メンタルヘルステック5社が合同で、業界の最新トレンドを発表
コロナ禍前後における変化や課題、メンタルヘルステック業界の現在地とは
精神疾患の患者数は年々増えています。厚生労働省の調査によると精神疾患を有する総患者数は、2002年の258万人から2017年の419万人へ15年間で1.6倍増加しています。
そして新型コロナウイルス感染拡大以降、生活様式の変化などを要因とした不調を抱える人が増え、メンタルヘルスケアはさらに注目されるようになりました。
2023年5月8日の新型コロナウイルス感染症の5類移行により、人々の行動制限は緩和されましたが、コロナ禍を経たことにより、職場や学校環境やその中でのコミュニケーション方法は確実に変化しています。
そのような環境下、私たちが提供するテクノロジーを駆使したメンタルヘルスケアサービスの市場においても、大きな変化がありました。
コロナ禍におけるメンタルヘルスケアの市場
世界のメンタルヘルスケアの市場規模は3913億ドル。(2021年時点)世界のメンタルヘルスケア市場は、2030年には5,511億ドルに成長すると予測※1されています。
コロナ禍において人々の不安・抑圧感が蔓延し、メンタルヘルスケアの市場は大きく変化しました。メンタルヘルスケアサービスのユーザーや関連するキーワードの検索回数が増えるなど、注目が集まったことにより、各サービスでも変化が見られました。
具体的には、以下のような変化が挙げられます。
1.顧客層の変化
日常的にオンラインのコミュニケーションに慣れた人が増え、ユーザー層が広がりました。
また従業員のメンタルヘルスケア対策として、法人からの注目が増えています。
2.事業形態の変化、新機能追加
オンラインコミュニケーションが普及したことにより、事業形態をオンライン主体にしたり、アプリの機能を拡充するなどのサービス側の変化がありました。
3.サービス利用実態の変化
コロナ禍以降、ユーザーが解消したい悩みの種類に変化があったり、サービスの滞在時間が伸び、コロナ禍以前よりもサービスが深く長く使われるようになりました。
【具体例】
例えばオンラインマインドフルネスの「MELON」(https://www.the-melon.com/online-program/)では、リアルスタジオでの展開からオンラインに切り替えたことにより、多くのユーザーがアクセス可能になりました。
また、オンラインコミュニケーション解析の「I’mbesideyou」(https://www.the-melon.com/online-program/)は、オンライン上のコミュニケーションが普及したコロナ禍の2020年にサービスを開始しています。
精神疾患向け治療用アプリ「emol」(https://emol.jp/)は、コロナ前とコロナ禍で比較し一人あたりのチャットでの会話送信量が増加しました。これに伴い、認知行動療法セルフヘルププログラムの機能を新たに実装し、アプリの滞在時間も増えています。
※1:NEWSCASTレポート https://newscast.jp/news/8567005
アフターコロナにおけるメンタルヘルスケア市場の予測
現在、人々の行動は日常を取り戻しつつありますが、コロナ禍を経て生活スタイルが大きく変化しました。それに伴って、コロナ禍以降のメンタルヘルスケア市場にも以下のような変化がありました。
1.法人向けメンタルヘルスケアサービスの需要増
企業が取り組む健康経営が普及したことにより、法人向け研修や従業員一人ひとりへの具体的なメンタルヘルスケア対策として需要が増えていくでしょう。
2.メンタルヘルスケアへの関心が高い若年層(Z世代)の利用増
若年層ほどメンタルヘルスケアへの関心が高く、サービスの利用経験がある人の割合も高い※2傾向があります。デジタル・SNSネイティブであるZ世代が気軽にサービスを利用することも予想されます。
【具体例】
オンラインカウンセリングの「cotree」(https://corp.cotree.jp/)では、2020年から法人からの引き合いが増え、オンラインカウンセリング利用費用を法人・団体・大学が負担し、従業員や学生のメンタルケアをサポートする「法人・団体向けプラン」、「大学向けプラン」を提供しています。
また、AIジャーナリングアプリの「muute」(https://muute.jp/)では若年層のユーザーが多いことから、中学・高等学校向け事業を展開し、生徒の自己理解を促すツールとして活用されています。
※2:cotree「世代別メンタルヘルスケアの取り組み状況」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000103500.html
メンタルヘルスケア業界の課題
1.利用前後の変化について、客観的指標が分かりづらい
メンタルヘルスケアについては、フィジカルの不調や疾患に比べて効果実感が主観に寄りやすいため、良くなった・悪くなった場合の客観指標を提示することが困難であることが挙げられます。
企業へのサービス導入についても、分かりやすいメリット提示が広まっていないのが現状です。
これに対しては、禁煙や高血圧などの治療アプリ同様、精神疾患においても国内の薬事認証が取れるサービスが出るとより良いと考えています。
2.精神疾患に対するネガティブなイメージ
国内ではまだ、精神疾患に対する差別的なイメージや偏見があります。メンタルヘルスケア関連のサービスを使うこと自体のハードルを下げる必要があります。
これに対しては、人々に症状や疾患に対して正しい知識を持ってもらえるよう啓発を行うほか、ライフスタイルや習慣の一部として利用できるよう、サービスの工夫や情報発信が求められます。
3.エビデンスが弱い言葉やラベリングの乱立
メンタルヘルスについて、エビデンスがなかったり既存研究内容から離れた、誤解されやすい言葉が流行りやすい現状があります。
これに対しては、専門医・専門家監修をつけたサービスの設計、情報発信が対策として考えられるでしょう。
参加企業について
株式会社cotree(オンラインカウンセリング)
「やさしさでつながる社会をつくる」を企業理念とし、メンタルヘルスケアのインフラを目指し、2014年の設立以来、オンラインカウンセリング・コーチングを中心に事業を展開しています。
ビデオ・通話形式の「話すカウンセリング」、またはメッセージ形式の「書くカウンセリング」を主に展開しており、心理資格の中でも専門性の高い「臨床心理士」や「公認心理師」の保有者が150名以上登録し、国内最大の登録数*を誇ります。審査を通過したカウンセラーのみが登録しているため、安心してご相談いただけます。
※国内カウンセリングサービスの公開カウンセラー数を比較(2023年3月時点、自社調べ)
株式会社Melon(オンラインマインドフルネス)
「マインドフルネスですべての人を健康に、笑顔にしたい。」株式会社Melonは、日本中に “メディテーションする場” をつくり、マインドフルネス・カルチャーを広め、日本・世界のウェルビーイングを向上させることをミッションとして活動しています。米国の大学や研究機関で効果が認められたエビデンスをベースに、初心者にも取り組みやすく、継続しやすい、科学的なアプローチに基づいたマインドフルネス・プログラムを開発し、個人・法人のお客様に提供しています。ライブ形式のマインドフルネスサービス「MELONオンライン」は累計30万人以上の方にご利用いただいています。
emol株式会社(精神疾患向け治療用アプリ)
これまでemolでは、一般向け、企業向け、自治体向けなど非医療領域へアプリでの認知行動療法プログラム(emolアプリ内名称:デジタルプログラム)の提供を行なっています。 サービス提供の背景ではアプリを使った効果検証を実施し、未病者の不安減少、ポジティブ感情の増幅などの効果を示すことができました。2022年春より、精神疾患治療を目的とした認知行動療法を実践するアプリの日本国内薬事承認を目指して、研究を開始しました。1つ目のパイプラインとして、強迫症の患者さんを対象とした治療用アプリの開発を開始し、当該アプリで認知行動療法を実施することによる症状の軽減を目指します。
ミッドナイトブレックファスト株式会社(AIジャーナリングアプリ)
「muute」は、感じていることや思っていることを日記のように自由に書き出し、AIがそれらの感情や思考を分析してフィードバックを行い、自分自身と向き合い、且つ客観的に振り返ることができるAIジャーナリングアプリです。「ジャーナリング」は、頭に思い浮かんだことをありのままに書くことを意味し、心身の健康や自己理解力の向上に繋がるなど、心の整理やメンタルヘルスに良い影響があることから注目を集めています。2020年12月のサービス開始から約2年で100万ダウンロードを記録しています。
株式会社I'mbesideyou(AI解析によるコミュニケーションサポート)
I'mbesideyouは、オンラインコミュニケーションの動画解析を通じて、すべての⼈がお互いにリスペクトし学びあう社会の実現を⽬指す、グローバルカンパニーです。
経済産業省認定J-StartupやSXSW(サウスバイサウスウエスト)2022のファイナリストにも選定されており、国際特許170件以上を出願済のコミュニケーションの動画解析に特化した独自のAI解析技術を有しています。
オンラインコミュニケーションの⼀⼈⼀⼈のエンゲージメント・メンタルヘルスの状態・⼼理的安全性をみえる化し、よりよいコミュニケーションを提供するサービスを展開しています。
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