【環境省モデル事業採択事業】未利用の生鮮食品をこどもの食卓へ。食品マッチングプラットフォーム「ステナス」実証結果を公開
支援対象者(※1)の食費を1人あたり月平均5,337円支援、利用者の95%の店舗ファン化を実現。実証実験で見えた課題を改善し、さらなる拡大を目指す

こどもの機会格差の解消を目指すネッスー株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役:木戸 優起)は、株式会社ライフコーポレーション、株式会社東急ストアおよび一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会と連携し、食品ロスとこどもの貧困の2つの社会課題の解決を目指した食品マッチングプラットフォーム「ステナス」の実証実験を実施いたしました。
本実証実験は、環境省の「令和7年度 食品の消費行動に伴う食品ロス削減対策導入モデル事業」に採択された取り組みの一環として、2025年10月6日から11月30日まで行われました。
本リリースのポイント
1.【家計支援】支援対象者(※1)1人あたり月額平均5,337円の負担軽減を確認。母子家庭の平均食費の約8.5%に相当し、実質的な可処分所得の向上に寄与(※2)。
2.【店舗ロイヤルティ】利用者の95%が「実施店舗を積極的に通常利用したい」と回答。社会貢献が店舗のファン化を促進。
3.【高マッチング率】特定店舗(ライフ西蒲田店)ではマッチング率77.9%を記録。要因を分析し横展開へ。
背景と目的
■こどもの食卓の現状:休日における食事機会の減少と格差
2021年時点で、日本のこどもの約9人に1人、ひとり親世帯では約2人に1人が相対的貧困状態にあります(※3)(※4)。特に学校給食のない休日には、3人に1人のこどもが1日2食以下で過ごしているという実態があり、家庭環境による食事の回数や栄養摂取の機会格差が課題となっています(※5)。
■小売業の課題:生鮮食品の寄贈における「鮮度」の壁
食品小売業では年間48万トンの食品ロスが発生しています(※6)。まだ食べられるのに販売できなくなってしまった食品を、こども食堂等へ寄贈する動きが広がっていますが、これまでの仕組みでは回収から配布までに日数を要するため、寄贈対象は保存のきく加工食品に限定されていました。そのため、賞味・消費期限の短い生鮮・日配食品は、有効活用のニーズがありながらも、その多くが廃棄せざるを得ない状況にありました。
■本実証実験の目的:課題をつなぎ、同時に解決を目指す
食品マッチングプラットフォーム「ステナス」は、これら「スーパー等における食品ロスの発生」と「困難を抱えた子育て世帯等の食の課題」という2つの社会課題を結びつけ、同時に解決することを目指しています。まだ食べられるが店頭で販売できなくなった生鮮・日配食品等を、ひとり親世帯、奨学金受給学生、こども食堂等の団体を含む消費者へ、リアルタイムにマッチング、通常より安価に販売し、タイムリーに提供する仕組みを構築しました。これにより、「今日お店で余ったものを、今日こどもの食卓へ届ける」という循環が可能になります。
本実証実験では、この仕組みを通じて食品ロスの削減と社会福祉の増進の両立を図り、持続可能な食品循環モデルの社会実装に向けた検証を行いました。
「ステナス」実証実験概要
実施期間:2025年10月6日~11月30日
実施店舗:ライフ(竹の塚店、西蒲田店、千歳烏山店)、東急ストア(中目黒本店)
提供商品:店頭では販売できなくなった賞味・消費期限が当日中の農産品(野菜・果物)、日配食品、水産品(塩干)、畜産品(加工肉)、インストアベーカリー ※水産品、畜産品、インストアベーカリーは一部店舗のみ
提供価格:店頭価格の60~75%引き。受給者証で児童扶養手当受給あるいは、奨学金受給を確認できると、そこからさらに50%引きのソーシャル・プライシング(※7)で提供。

■実証実験の成果
実証期間中に428名が利用登録(うち82名が購入)し、以下の成果が確認されました。
①食品廃棄量の変化:
プラットフォーム掲載商品の平均42%(重量ベース)がマッチング。品目別ではインストアベーカリー(86%)や加工肉(66%)のマッチング率が高い結果となりました。店舗別ではステナス ライフ西蒲田店が実証実験最終週に77.9%と目標の8割に迫る成果を上げており、「幅広い品目が出品されたことによる構成バランス」「視認性の高い設置場所」「若年層が多い地域特性」などが影響しているものと推察されます。これらの知見は、今後のモデル化に向けた検証項目として活用してまいります。

②生活への貢献:
支援対象者(※1)1人あたり月額平均5,337円(母子家庭の月間食費の約8.5%に相当)の支援を確認、食費の支出抑制を通じ、実質的な可処分所得を押し上げる結果となっています(※2)。利用者アンケート(60名が回答)では「献立が1品増えた・充実した(51%)」、「家で食事することが増えた(29%)」と回答があり、次回以降も「利用したい」との声は72%に上りました。


ステナスを利用することで生まれた変化などのエピソード
-
普段は高くて買えない魚やフルーツ、有機野菜などを手に取ることができ、こどもが「美味しい!」と喜んで食べてくれた
-
お得に購入できたので、おかずを増やしたり、今まで買うのを控えていた他の食品にお金を使うことができ、栄養満点の食事に繋がった
-
生野菜を受け取ることが多く、こどもたちと好きなドレッシングを買い揃えるという楽しい時間が増えた
-
スーパーで献立と予算とで悩みながらウロウロしてこどもを家で待たせることも多かったが、かなり安く野菜などが手に入ることによって、こどもと接する時間も増えた
-
いつもおかずが1品のみだが、ステナスを利用することにより2~3品作れるようになりこどもがとても喜んでいる
-
朝ごはんに追加するものができたり、朝時間がなかった時にパンなどを渡して食べてもらえることが増え、朝ごはんをちゃんと取れるようになった
③消費者の行動変容:
利用者アンケートでは、ステナス利用者の78%が「食品ロスへの関心が高まった」と回答し、「期限の短いものから購入するようになった」「買った商品を無駄にせず最後まで食べるようになった」「食べ残しが出ないように買う量を調整するようになった」等の具体的な行動変化が見られました。また、95%が「ステナス実施店舗を積極的に通常利用したい」と回答しており、店舗ロイヤルティ向上効果も示唆されました。


■ネッスー株式会社 代表取締役 木戸 優起コメント

「『鮮度の壁』によって廃棄せざるを得なかった生鮮食品を、あたらしい仕組みで、困難を抱えるこどもたちへ届ける。このマッチングが成立した事実は、食品を十分に届けるためにサプライチェーンが有さざるを得ない“ロスの発生”という負の部分を解決しながら、地域福祉を増進できる、ということを示唆しています。
今回の実証実験を踏まえ、ビジネスモデルを磨き、展開地域を広げていきたいと考えています。」
横展開へのポイント(課題と改善点)
事業拡大に向けて以下の課題が明確になりました。
マッチング率の低さと採算性確保: 全体平均のマッチング率は42%にとどまり、目標(80%)には未達となりました。また、事業継続のためには提供できる商品数の拡充も必要と分かりました。
需給のミスマッチ: 人気のある品目の即完売による購入の偏りや、野菜や日配品のマッチング率の低さが課題となりました。
団体ニーズとの乖離: こども食堂等の団体からは、当日まで提供される商品が不明な点や少量多品目である点が、運営ニーズに合致せず購入に至りませんでした。
今後の改善策
利便性向上と事業の継続性を確保するため、以下の改善を実行してまいります。
ラインナップの拡充:別店舗との連携によりプラットフォーム上の商品数を増やします。
公平な購入機会の提供: 支援対象者価格での購入に月額上限を設け、多くの世帯に行き渡る仕組みを導入します。
サービスサイトの利便性向上: 商品情報の拡充など、利用者にとって使いやすいサービスサイトに改善していきます。
今後の展開
目標数値には未達となったものの、ユーザーの皆様からは前向きな反響をいただき、本実証実験の社会的意義とニーズを確信いたしました。実証終了後も、ライフ(竹の塚店・西蒲田店)、東急ストア(中目黒本店)の3店舗ではサービスを継続し、マッチング率向上を図ります。ライフ千歳烏山店の冷蔵庫はライフEC桜新町店へ移設し、2026年3月より運用を再開しています。
今後は、マッチング率約8割を記録したライフ西蒲田店での好事例(品揃えや設置場所、地域特性の親和性など)を詳しく分析し、他店舗への展開に向けたモデル化の可能性について検討を進めてまいります。こうした課題改善を通じてビジネスモデルを確立し、首都圏から地方、さらには全国の小売店への横展開を目指します。
「ステナス」公式ウェブサイトはこちら
※1:児童扶養手当受給世帯、奨学金受給学生、こども食堂等の団体を指します。
※2:令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業 ひとり親家庭等の家計の収支状況等に関する調査研究 を参考に試算
※3:相対的貧困とは、世帯1人当たりの年間手取り収入が、日本全体の中央値の半分以下(2021年の場合は127万円)に満たない状態のこと(相対的貧困率の数値は、2018年から新基準)
※4:厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査」
※5:認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン「ひとり親家庭の生声白書」
※6:農林水産省「事業系食品ロス量(2023年推計値)」
※7:「ソーシャル・プライシング」とは、まだ十分に利用可能でありながら、通常の価格や販路では提供しにくくなった食品や日用品などについて、提供先を 「支援を必要とする世帯・団体」に限定し、事業継続に必要なコストを踏まえて設計した独自の有償提供の考え方を示す造語です。利用者の負担を抑えつつ、継続供給できる水準で価格を設定しています。
ネッスー株式会社 概要
代表取締役:木戸 優起
設立:2022年6月10日
所在地:155-0032 東京都世田谷区代沢4丁目44-4
事業概要:
ネッスーは、「生まれた環境によるこどもの機会格差が存在しない社会」の実現を目指す、インパクトスタートアップです。
自治体や企業、個人などさまざまな主体と連携して、こどもたちへの願いをつなげて事業を創造し、食や体験の格差に苦しむこどもがいない、やさしい社会の実現を目指します。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
