【業界別調査】大企業のDE&Iを可視化消費者サービス業と伝統的製造業に課題。各業種の主要10社の同性婚及びへの賛同状況を調査
~LGBTQ+職場環境の改善に関する取り組みも可視化~
結婚の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業・団体を可視化するキャンペーン「Business for Marriage Equality」は、業種別の主要企業10社の同性婚への賛同状況を調査しました。
2024年3月14日の「結婚の自由をすべての人に訴訟」の高裁違憲判決を機に、同性婚への社会的・政治的な注目が集まっています。一方、企業・ビジネスセクターに企業によるDE&Iの取り組みが広がり、経済界からのアクションも重要になっている中、Business for Marriage Equality(以下、ビジマリ)は、賛同企業数が480社(3月27日時点)を越えている状況を踏まえ、業界別の同性婚への賛同状況調査を実施しました。
各業種の主要企業10社の同性婚への賛同状況を調査。
国内の上場企業19業種の内、上位10社を対象*に賛同企業数を調査したところ、10社中「不動産」「広告・情報通信サービス」では4社、「食品」「医薬・バイオ」では3社がそれぞれ賛同、19業種中4業種で過半数を越えていることが分かりました。一方で、上位10社の内1社も賛同企業がない業種は二分される結果となり、「エネルギー」「石炭・鉱石採掘」「中間流通」などの伝統的な製造業などBtoBサービスの他、「外食・中食」「運輸サービス」「消費者サービス」「公共サービス」などBtoCサービスでも最も消費者に身近な業種が該当することが判明しました。
※対象企業は経済情報プラットフォーム「SPEEDA」掲載の国内上場企業(東証)上位10社(売上高ベース)
※一部業界(ソーシャルビジネス、その他、不明)は割愛
※調査については、2024年1月末時点の賛同状況を反映
業種別の賛同企業
「建設」大林組(1社)
「不動産」積水ハウス、大東建託、三菱地所、東急不動産ホールディングス(4社)
「素材・素材加工品」三菱ケミカルグループ(1社)
「機械・電気製品」ソニーグループ、パナソニック ホールディングス(2社)
「輸送機械」本田技研工業、ブリヂストン(2社)
「食品」日本たばこ産業、サントリー食品インターナショナル、明治ホールディングス(3社)
「消費財」資生堂、ヤマハ(2社)
「医薬・バイオ」第一三共、中外製薬、住友ファーマ(3社)
「小売」LINEヤフー(1社)
「金融」ソフトバンクグループ(1社)
「広告・情報通信サービス」ソフトバンク、KDDI、富士通、電通グループ(4社)
「法人サービス」リクルートホールディングス(1社)
「エネルギー」なし(石油開発・販売など)
「石炭・鉱石採掘」なし
「中間流通」なし(商社など)
「外食・中食」なし
「運輸サービス」(鉄道・航空・船舶・物流など)
「消費者サービス」なし(旅行・娯楽施設など)
「公共サービス」なし(電力など)
LGBTQ+職場環境の改善に関する取り組みも可視化
同性婚を巡っては、2023年7月に国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が訪日して調査を実施。障がい者や民族など国内の様々な権利擁護を必要とする当事者と合わせて、差別禁止法や同性婚の法制化を求める当事者にヒアリングを行うなど、世界的な人権問題であることが明白である一方、政治的な課題と捉え反応に躊躇してしまう企業も一定数います。
そこで、職場でのLGBTQ+に関する取り組みを評価する指標『PRIDE指標』の認定企業(2023年)の状況についても調査を実施。国内企業のDE&Iへの取り組み状況をより現実的に可視化したところ上記の結果となりました。
◆「PRIDE指標」について:https://workwithpride.jp/pride-i/
◆「PRIDE指標2023」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000120117.html
同性婚への賛同及び「PRIDE指標」業界別取得状況
さらに、同性婚への賛同企業数との合計値を業種別でグラフ化したところ、上位3位は「広告・情報通信サービス(13)」「金融(11)」「医薬・バイオ(10)」となりました。
また、どちらにも賛同・取得をしていない業種は「石炭・鉱石採掘」「消費者サービス」の2業種となり、鉱山・鉱物系など消費者に身近ではない伝統的な企業と、旅行・宿泊業や映画・カラオケ・テーマパークなど娯楽施設といった消費者に身近な業種が該当することが分かりました。
※業界別の表化
尚、PRIDE指標の認定企業と同性婚への賛同企業について、乖離がある業種は「金融」と人材・印刷・警備・リースなどの「法人サービス」となりました。
調査の結果からは「広告・情報通信サービス」を中心にDE&Iへの取り組みが進んでいることが判明しました。製品サービス自体のライフサイクルが短く技術革新の頻度が高いことで、製品開発やサービス提供等の場面において新しいアイデアやアプローチが求められ、多用な人材の採用・活用傾向がある業種であることが要因の一部と推測されます。
取り組みが遅れている業種については、古くからの慣習が根強く人材の流動性が低い一部の製造業や、BtoCサービスの中でもコンテンツが頻繁に刷新される一方、コンテンツを提供する施設自体や事業構造全体には大きな変化が求められない業種が該当する傾向にあると言えます。
また、各業界に共通する点として、LGBTQ+に関する職場環境の整備・改善に関する取り組みが進んでいる一方で、同じDE&Iの中でも同性婚への理解・賛同については取り組みが遅れていることが判明しました。
多様性が求められる時代、働きやすい環境づくりが重要に~500社賛同に向けて活動を推進~
2025卒の就活が解禁され学生が就職先を探し始めると同時に、新年度の4月からは新たな組織体制や様々な研修などが社内でもスタートする中、企業側が一人ひとりの多様性を認め、誰もが働きやすい職場・環境づくりが求められています。
ビジマリでは、日本国内の賛同企業・団体数「500社」を目指して、全国から賛同企業を募集しています。現在、検討中の企業・担当者が社内向けプレゼンに活用できる「賛同検討キット」を配布中。今度も同性婚の法制化(結婚の平等)の実現及び企業のDE&Iの推進に向けて活動してまいります。
【各団体について】
◆Business for Marriage Equality
ビジマリは日本国内で活動する公益社団法人 Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に、NPO法人 LGBTとアライのための法律家ネットワーク、認定NPO法人 虹色ダイバーシティの3つの非営利団体が共同運営しています。
※賛同企業・団体数には、在⽇⽶国商⼯会議所(ACCJ)が他の4つの在⽇商⼯会議所とともに2018年に公表した、⽇本政府に対して結婚の平等を認めることを求める提⾔への賛同企業・団体数を含みます。
・NPO法人 LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)
実務法律家としての経験と知識を活かして、法制度の調査研究、法律上の論点に係る提言などを通じて、LGBTその他のセクシュアル・マイノリティに関する理解そして対話を促進し、性的指向や性自認を理由とする差別を解消するための法的支援等を行い、もって個人の尊厳と多様性が尊重され、すべての人々が安心してその能力をフルに発揮して活躍することのできる平等かつインクルーシブな社会の実現に貢献することを目的として、2016年2月に発足いたしました。http://llanjapan.org/
・認定NPO法人 虹色ダイバーシティ
SOGI(性的指向、性自認)による格差のない社会づくりを目指して、調査・研究、社会教育活動を行っている認定NPO法人です。
https://nijiirodiversity.jp/aboutus/
・公益社団法人MarriageForAllJapan-結婚の自由をすべての人に
性のあり方に関わらず、誰もが結婚するかしないかを自由に選択できる社会の実現を目指して活動しています。2019年2月提起の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護団に所属する弁護士の一部と、社会課題の解決に取り組む様々な専門家等のプロフェッショナルによって、結婚の平等(同性婚の法制化)を実現させるために設立されました。「2人で一生を共に生きていきたい」と考えたとき、カップル双方が結婚したいと望めば結婚することができ、また、結婚という形をとらないことを望むならば結婚を強制されないということ。それが「結婚の自由」です。
「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」という法人名は、そのような結婚の自由(結婚という選択肢)が、異性カップルであるか同性カップルであるかにかかわらず、平等に用意されるべきであるという思いを表したものです。私達は、この「結婚の自由をすべての人に」訴訟をPRという形でサポートするほか、イベントやセミナー、メディア出演、調査研究、ロビイングなどを通じて、結婚の平等(同性婚の法制化)の実現を目指します。
https://www.marriageforall.jp/
団体概要
◆名 称:公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に
◆設 立: 2019年1月
◆代表理事:寺原真希子・三輪晃義
◆理 事:上杉崇子・加藤丈晴・松中権・前田信・柳沢正和
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