AIを用いた医療機器検査が正式な技術区分で保険収載【新機能・新技術区分で日本初】
アイリスの「nodoca」を用いたインフルエンザ診断が2024年6月1日より正式に診療報酬項目として新設、これまでと同様に305点の保険点数
2024年度の診療報酬改定では、厚生労働省が示す医科診療報酬点数表において、内視鏡検査の検査区分として新たに「内視鏡用テレスコープを用いた咽頭画像等解析(インフルエンザの診断の補助に用いるもの)」が設けられました。本検査は、これまで既存の類似する技術区分を準用する形での保険適用でしたが、今回の改定において正式な技術区分として収載されました。
AIを用いた医療機器の検査が、新機能・新技術(C2)区分による保険適用を受けたもののうち、正式な技術区分で収載に至った日本で初めての事例です(※1)。
アイリスのnodocaは本検査を行うことができる日本で初めての医療機器です。
アイリスでは、nodocaが広く使われ医療現場の課題が解決される未来に向けて注力するとともに、今後もAI医療機器の開発を推進し、医療の進歩に貢献してまいります。
■2024年6月1日からの診療報酬
D296-3項 内視鏡用テレスコープを用いた咽頭画像等解析(インフルエンザの診断の補助に用いるもの)305点
(診療報酬の算定方法の一部を改正する告示(令和6年 厚生労働省告示第57号) 別表第一 医科診療報酬点数表 )
■診療報酬改定について
診療報酬は、加算や包括などの適用に関しては申請書の提出のみの手続きで適用されますが、個別項目としての保険適用を目指す場合は厚生労働大臣の諮問に対し中央社会保険医療協議会(中医協)にて審議の上で決定します。中医協は、支払側委員(保険者等の支払側の代表)と診療側委員(医師等の診療側の代表)とが保険契約の両当事者として協議し、公益委員(学者等の代表)がこの両者を調整するという「三者構成」となっており、三者の同意が得られて初めて個別項目での保険適用に至ります。
また、2年に一度の診療報酬改定により、社会情勢や経済環境を踏まえ保険点数の見直しが行われます。
■nodocaについて
nodocaは、咽頭(のど)の画像と問診情報等をAIが解析し、インフルエンザに特徴的な所見等を検出することでインフルエンザの診断に用いるAI医療機器です。日本で初めての(※2)、「新医療機器(※3)」として承認を取得したAI搭載医療機器となります。また、nodocaを用いたインフルエンザ診断は、2022年12月1日より保険適用されました。AI医療機器を用いた診断への新機能・新技術(C2区分)での保険適用も、日本で初めて(※4)の事例です。
nodocaは累計100施設超の国内医療機関が関わり開発されました。 併せて「日本救急医学会推薦AI研究」としての研究開発、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による事業化支援、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の国産スーパーコンピューター「ABCI」の活用など、医学×情報工学の「産官学医」が連携して開発されました。
■アイリス株式会社 代表取締役 沖山 翔(医師)のコメント
医療技術の保険適用は、その意義と価値が国から認められるプロセスだと考えます。
私たちはアイリスとしてAI医療機器 nodoca の治験を行い承認を取得しましたが、この機器・技術の開発は、共同研究に関わってくださったのべ100以上の医療機関、そして、それぞれの医療機関における何人もの医師、看護師、医療事務、ほか病院スタッフの方々との「共創」によるものです。そしてこれら医療機関の先には、研究に参加くださった10,000名以上の患者さんの協力があります。こうして産まれた技術がこのタイミングで保険収載されるということには、改めてnodocaだけでなくこの技術の開発に関わった全員の協力が認められたような思いを抱かされます。
ほんの少し前まで、「AIは医師の仕事を奪うのではないか」「AIは医療をドライで冷たいものにしてしまうのではないか」といった声が、医療現場から聞こえて来た時代もありました。その様相はここ2年間で大きく様変わりし、今ではほとんどの医師が、「どのようにAIを正しく活用していくか」、「AIによって浮いた時間で、どのように本質的な医療価値に向き合えるか」を考えるように変化した印象があります。
そのような中、国民皆保険という日本が世界に誇る医療制度において、AI技術を用いた診療が保険の対象になったということには、歴史的な意義を感じざるを得ません。そこに少しでも関われたことをありがたく思います。
その責任を感じながら、アイリスは「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」のミッションの下、これからも挑戦を続けて参ろうと思います。
アイリス株式会社
代表取締役 沖山 翔(医師)
沖山 翔 略歴
2010年東京大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター(救命救急)での勤務を経て、ドクターヘリ添乗医、災害派遣医療チームDMAT隊員として救急医療に従事。2017年 アイリス株式会社 創業、代表取締役。熟練医師の「匠の技」のAI医療機器化に取り組む。救急科専門医。
■アイリスについて
「みんなで共創できる、ひらかれた医療をつくる。」をミッションに掲げ、2017年に創業。現役医師である代表・沖山をはじめ、医療従事者、厚生労働省・経済産業省ほかの行政出身者、AI医療領域に特化したデータサイエンティスト、大手医療機器メーカー出身者など多数のプロフェッショナルが揃い、深層学習技術(AI技術)を活用し、医師のもつ匠の技をデジタル化するAI医療機器を開発しています。
【会社概要】
・会社名:アイリス株式会社
・代表取締役:沖山翔
・事業内容:AI技術を用いた医療機器の開発・製造・販売及び人工知能技術の研究開発
・設立:2017年11月
・本社所在地:〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 八重洲セントラルタワー7階
・企業URL:https://aillis.jp/
※1 厚生労働省が公開する令和5年9月末時点のAIを活用した医療機器(プログラム)の承認状況に記載された一覧(ただし、「承認申請時にAIを活用した旨が記述された医療機器プログラムの一部を例示として列挙したものであり、AIを活用した医療機器(プログラム)を網羅するものではない。」とされたもの)をもとに当社が確認する限りの情報(2024年3月末時点)
※2 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する令和3年度~平成23年度の新医療機器の一覧及び令和4年度の承認医療機器を当社が確認する限りの情報(2022年5月9日時点)
※3 医療機器の製造販売承認時の区分の一つ。「医療機器の製造販売承認申請について」(平成26年11月20日 薬食発1120第5号)」第1・2(2)に定義される。
※4 厚生労働省が公開する令和4年度~平成25年度の中央社会保険医療協議会総会議事録を当社が確認する限りの情報(2022年9月14日時点)
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