三谷産業グループのミライ化成と日本曹達グループの日曹金属化学、炭素繊維のリサイクル分野にて協業を開始
三谷産業株式会社(本社:石川県金沢市/代表取締役社長:三谷 忠照、以下 三谷産業)のグループ会社である株式会社ミライ化成(本社:長野県千曲市、代表取締役社長:中川 景介、以下 ミライ化成)と、日本曹達株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:阿賀 英司、以下 日本曹達)のグループ会社である日曹金属化学株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役社長:赤川 彰一、以下 日曹金属化学)はこのたび、炭素繊維のリサイクル分野にて協業を開始しました。
炭素繊維と樹脂(プラスチック)を混合した炭素繊維複合材(一般にCFRPやCFRTPと言われます。以下 複合材)の製造工程で生じる端材・廃材などから炭素繊維を回収できる独自技術を確立し、最終製品や素材の成形プロセス確立にも取り組むミライ化成と、長年培ってきた廃棄物処理技術で廃棄物の無害化や減容化、有価資源の回収に取り組む日曹金属化学、両社それぞれの強みや経営資産を活用しながら、炭素繊維のリサイクルの社会実装および循環型社会の実現を加速させてまいります。
協業の背景
ミライ化成が展開するリサイクル炭素繊維事業は、端材・廃材の状態に合わせて適切な処理を施し、加工しやすい状態で用途に合わせて短繊維から長繊維まで取り出すことのできる独自技術を確立しました。この事業を拡大すべく、例えば中小企業さまとのパートナーシップ構築や長野県企業との協業・共同開発に取り組むほか、最近では国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム〔追加公募〕」の実用化開発フェーズにおいて「再生炭素繊維不織布を利用した高効率CFRTP加工技術の開発」が採択されるなど、当初想定以上の事業進捗をみせています。これをうけ、リサイクル炭素繊維事業をさらに拡大すべく、量産工場の新規建設について検討を重ねてまいりました。
一方の「クリーンな未来創りへのあくなき挑戦」を掲げる日曹金属化学は、日本曹達より分離独立以前、日本の高度経済成長期後半の昭和40年代から廃棄物処理事業を開始しました。創立以来培ってきた化学品製造技術や金属の精錬技術も活かしながら、省エネルギー、省資源、廃棄物の削減・リサイクル、有害物質・地球温暖化ガスの排出削減など積極的に取り組んでいます。同社が有する会津工場は、通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした優良産廃処理業者の証である「優良基準適合認定事業所」にも認定されています。高度な独自技術をベースに、広大な敷地と産業廃棄物処理設備ならびにリサイクル設備を有効活用し、時代の変遷やニーズの変化に応えるべく、さらなる資源リサイクルのテーマを模索してまいりました。
協業のイメージ
商社として幅広い事業領域で複合的かつメーカーとしてもビジネスを展開してきた三谷産業グループとその子会社であるミライ化成の商社機能および再生炭素繊維に関する独自の知見、医薬品・農薬等をはじめとする、幅広い化学品の製造に長年携わってきた日本曹達グループとその子会社である日曹金属化学の有する産業廃棄物処理業者としての知見と設備を融合することで、複合材の廃材・端材の回収からリサイクル炭素繊維の分離、リサイクル炭素繊維の成形加工、製品化までの一連の流れをワンストップで行うことにより、新たな炭素繊維リサイクルのビジネスモデル形成を行います。
具体的には、日曹金属化学が会津工場にて複合材の端材・廃材を集積し、ミライ化成の独自技術・ノウハウを用いて炭素繊維を取り出す役割を担います。ミライ化成は、日曹金属化学にて回収・再生した炭素繊維の加工・成形に関する技術開発およびリサイクル炭素繊維の製品開発とリサイクル炭素繊維のサプライチェーン構築に取り組みます。
商社として幅広い販売網を有する三谷産業グループと化学品の知見に長けた日本曹達グループ、両社の強みや経営資産を相互に活用することにより、従来から課題としてきたコストの抑制と、製品化の問題解決を図り、リサイクル炭素繊維の社会実装および循環型社会の実現に向けて取り組んでまいります。
ミライ化成 代表取締役社長 中川 景介のコメント
循環型CFRPプロジェクトはミライ化成の社内ベンチャーとしてスタートし、青森県三沢LABにて研究開発を行ってまいりました。NEDOの2023年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」の採択をいただき、社会実装フェーズにステップアップを目指す段階になりました。製造技術、廃棄物処理技術のプロフェッショナル集団であります日曹金属化学との協業は、本プロジェクトにとって百万の味方を得たと考えております。
三谷産業 代表取締役社長 三谷 忠照のコメント
「軽くて、強くて、腐食しない。」炭素繊維のもつこれらの利点は、土壌や海洋といった自然環境中においては、「分散しやすく、傷つけやすく、分解されにくい」といった欠点にもなり得てしまいます。さまざまな製品分野において炭素繊維素材が用いられることでもたらされる、省エネルギー性、省資源性、利便性の向上を人類が享受していくためには、回収から再資源化までを含めた製品ライフサイクルの全体が制御可能である必要があります。このたびの日本曹達グループとの協業によって、外部不経済の抑制と、炭素繊維素材の利用価値向上が、より一層の高いレベルで実現することを期待しております。
日曹金属化学 代表取締役社長 赤川 彰一のコメント
日曹金属化学は、日本曹達のグループ企業の一員として、「化学品製造技術」、「金属製造技術」、「廃棄物処理技術」といった当社が長年培ってきた特色ある独自技術を柱とし、「環境リサイクル」をキーワードに事業活動に取り組んでまいりました。今回のミライ化成とのリサイクル炭素繊維事業における協業は、限りある資源と環境を守り、将来世代に健康で豊かな生活を残していくという当社の企業理念に合致するものと考えており、協業による早期の事業化を通じて、環境課題の解決に取り組んでまいります。
日本曹達 代表取締役社長 阿賀 英司のコメント
日本曹達グループ長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」では、持続可能な社会の発展に貢献し、企業価値を向上させるためのマテリアリティ(重要課題)のひとつとして、「環境」分野を特定しています。炭素繊維市場の拡大に伴い、廃棄される炭素繊維複合材の再資源化ニーズが高まる中、ミライ化成と日曹金属化学との協業による炭素繊維リサイクルの事業化に向けた取り組みは、脱炭素社会に向けた省エネルギーの貢献や、埋め立て処分量の削減など、循環型社会の実現に大きく貢献するものであると期待しております。
三谷産業と日本曹達とのつながり
1928年に創業した三谷産業の祖業は石炭の卸売でした。創業者の三谷進三は1930年代、富山県高岡市に日本曹達の工場が建設されることを知り、東京・丸の内にある日曹コンツェルンの中野友禮総裁を訪問しました。以来、工場の稼働に必要な石炭の全量を供給することとなり、この時より両社の関係が始まり現在に至ります。
戦争により石炭が統制物資の対象となったことにより、三谷産業は1940年代より、これまで石炭を供給していた日本曹達を含む化学品メーカーの工業薬品を販売する事業を開始しました。これが三谷産業グループの化学品関連事業の始まりであり、化学品関連事業は現在、グループ売上高の4割超を占める規模にまで成長しています。
また両社グループ間では、今年2月に化合物の合成に関する技術提携をおこないました。現在、化学品分野だけでなく、ソフトウェア導入や情報システム構築といったICT分野も含め、多面的な取引・交流を継続しています。
(補足情報)
【ミライ化成について】https://www.miraikasei.com/
1998年に長野県長野市で設立されたミライ化成(設立時:クラヤ化成)は、2009年11月より三谷産業グループの化学品関連事業セグメントの一社として、半導体、情報機器、精密機械、化学、食品加工といった産業分野に、工業薬品、電子材料、食品材料、食品添加物などを提供しています。
【三谷産業グループについて】https://www.mitani.co.jp/
石川県金沢市で創業して95年、ベトナムで創業して29年の複合商社です。北陸、首都圏、ベトナムを拠点に、化学品/情報システム/樹脂・エレクトロニクス/空調設備工事/住宅設備機器/エネルギーの6セグメントで事業を展開しています。商社でありながら、時にメーカーとして、また時にコンサルタントとして、お客さまにとっての最適を追求するとともに、「創業90年を越えるベンチャー企業」として更なる進化へと挑戦しています。
【日曹金属化学について】http://www.nmcc.co.jp/
日曹金属化学は、日本曹達グループのエコソリューションセグメントとして、回収亜鉛を原料とした亜鉛合金の製造や、使用済み硫酸の再生リサイクル、廃棄物の処理などを展開しています。現在の社名となる1983年以前から廃棄物の処理や資源リサイクルに携わっており、そこで培ってきた独自技術を活かして環境課題の解決に取り組むことで、循環型社会の形成への寄与と、地球環境との調和を目指してまいります。
【日本曹達グループについて】https://www.nippon-soda.co.jp/
日本曹達は1920年の創立以来、独自の技術とノウハウを蓄積し、農薬、医薬品、特殊化学品など高機能・高付加価値の化学製品を提供してまいりました。また、化学物質を取り扱う企業として、レスポンシブル・ケアの考え方を常に意識し、環境、安全、品質、健康に配慮した事業活動を行ってまいりました。
これからも独創的な技術や製品を通じて、新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献していきます。
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