京都における日本画新人賞「京都 日本画新展2024」受賞作品の決定および作品展の開催について
このたび、以下のとおり「京都 日本画新展2024」(2023年度)の受賞作品が決定するとともに、京都の文化振興の取り組みの一つとして、また多くの皆様に日本画文化をお伝えする場として、「京都 日本画新展2024」作品展を開催致しますのでお知らせします。
1 受賞作品 ※年齢は2024年1月10日現在、地名は出生地、敬称略
(1)大 賞 : 1点(賞金30万円)
○作者名 山部 杏奈(やまべ あんな)27歳 京都府京都市
○作品名 ある部屋の光
○講 評
技法や日本画的な表現としても独自性があり、これまでの日本画にない新しい世界観が表現されている。日本画の未来への可能性を感じることができる。
○コメント
自宅の窓辺の風景をモチーフに制作しています。同じ部屋、同じ窓を元に何度も描いてきました。描き始めた時の新鮮な光景を追いながら、窓は常に現在の姿でそこにあり続けます。
作品は、これまで見つめてきた部屋自身の記録です。
素材:麻布、岩絵具、水干絵具、胡粉
(2)優秀賞 : 2点(賞金10万円)
○作者名 竹下 麻衣(たけした まい)24歳 島根県大田市
○作品名 おしゃべりな糸屑たち
○コメント
ある日、縫い物をしていた。
卓上で散らばる糸屑が自然な線や形を描いていた。
意図的ではない線や形はおしゃべりをしているようにみえた。
素材:麻キャンバス、岩絵具、水干絵具、箔、パステル、木炭
○作者名 古谷 優加子(ふるたに ゆかこ)37歳 兵庫県姫路市
○作品名 迷子の風
○コメント
娘の存在は生の実感だ。
かつての私が見ていた景色の片鱗を覗かせてくれる。
子供の頃に覗いた世界を、娘を介して表現できたらと思う。
素材:雲肌麻紙、岩絵具、水干絵具、金箔
(3)奨励賞 : 3点
奨励賞・京都府知事賞
○作者名 高山 紀久恵(たかやま きくえ)23歳 秋田県雄勝郡
○作品名 継ぐ
○コメント
地元で毎年行われる盆踊りでは子供からお年寄りまで幅広い年代の方々が笠や頭巾で顔を隠して踊り、その中にはお盆で帰ってきたご先祖様たちも一緒に交じって踊っていると言われています。
大人の踊りを見ながら一生懸命踊る子供の姿を見て、次の代へ受け継がれていく様子を作品に残したいと思い制作しました。
素材:寒冷紗、アクリル絵具、岩絵具、水干絵具、ジェッソ
奨励賞・京都市長賞
○作者名 小熊 香奈子(おぐま かなこ)42歳 大阪府和泉市
○作品名 時がふりつもる
○コメント
暮らしの彩りにと、部屋の片隅に生けた花たち。盛りを過ぎて終わりの時を迎えていきました。
時をつむごとに変化していく花々の表情は美しく、終わりの中に豊かな彩りを感じさせました。
傍らに眠る猫のように、変わりゆく景色を受け入れ、静かに見つめていたいと思いました。
素材:麻紙、岩絵具
奨励賞・京都商工会議所会頭賞
○作者名 田中 達也(たなか たつや)39歳 兵庫県尼崎市
○作品名 痕跡
○コメント
地元兵庫の高架下の壁や工場の壁を主軸に作品を創り上げていった。当初描き進めていたものに疑問を持ち、完成間近のものを潰し再構成し、新たに積み上げていった。そこには単純な抽象表現ではない写生で感じたものを創るということ、そして自身のテーマでもある「構成と蓄積」を意識した制作ができたと思っている。
素材:麻紙、岩絵具、アクリル絵具、水干絵具、胡粉、箔
2 作品展
作品展の名称:「京都 日本画新展2024」
日時:2024年2月2日(金)~2月11日(日・祝) 計10日間
午前 10 時-午後 7時 30 分(最終日は午後5時まで)
※会期中無休 入館は閉館の 30 分前まで
会場:美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
入館料:無料
内容:出品作品全30点と推薦委員の6点の作品
3 出品作家によるギャラリートーク
日時:2024年2月3日(土)・4日(日)・10日(土)・11日(日・祝)等を予定(※)
会場:美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
入館料:無料
内容:作品展内で出品作家が自身の展示作品の解説を行います。作品の背景や作家の想いなど、作品展や作品の新たな見方や楽しみ方が広がる機会です。
※詳細はホームページ等でお知らせします。
(http://event.kyoto-np.co.jp/event/shinten2024.html)
4 授賞式
日時:2024年2月6日(火)午後6時
会場:ホテルグランヴィア京都
※取材申し込みは、事務局(京都新聞COM)へお願いいたします。
5 事業の概要
1 事業の趣旨
京都における日本画は、「京都画壇」として多くの人材を輩出し、今日に至っています。また、日本画の世界を通じて育った人材は、京都に伝来する美術、工芸、産業振興に広く深くかかわり、その基礎的部分を形成しています。
「京都 日本画新展」、そして「続(しょく)『京都 日本画新展』」を通して、日本画を志す若手作家たちが、生き生きと日本画を描くことを応援し、その活躍の場の一つを提供してまいりました。
2018年度から、京都府、京都市、京都商工会議所が共催となり、「京都全体で本展に取り組む」ことをめざしています。そして推薦委員には現在、芸術大学で教鞭をとられている方々を起用し、より幅広い、多様な出品者が期待され、また新しい選考委員のもと、多角的な視野から作品審査を行っています。
伝統と文化、そして大学の街・京都の特性を最大限に生かし、引き続き、日本画を志す若手作家とともに、京都ならではの日本画展をめざします。
2 主催者等
○主 催 西日本旅客鉄道株式会社、京都新聞
○共 催 京都府、京都市、京都商工会議所
○後 援 京都府教育委員会、京都市教育委員会、KBS京都、エフエム京都
3 運営体制
(1)推薦委員(50音順、敬称略)
石股 昭(奈良芸術短期大学教授)
雲丹亀 利彦(京都精華大学教授)
大沼 憲昭(嵯峨美術大学教授)
川嶋 渉(京都市立芸術大学教授)
西久松 吉雄(成安造形大学名誉教授)
村居 正之(大阪芸術大学教授)
※出品作家の推薦は2023年5月上旬に行ないました。
(2)選考委員(50音順、敬称略)
内田 あぐり(日本画家、武蔵野美術大学名誉教授)
大野 俊明(日本画家、成安造形大学名誉教授)
澤田 瞳子(小説家、同志社大学客員教授)
下出 祐太郎(蒔絵師、京都産業大学名誉教授)
村上 良子(紬織作家、重要無形文化財保持者)
4 企画概要
(1)参加概要
○原則として、京都を中心に活動している、あるいは京都にかかわりの深い概ね25歳から45歳の日本画家を対象に、推薦委員が出品依頼候補者を選出し、本人の参加意思を確認の上で出品を要請、今回は30名が出品。
<参考>出品作品数
「京都 日本画新展」
第1回 37名、第2回 38名、第3回 37名、第4回 37名、第5回38名
続「京都 日本画新展」
第1回 39名、第2回 38名、第3回38名、第4回 38名、第5回39名
「京都 日本画新展」
2019 40名 2020 40名 2021 39名 2022 33名 2023 30名
○出品依頼候補者の選出に当たっては、京滋の美術系大学を中心として、日本画の継承に尽力する現場教員などと情報交換の機会を得て、推薦対象を積極的に拡大。
○大賞1点(賞杯と賞金30万円)、優秀賞1~2点程度(賞杯と賞金10万)、
奨励賞・京都府知事賞、京都市長賞、京都商会議所会頭賞(賞状)。
※大賞・優秀賞者を除く出品者全員に奨励金として5万円支給。
(2)作品の条件
・額装、軸装、屏風装(屏風装の場合二曲一隻のみ可)のいずれかとする
・額装の場合、額縁幅は片側70㎜以内、軸装は壁面に掛けられるものとする
・作品の大きさは、80号M(1455㎜× 894㎜)以上から 100号S(1620㎜×1620㎜)程度、厚みは100㎜以内(額装を含む)
6 事務局
京都新聞COM事業推進局開発推進部
〒604-8567京都市中京区烏丸通夷川上ル
TEL:075(255)9757/FAX:075(255)9763(平日の午前10時-午後5時)
作品の画像を希望される方は、事務局にお問い合わせください。
すべての画像