先端半導体製造における超純水用配管等のPFASフリー化にめど ~積水化学と共同で低溶出性の非有機フッ素化合物系資材を用いた配管等の試作と検証を実施~
栗田工業株式会社(本社:東京都中野区、社長:江尻 裕彦、以下「クリタ」または「当社」)は、積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤 敬太、以下「積水化学」)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:平居 義幸)が開発した新たな資材を用いることによる、有機フッ素化合物系(PFAS)を含まない(以下「PFASフリー」)超純水向け配管・継手の実現にめどが立ちましたので、お知らせいたします。
PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、水や油をはじく効果や高い耐薬品性・耐熱性から、工業用から消費者向けまでさまざまな製品に使われています。しかしながら、PFASの一部は、発がん性や子どもの成長への影響などの有害性が指摘されていることから、近年欧米を中心に水質規制・製造規制が進んでおり、日本においても2026年度から、PFASのなかでも特に有害性が指摘されているPFOAおよびPFOSに対し、水道水水質基準化と定期的な検査の義務化が予定されています。
クリタグループは、PFASへの対応を水と環境に係る社会課題の一つと認識し、事業領域におけるPFASの影響等に関する多面的な情報の収集・分析と対応の検討を進めています。また、お客様に対しては、PFASの分析、処理、および処理材の廃棄に係る課題解決を、技術的な知見にもとづき支援しています。これらの一環として、水処理装置におけるPFASフリー部材の共同開発に取り組んでおり(*1)、素材・成型企業やユーザー企業との対話、部材の試作、当社グループの研究開発・イノベーション創出拠点であるKurita Innovation Hub(KIH;東京都昭島市)における実際の水処理装置を用いた試作品の実証等を進めています。
これらの背景に加え、超微細化が進む先端半導体産業では、配管等に含まれる無機物および有機物の溶出ができるだけ少ない配管資材が求められています。そこで、当社は積水化学と共同で、従来の有機フッ素樹脂(PVDF)に代わる、低溶出性の超純水用配管等向けの資材の検討を進めた結果、特殊オレフィン樹脂(*2)配管材を積水化学が新たに開発するにいたりました。その後、本資材を用いて試作した配管および継手の検証を進め、2022年11月から実施した、KIHにおける超純水製造装置を用いた試験において、溶出性、微粒子発塵性、ガス透過性などの評価項目でPVDF配管同等の性能の達成を確認しました。さらに、PFASの観点で本資材の改良に積水化学と共同で取り組み、超純水用配管・継手のPFASフリー化にめどが立ったものです。
今後は、実用化を視野に試験の対象を拡大するため、海外を含む複数のユーザーの超純水製造装置への超純水用のPFASフリー配管等の導入に向けた準備を進めていきます。また、半導体製造工程用の超純水製造をはじめとする水処理装置に加え、他の装置、プラント全般を含む部材のPFASフリー化への貢献を視野に入れた取り組みとして、資材・成型企業やユーザー企業との共同開発を引き続き推進していきます。
クリタグループは、創立以来培ってきた水に関する知を駆使して、お客様と社会に新たな価値を提供する技術、製品・サービスや、ビジネスモデルを創出し、水と環境に関する社会課題の解決を通じた持続可能な社会実現への貢献を引き続き目指してまいります。
以上
注)
*1: 2025年4月4日付当社ニュースリリース「水処理装置におけるPFASフリー部材の実用化に向けた共同開発を本格化」参照。
*2: オレフィン系樹脂とは、内部に炭化水素の二重結合を持った樹脂の総称で、軽量で低吸湿、良耐薬品性、耐熱性など、品種・グレードによりさまざまな特性を持つ。

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