人手不足で何でも一人でこなさないとならない、会社も見て見ぬふり(40代/男性/北海道)
・給与面が見合っていない(40代/男性/香川県)
・疲れる オペレーションの不備 工期納期に追われる(40代/男性/埼玉県)
・現場監督になると休みが取れない(40代/男性/鹿児島県)
・残業が多過ぎてプライベート時間が持てない(50代/男性/千葉県)
先の経営者での回答では『定期的に対話・ヒアリングなどの機会を設けている』が約4割にとどまっていることから、上記のような不満が現場で蓄積している可能性があります。人材不足を解消するためには、給与・待遇改善と併せて、十分な「コミュニケーションやヒアリングの場」を持つこと、そして、現場の業務配分やマネジメント体制を整備し、従業員の声を反映できる仕組みを整える必要がありそうです。
では、現場で働く従業員は、どのような職場であれば「今後も働き続けたい」と思えるのでしょうか。

「あなたが今後も働き続けたいと思える職場の条件」について尋ねたところ、『安定した給与・昇給制度がある(60.2%)』が最多で、『労働時間や休日が柔軟に調整できる(54.2%)』『福利厚生が充実している(37.1%)』『快適で働きやすい環境(事務所・トイレ・休憩所など)(37.1%)』となりました。
給与の安定性とワークライフバランスを両立できる環境こそが、継続的な就労の条件として強く求められていることが読み取れます。また、快適な職場設備へのニーズが上位に入り、職場環境の改善が心理的な定着にも直結することもわかりました。
さらに、『やりがいのある仕事・達成感がある(33.7%)』『人間関係が良好で相談しやすい(31.0%)』も3割以上の回答率があり、わかりやすい待遇面以外にも、モチベーションが維持できるような職場であること、そしてコミュニケーションにおける風通しの良さも重視されていることがわかります。
まとめ:人材を守る3つの軸は安定した給与・柔軟な働き方・現場の快適性―3Kイメージ払拭へ、従業員の声を聞く体制の整備を
今回の調査で、中小建設企業における深刻な人手不足の背景として、「3K(きつい・汚い・危険)」という業界イメージと、経営者と従業員の意識ギャップが大きな要因であることが明らかになりました。
まず、両者が共通して人手不足の最大の要因と捉えていたのは「3Kイメージ」です。加えて、育成体制の不備や現場の快適性不足も課題として挙がり、現場事務所の閉塞感や設備の不十分さが、3Kイメージをさらに強めている実態が見えてきました。
その一方で、給与や待遇に対する意識には両者に大きなギャップがありました。経営者の多くは自社の給与水準を評価しているのに対し、従業員の多くは「給与が仕事内容に見合わない」と強い不満を抱えているようです。
しかし、現場の声を把握する仕組みが整っていない企業も多く、不満が可視化されないまま蓄積しているリスクが浮き彫りとなりました。
こうした状況を改善し、人材の定着・採用を進めていくためには、「安定した給与」「柔軟な働き方」「快適な職場環境」といった従業員が求める条件を実現するだけでなく、業務配分やマネジメント体制の見直し、現場の声を汲み取る仕組みづくりです。
そして、根強く残る3Kイメージに対しては、実態に即した改善の取り組みを外に発信していく姿勢が求められているといえるでしょう。
【ウェルネス現場事務所のご紹介】
当社は従業員の心身の健康の向上を目的とした、ウェルネス仕様の建設現場事務所を導入しています。工期に定めのある現場事務所は最低限の設備や環境にとどまりがちですが、当現場事務所は現場で働く従業員のために、「清潔性、業務快適性、疲労軽減」といった機能面に加え、「リラックス・リフレッシュ、コミュニケーション促進」といった情緒面にも配慮した内容となっています。また、従業員の心身の健康や快適性を職場環境から後押しすることは、期日に対しての円滑な業務遂行、施工品質の向上にもつながると考えています。





【会社概要:株式会社澤村】
滋賀・京都・福井エリアを中心に、注文住宅・リフォームからオフィス・工場・店舗・公共施設の建築土木にいたるまで、ワンストップで課題を解決する総合建設会社。
観光名所「びわ湖テラス」の施工も手がけた。
地域マルシェの開催など地方活性化のきっかけづくりにも取り組む。
本社所在地が人口4万6千人足らずの高島市という地方のハンデを抱えながらも、ブランディングを機に6年で社員数・売上を約2倍、新卒採用エントリー数499名へと成長させた。「地方においても、都会に負けないほどの働きがいがある会社」を目指している。

会社名:株式会社澤村
代表者:澤村 幸一郎
本社:滋賀県高島市勝野1108番地3
業種 :建設業
創業:1950年
資本金:50,000,000円
従業員:184名(グループ全体)2025年4月時点
HP:https://www.sawamura-shiga.co.jp/
<お問い合わせ先>
株式会社澤村 ブランド・コミュニケーション課 和田山翔一
TEL:080-4245-3373/Email:s.wadayama@sawamura-shiga.co.jp
〈ウェルネス現場事務所 所在地〉
520-0232 滋賀県大津市真野1丁目54-1 (株)澤村 建設現場事務所
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