行政機関勤務者のエンゲージメントに関する調査実施(2024)
課題は、将来にわたって働き続けるための魅力的なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やキャリアの提示
■調査背景
近年、行政機関においてもDX推進や生産性向上は必須であり、これを進めるにあたって人材マネジメントの在り方が見直されています。しかし、地方公務員のエンゲージメントの現状についてはデータが少なく、実態把握と課題設定が急務の状態です。
本調査では、昨年度から引き続き一般行政職員と民間企業勤務者との比較をしつつ、実態と課題についてより具体化することができました。結果報告第一弾となる今回は、総合満足度と昇任意欲の傾向を一般行政職員のポイントでフォーカスしています。
■調査結果のポイント
1.総合満足度:地方公務員は民間勤務者よりも満足度が高い傾向。若手・中間層(25~34歳)においても、満足度に変化は見られず。
地方公務員の総合満足度は、民間企業と比較して高い傾向にありました。特に、専門職(「教育公務員」「警察官」)はその他と比較して高い傾向が見られました。行政業務を主に担う一般行政職員でも満足度の傾向は変わらず、民間企業と比較して高い傾向にあります。(図1参照)
前回相対的に低い結果となった若手・中間層(25~34歳)においても、大きな違いはなく、継続就業の意志は、ベテラン層(55~64歳)の次に高い結果になりました。(図2参照)
2.昇任意欲:地方公務員、民間企業いずれも「昇任意欲あり」は2割に届かない
昇任意欲の有無は、地方公務員、民間企業いずれも差はなく、「意欲あり」は全体の17%と2割に届きません。一般行政職員の若手・中間層(25~34歳)をみても、昇任意欲に違いはありません。(図3参照)
また「昇任意欲あり」の総合満足度は「意欲がない」と比較して高く、これは地方公務員、民間企業いずれも同じ傾向です。その中でも目指す職位が高いほど、総合満足度も高くなる傾向にあり、こちらも地方公務員、民間企業同様の傾向です。(図4参照)
3.エンゲージメントの促進・疎外要因:「事業やサービスの社会貢献度」「人間関係」が強み、「キャリア」「リーダーシップ」「処遇・報酬」が課題
将来、行政業務の中心を担う一般行政職の若手・中間層(25~34歳)の総合満足度がどの項目と強く相関するかを分析しました。
現状満足度、継続就業意向度に対して相関が高く、また満足度も高い項目は「事業やサービスが社会や地域に役に立っている」「職場の同僚を信頼している、良い仕事ができている」でした。
一方で満足度が低い項目は「リーダー/幹部層の魅力」「複数のキャリア選択が可能か」「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)への共感」「現在の処遇・報酬水準」があげられています。(図5・図6参照)
■考察
本調査で、地方公務員におけるエンゲージメントの課題は、キャリアの選択度、組織全体での目指すべき姿の共感、処遇・報酬という結果になりました。
特に、処遇・報酬面で、民間企業のように自由な設計が難しい行政においては、いかに自治体のM(ミッション=存在意義・使命)、V(ビジョン=なりたい・あるべき姿)、V(バリュー=行動指針・何をすべきか)を打ち出し職員に浸透させられるか、キャリアの選択を踏まえて将来にわたって働き続ける姿を魅力的に提示できるかが行政組織の変革を推進する源になっていくことが伺えます。
■調査概要
調査名 :働きがいに関するアンケート
調査方法 :インターネット調査
調査対象者:22歳~69歳の男女/地方自治体勤務者(1,000人)、民間企業勤務者(1,000人)調査地域 :47 都道府県
調査期間 :2024年2月22日~2024年2月23日
サンプル数:2,000人(うち有効回答数:1,886人)
■グラビス・アーキテクツ株式会社について
公共領域での政策提言や行政組織でのIT利活用による生産性向上支援を通じて、さまざまな社会問題を解決する会社です。2010年に札幌市にて設立(現在は、東京・札幌の両本社制)、東京のみならず、各地域においてもコンサルティング業務を展開し、地方から地方主導で日本の活性化を推進していくことを重要視して事業展開しております。
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