本当のペルソナが見えてくる!オンライン上のユーザー行動データからユーザーエクスペリエンスを紐解く研究活動発表

〜高級車の購入検討行動分析〜

株式会社ヴァリューズ

 IT先端技術を活用してネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズならびに、徹底したユーザーエクスペリエンスの視点から企業のデジタルマーケティングを支援するネットイヤーグループ株式会社は、オンライン上のネット行動ログとユーザー属性情報を用いて定量・定性的にユーザーエクスペリエンスを明らかにする研究活動を共同で行いました。

 ユーザー像(ペルソナ)ならびにユーザーの体験(ユーザーエクスペリエンス)をオンライン上のユーザー行動データから紐解くために、今回は長期的な購買検討が発生する高級車のオンライン上の購買検討行動ログに対して、定量的な分析とUX視点での定性的な分析双方を掛け合わせて分析しました。
◆調査・分析概要
 高級車(新車)を購入したユーザーの検討行動を分析するため、車の購入時期や購入車種を調査しました。アンケートの回答者で高級車(300万円以上の自動車)を購入したと答えたユーザーについて、自動車購入の5ヶ月前~購入月までの半年間のネット行動ログを分析しました。
 クラスタリングを行うために、幾つかの仮説(国産車・輸入車による違い/複数の車種の検討・単一の車種の検討による違い/カスタムの可否など趣味性の高低による違い、など)を立てた上でクラスタリングを行い、ピックアップされた行動ログをUX視点で細かく読み解いて検証しました。最終的に、自動車関連のサイト閲覧傾向からクラスタリングすることで、オンライン上での行動特性の違いが明確に分かれることを見出しました。

それを踏まえ、自動車関連サイトを

 ・公式サイト(自動車メーカーサイト)
 ・メディア
 ・口コミ
 ・中古購入
 ・関連グッズEC

の5つのカテゴリに分類した上で、ユーザーのウェブ行動の傾向を分析しました。


◆ユーザーのクラスタリング
 高級車を購入しているユーザーについて、「公式サイト(自動車メーカーサイト)」「メディア」「口コミ」「中古購入」「関連グッズEC」の5つのカテゴリの閲覧傾向を元にクラスタリングを行った結果、ユーザーを6つのクラスターに分けることができました。

6つのクラスター
・メーカーサイト中心
・グッズ閲覧
・車メディア好き
・口コミ重視
・中古車検討
・関連サイトの閲覧小

 最も大きいクラスターは、検討過程で公式メーカーサイト以外のサイトをほとんど見ていない、「メーカーサイト中心」クラスターであり、高級車を購入しているユーザーの35%が該当しています。また、公式メーカーサイトはどのクラスターであっても、2番目もしくは3番目に閲覧量の多いサイトであることから、高級車の購入にあたってはメーカー公式サイトが重要なチャネルであることがわかります。
 一方、「グッズ閲覧」「車メディア好き」「口コミ重視」の3つのクラスターは、閲覧しているサイトの傾向から、自動車に対する趣味性が高いクラスターと考えられます。約30%が趣味性の高いクラスターであり、このクラスター群は公式メーカーサイトよりも他のサイトでの検討行動を大きく重視していることがわかりました。中古車も検討範囲に入っていると思われる「中古車検討」クラスター(約3%)も同様の傾向です。
 残りの34%はサイト閲覧がそもそも非常に少ない「関連サイトの閲覧小」クラスターであり、このクラスターは公式サイトの閲覧比率は高いものの、そもそもオンラインでの検討行動をほとんど行っていないことがわかりました。

◆各クラスターのプロフィール
 各クラスターのプロフィールを理解するため、年齢や購入車の価格などを集計しました。
 各クラスターとも年齢ではあまり大きな違いは見られませんが、購入車の価格では「メーカーサイト中心」「口コミ重視」「中古車検討」クラスターが低めの傾向があり、「グッズ閲覧」「車メディア好き」クラスターは高めの傾向がありました。車に対する趣味性が高いクラスター群の中では「グッズ閲覧」「車メディア好き」がより価格の高い車種を好むのに対し、「口コミ重視」では購入車の価格は低めとなっていますが、カスタムのための口コミを多く閲覧している傾向が見受けられることから、「口コミ重視」でもカスタムも含めた総費用は高くなっている可能性があります。
 一人当たりのPVでは、「メーカーサイト中心」クラスターの閲覧量が少なく、「口コミ重視」「中古車検討」クラスターでは、閲覧するサイトの性質上、多くの口コミや中古車情報を閲覧するために必然的に閲覧量が多くなっています。「メーカーサイト中心」クラスターは公式メーカーサイト中心でみているため、そもそも閲覧量が少ない状態で検討行動が成立していますが、公式メーカーサイト以外のサイトを重視して閲覧するクラスターでは、サイトの性質や検討量の多さに伴い、閲覧量が多くなっていると考えられます。


「メーカーサイト中心」クラスター(構成比:35%)
 このクラスターは車メディアでの試乗レポートや最新のニュース、ECサイトでのパーツやグッズの情報のチェック、車の様々な口コミ情報のチェックをあまり行わず、メーカーの公式サイトで情報をチェックしています。よって、購入車の社外品によるカスタムにはあまり興味を持っておらず、ディーラーに勧められたオプションを検討して、購入したそのままの状態で乗り続ける可能性が高いと考えられます。なお、公式メーカーサイトでは購入検討候補の車の情報をみているだけでなく、購入前に乗っている車の情報を確認していることもあります。
 基本的に、公式サイトが提供しているブランドの世界観やメッセージを受け取って、その範囲内で決定をおこなっており、ブランドに対して従順かつ満足度が最も高いクラスターであることが示唆として受け取れます。逆に、それ以外の情報にはあまり興味を持っておらず、そもそも特定のブランドが好きで他を深く検討する必要がないタイプか、もしくは車に対して強い興味がないために幅広い検討を行わないタイプ、また、そもそもオンラインでの情報収集に対するリテラシーが低いタイプがいると考えられます。

「グッズ閲覧」クラスター(構成比:12%)
 このクラスターはECサイトで自動車のパーツやグッズなどをチェックしているクラスターです。公式サイトでの情報チェックもある程度行っていますが、購入検討車のパーツやグッズをチェックして、カスタムすることを検討しています。ただし、実際に自分でカスタムしている人の口コミをチェックすることはあまり行っていないため、「口コミ重視」クラスターと比べると、ショップやディーラーに取り付けを任せていたり、簡単な取り付けができるパーツを検討しているなど、カスタムに関する趣味性はやや低い可能性がありますが、基本的に車に対する趣味性が高いクラスターと言えます。

「車メディア好き」クラスター(構成比:9%)
 このクラスターは車メディアサイトにて最新の情報をチェックしたり、試乗レポートをよく見るなど、車メディアや自動車評論家の意見を重視して購入検討を行っています。車の購買検討時だけでなく、普段から日常的に車メディアで趣味として情報収集を行っているケースも多く、車全般への興味・趣味性が高いクラスターです。他のクラスターよりも高い価格帯の高級車を購入していますが、パーツやグッズのチェック、口コミのチェックはあまり行っておらず、こだわりをもって選択した高級車をカスタムせずに楽しむ人が多いと考えられます。

「口コミ重視」クラスター(構成比:6%)
 このクラスターは主にみんカラを中心とした興味のある車種のユーザー投稿記事を多く閲覧しているクラスターです。また、「グッズ閲覧」クラスター同様、ECサイトで車関連のグッズやパーツを多く閲覧して検討しています。ユーザー投稿記事はいつもチェックしている人たちの最新の記事を日々周回したり、興味ある車種のパーツ取り付け方法やレビューの情報をチェックしています。他のオーナーの実情とノウハウを常にチェックし、今後のカーライフの妄想を楽しんでいると考えられます。そのため、一人あたりのPV数は最も多いクラスターとなっています。購入平均金額は最も低いため、車体にお金をかける度合いは低いが、その分、別途カスタムにお金を掛けている可能性が高いと思われます。「グッズ閲覧」クラスターよりもさらに車をカスタムすることに対する趣味性が高いクラスターであり、かつ、「車メディア好き」同様、購入検討時にとどまらず、日常的にユーザー投稿記事をチェックしている人が多いと思われます。

「中古車検討」クラスター(構成比:3%)
 このクラスターは、新車だけでなく中古車も購入対象として重視して検討しているクラスターです。よって、今回の高級車の新車を購入したクラスター群の中では3%と非常に少ないクラスターとなります。主に中古車情報サイトで条件にあった車を検索・閲覧して検討していることが多く、発見した中古車の公式情報や新車での検討候補車の情報を公式サイトでたまにチェックするという行動をしています。中古車情報サイトで様々な車の情報を閲覧しているため、一人あたりのPV数は「口コミ重視」クラスターに次いで2番目に多いクラスターとなっています。
中古車情報サイトでの検討が中心であることを除くと、基本的には「メーカーサイト中心」クラスターに近く、車に対する趣味性は低い傾向があると考えられます。

「関連サイトの閲覧小」クラスター(構成比:34%)
 このクラスターはほぼ車関連のサイトを閲覧していないクラスターです。よって、ディーラーからの薦めに従って同じブランド/車種の中から乗り換え候補の車を検討し、そのまま購入していると推測されます。車メディアサイトや口コミサイト、ECなど、公式メーカー以外のサイトもほとんど閲覧していないため、車に対する趣味性は非常に低いクラスターであると考えられます。

◆「メーカーサイト中心」クラスターのユーザー像深堀り
 「メーカーサイト中心」クラスターをより深く理解するため、「何種類の公式メーカーサイトを閲覧しているか(下図の縦軸)」と「集計期間の中で車サイトを何日間閲覧しているか(下図の横軸)」でユーザーをプロットしました。
 

 図の縦軸で上に行くほど、閲覧している公式サイトの種類が多いことを表しており、複数のメーカーを比較検討するユーザーであると考えられます。図の横軸で右に行くほど、車関連サイトの閲覧日数が多くなり、購入検討の必要性に応じてのみならず、日常的に車関連情報を閲覧するような、車への趣味性が高いユーザーであると考えられます。なお、全体の傾向としては、縦軸は下、横軸は左に寄っています。
 すなわち「メーカーサイト中心」クラスターは、

 ・検討している車種・ブランドがある程度絞られている
 ・車関連サイトを閲覧する量は少なめ
 ・検討の必要性や気分に応じて公式サイトを中心に閲覧している
 ・ディーラーの影響が比較的強いと推測される

クラスターであることが深掘りできました。よって、ブランドの世界観をそのまま受け止めて浸るタイプが多く、ブランドからのコミュニケーション(DM、メルマガ、キャンペーン、イベント)に反応しやすいということが推測されます。

◆「メーカーサイト中心」クラスターのペルソナ例

    「メーカーサイト中心」クラスターのペルソナ例

 「メーカーサイト中心」クラスター内から、新しく発売される車種を購入検討しているユーザーの行動ログを観察することでペルソナとして把握しました。このペルソナは、新しい車種が発売されるまでは公式サイトで現行モデルの情報を繰り返しチェック、発売されてからは新しい車種の情報を公式サイトでチェックすることが主な行動となっていました。また、公式サイトでは得られない試乗レポートなどを車メディアサイトで補完している姿が見受けられました。ブランディングに伴うコンテンツを閲覧していたため、検討している車種の世界観に浸っていることが想定されます。なお、このペルソナは当初は車に対する意識が高く、常に公式サイトをチェックするほど日常的に検討車種のブランドに心酔しているペルソナとして認識されましたが、車関連サイト以外の閲覧行動の割合と比べると、他の趣味に対する閲覧行動のほうが圧倒的に多いことがわかりました。よって、普段は他の趣味に傾倒しているが、車に関しては検討車種のブランドのことだけを考えている、というペルソナになりました。

 一般的に自社サイトのログを見てユーザーを把握するケースは多いですが、それだけではユーザーの一側面しか確認できておらず、本来のユーザー像とかけ離れた捉え方をしてしまう可能性があります。オウンドメディア以外の関連サイトでの閲覧行動を把握したり、生活上の全体のネット閲覧行動との割合を踏まえることで、実情を反映した本当のペルソナが見えてくることがわかりました。


◆ 分析のまとめ
 高級車の購入者のウェブ行動を見ると、およそ35%のユーザーが公式サイトを中心に情報を収集している「メーカーサイト中心」クラスターであることがわかりました。さらにそのクラスターを深く分析すると、車についての趣味性が薄いユーザーが多く、他のユーザーに比べて多岐に渡る情報収集を熱心に行うタイプではないため、ブランドからのコミュニケーション(メーカーサイト、DM、メルマガ、キャンペーン、イベント、ディーラー)が有効に働く可能性が示唆されました。しかし、その他の約30%の趣味性の高いクラスター群では公式メーカーサイトよりも他のサイトでの検討行動を重視しており、かつ、他サイトの閲覧量は非常に多くなっています。残りの34%の「関連サイト閲覧小」クラスターでは殆どオンライン上での購入検討行動が行われておりません。すなわち、65%近くのクラスター群がメーカーの公式サイトをオンライン上の購入検討行動の中心には据えていないことがわかりました。

 なお、ユーザーを深く見る方法として、個別のユーザーを定性的に深堀りして分析することができます。「メーカーサイト中心」クラスターのペルソナ例で取り上げているように、抽出した個別のユーザーの行動ログを詳細に観察すると、購入検討車種のブランドのメーカー公式サイトを熱心に訪れ、頻繁に新情報を確認している様子が見られることから、ブランドへのロイヤリティの高さがうかがえます。このように、行動ログの観察をワークショップとして実施し、ペルソナとカスタマージャーニーマップに落とし込むと、ワークショップ参加メンバーはユーザーのリアルな体験を実感できることがわかりました。これは顧客体験そのものから顧客視点を理解する際に有効な手法です。

ヴァリューズならびにネットイヤーグループでは、このオンライン上のネット行動ログ+ユーザー属性情報を用いたペルソナ/カスタマージャーニー体験ワークショップを提供することも可能です。

■株式会社ヴァリューズについて
 株式会社ヴァリューズは、マーケティングノウハウとIT先端技術を活用して、新たな市場価値の創造をサポートする、事業成長支援企業です。モニター会員の協力により、行動ログとデモグラフィック(属性)情報を活用した次世代マーケティング手法「VALUES eMark+」(ヴァリューズ イーマークプラス)サービス提供のほか、経営課題のコンサルティングから、課題解決、販売促進の支援まで、独自のノウハウとソリューションで多くの企業を支援しています。

企業サイト
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■ネットイヤーグループ株式会社(東証マザーズ:証券コード 3622)
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代表者名
辻本秀幸
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2009年09月