NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル、新調査スキーム確立に向け詰田川に河川ごみ回収装置を設置 ~ ろ水計導入で回収量と水量データの相関分析を実施 ~
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川裕基)は、河川ごみ問題の解決を目的とした新たな調査スキームを確立するため、香川県高松市の詰田川に設置した河川ごみ回収装置にろ水計(流量計)を導入しました。

本取り組みにより、ごみ回収量と水量データ(河川流量・潮位変化)との相関関係を分析し、
河川環境の変動がごみ回収効率に与える影響を明らかにします。
得られた知見を基に、効果的なごみ回収手法の構築と河川ごみ調査の標準スキーム化を目指します。
※第1回実証実験プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000110850.html
ろ水計を設置する河川回収装置の概要
クリーンオーシャンアンサンブルの河川ごみ回収装置「kawasemi001」は、
主に漁師さんが使用する浮力材(ブイ・フロート)とネットを使用して作られており、
コンパクトかつ、設置・移動が容易な設計です。

河口付近に配置することで、河川を下流へ流れていくごみを捕集し、海に流出する前に回収できます。
ろ水計を搭載することで、単にごみを回収するだけでなく、データに基づく分析を行える点が特徴です。
これにより、装置の稼働中にどれだけの水が流れ、その中にどれほどのごみが含まれていたかを定量的に評価できます。
研究の目的と背景
本研究の目的は、河川でのごみ回収量と水量変化との関係性を科学的に解明し、より効果的なごみ回収手法を確立することです。
香川県高松市を流れる詰田川は都市部を通過する河川であり、その特性上プラスチックごみや空き缶などが流入・堆積しやすく、景観悪化や生態系への悪影響が懸念されています。
さらに、河川から海へのごみ流出により瀬戸内海の海洋汚染が拡大するリスクも指摘されています。
クリーンオーシャンアンサンブルは、このような河川ごみ問題に対処し、海へのごみ流出を未然に防ぐためのソリューション開発に取り組んでおります。
詰田川では平常時は水量が少ない一方で、降雨時には水位が急激に上昇し、ごみが一気に流出・堆積する傾向があります。
季節や天候によって河川の流量は大きく変動し、それに伴ってごみの移動・滞留パターンも変わると考えられます。
季節ごとの通水量の変化や潮汐(潮位)の影響がごみ回収量に及ぼす影響をデータで捉え、課題解決に生かすことが本研究の背景にあります。
従来は感覚的・断片的だった河川環境変動とごみ発生の関連性を、データに基づいて定量的に証明することで、根拠に基づく対策立案が可能になると期待されます。
具体的な調査手法と解析方法
本調査は、クリーンオーシャンアンサンブルの調査チーム(香川大学との共同研究チーム)が中心となり、過去の実証実験で得られた知見を踏まえて実施されます。
調査の手法と解析の流れは以下のとおりです。
ろ水計による水量モニタリング: 河川ごみ回収装置の設置期間中、詰田川の河川流量および水位・潮位変化を連続測定します。
ごみ回収量の計測: 回収装置によって一定期間内に回収されたごみを定期的に回収・分類し、その重量や種類を測定します。
相関関係の分析: 得られた水量データ(流量の増減や水位変化)とごみ回収量データを照合し、統計解析を行います。
例えば、水量がピークに達した直後にごみ回収量が増加しているか、あるいは干潮時にごみが多く取り残される傾向があるかなど、河川環境の変動とごみ発生・回収量の関連性を明らかにします。
解析には回帰分析や時系列解析を用い、季節・潮汐要因を考慮した評価を行います。
以上の手法によって、データに基づき「いつ」「どこで」「どのような条件で」河川ごみが増減するのかを解明します。
期待される成果と今後の展望
本研究から得られる知見により、河川ごみ回収の効率向上につながる具体的な要因を特定できると期待されます。
特に、データ分析によって明らかになった事実は、今後の対策や装置改良に活用されます。期待される成果と今後の展望は以下のとおりです。
回収量向上の要因解明: 河川流量や潮位変動など、回収量に大きく影響を与える環境条件を科学的に特定します。
これにより、どのタイミングで装置を集中的に稼働させるべきか、あるいは設置場所の最適化など、効率的な回収戦略の立案が可能となります。
標準的な調査スキームの確立: 本研究の手法(装置設置+流量計測+データ分析)をテンプレート化し、河川ごみ調査の標準モデルとして構築します。
このスキームは他の地域や河川でも適用可能であり、各地で一貫した手法によるデータ収集・対策評価が行えるようになります。
他地域へのモデルケース提示: 詰田川での成果をモデルケースとして取りまとめ、全国の他の河川で同様の取り組みを行う際の参考事例とします。
他地域での導入に向けては、地域の企業・行政・住民との連携体制を整えつつ、本モデルを展開していきます。
将来的には国内外の河川へ本スキームを応用し、広域的に河川から海へのごみ流出抑制に貢献します。
学術的発信と啓発: 本研究で得られた成果は、学術論文や専門コラムとして発信し、持続可能な海洋ごみ対策のための科学的根拠(エビデンス)として活用していきます。
国内外の研究機関との情報共有や学会での発表を通じて、河川ごみ問題に関する知見をグローバルに共有し、社会全体の意識啓発にもつなげます。研究の蓄積によって海洋ごみ問題に対する科学コミュニティの知見向上に寄与し、それがまた現場の対策強化へフィードバックされる好循環を目指します。

河川プロジェクトリーダー室谷より
クリーンオーシャンアンサンブルは、「データ×現場」のアプローチで海洋ごみ問題解決に挑戦し続けます。
本取り組みの成果を踏まえ、香川県内外の
関係団体や専門家と協力しながら、
更なる技術開発と実践展開を行っていきます。
最終的には日本全国の河川に回収装置を設置し、日本の河川から海洋へのごみ流出ゼロを目指します。
持続的な海洋・河川環境を守り続け、未来の子供達にごみのない綺麗な海・川を守るには皆様の協力が必要不可欠です。
是非一緒にこの問題解決に取り組みましょう!
皆様のご参加をお待ちしております。
Clean Ocean Ensembleの活動は、多くの方々のご支援・ご参加によって支えられています。海洋ごみゼロを目指す本取り組みに共感いただけましたら、ぜひ以下の形でのご協力をご検討ください。
寄付による支援
団体公式サイトの寄付ページより継続的なご支援を歓迎いたします。
いただいた寄付は海洋ごみMAPのアップデート、回収装置の開発・設置や清掃活動の運営費などに充当されます。
https://donation.cleanoceanensemble.com/
プロボノ・ボランティア参加
団体の拡大・運営、定期的に実施されるビーチクリーン、回収装置の設置・点検、モニタリング調査に参加できます。SNSや公式サイトで告知しておりますので、多様なバックグラウンドの方のご参加をお待ちしております。
https://peatix.com/group/12922636
SNSでの情報拡散
Twitter(X)・Facebook・InstagramなどでClean Ocean Ensembleをフォローし、活動情報をシェアしてください。海洋ごみ問題への関心を高めることは大きなサポートとなります。
https://lit.link/cleanoceanensemble
皆様の小さなアクションが、世界を変える大きな第一歩です。ともに海をきれいにし、未来の世代へとバトンを渡しましょう。
団体概要
団体名: 特定非営利活動法人クリーンオーシャンアンサンブル(NGO Clean Ocean Ensemble)
所在地: 〒761-4425 香川県小豆郡小豆島町坂手甲985番地
設立: 2020年12月10日
代表理事: 江川 裕基
活動内容: 海洋ごみ回収装置の開発・運用、海洋ごみデータの記録・可視化、環境教育事業 ほか
URL: https://cleanoceanensemble.com
お問い合わせ先
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(広報担当: 北川、江川)
TEL: 070-8360-9815 E-mail: info@cleanoceanensemble.com

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