多拠点生活の実態調査「社会的インパクトレポート2023-24」を公開
二地域居住・特定居住推進のためのプラットフォーム利用状況を可視化
定額制の多拠点居住プラットフォーム「ADDress」を運営する株式会社アドレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐別当隆志、以下「ADDress」)は、業務データおよび利用者アンケートを分析し、多拠点生活者の動向が社会的課題にどのように関わっているのかを毎年レポートにまとめています。第4版となる今年度(2023-24年)の『社会的インパクトレポート』を2024年11月に一般公開しました。ADDressのサービスにおける「社会的価値」を可視化することで、二地域居住・多地域居住の推進にどのように貢献しているのかを分かりやすくまとめています。
多拠点居住を促進する新たな法改正の動きも
新型コロナウイルスが収束し、人々の生活はコロナ禍前の状態に戻りつつあります。週5日テレワークだった企業が週1〜2日のテレワークなど縮小する傾向も見られる中、ADDressはこれまでもライフスタイルの変化に合わせた対応を実施しました。2024年は月額4万4,000円のみの定額制プランを完全撤廃し、月数日(月額9,800円)から月30日まで選べる定期チケット制度を導入したことで、新規会員数も前年比137.37%増加しました。コロナ禍では都市部のマンションを解約して、転々と各地を旅しながらテレワークをする単身世帯を中心に会員数を増やしていましたが、最近では子育て中の家族世帯や家族の介護をしている人などのほか、将来の移住先を見つけたい若年層から退職後のアクティブシニアなど多種多様な方々がそれぞれのライフスタイルに合わせたプランを選択してADDressでの多拠点生活を始めています。
第4版となる『社会的インパクトレポート』では、2024年11月1日に施行されたばかりの「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」についての説明も盛り込みました。この法律は二地域居住など多拠点生活を含む「特定居住」を推進するための法律です。特定居住には「住まい」「なりわい(仕事)」「コミュニティ」のハードルが存在しますが、それらをどのように整備していくかについてを分かりやすく1ページにまとめています。
「利便性」より「暮らしやすさ」重視の価値観へ
ADDressが目指す最初のアウトカムである「多拠点生活者の増加」は、冒頭で述べたように昨年同月比で137.37%(2024年8月時点)増となりました。会員の年間平均予約数は1年間で9.68件、総予約数に占めるリピート予約の比率は54.31%でした。年間平均予約数は昨年の17.3件から減少していますが、月2泊分からライトに利用できる料金プランを開始したことによる影響と考えられます。
リピート予約は昨年から継続して全体の半数を超える数値であり、会員は同じ家を再び滞在する傾向があり、特定地域を行ったり来たりする「関係人口」がADDressを通して創出されていることがデータでも見て取れました。さらに、今年のインパクトレポートでは、観光とは異なり1地域に中長期または年間で中長期滞在する割合がそれぞれどれくらいいるのかを調査。「1都道府県に30日以上滞在している人」は 23.2%、「年間通じて30日以上の予約をしている人」は 67.8% でした。これは、ADDress会員は1〜2 日の短期単発旅行者と異なり、特定地域に中長期滞在したり、定期的に繰り返しADDressを使うことで多拠点生活を継続していたりする人が多いということを表しています。アンケート調査では短期的な旅行とはまた違う、中長期的な「暮らしやすさ」を体験できるからこそ得られる「家守や地域住民との交流」や「地域文化の魅力」に言及する声が多く聞かれました。ADDressは短期的な観光需要にも応えつつ、中長期的な「人とのつながり」を生むことでその地域に愛着を持ち、ニーズが高まりつつある多拠点生活の実現に貢献できているといえます。
2024年9月下旬から新規物件の募集を再開
ADDressが目指す地域に対する最初のアウトカムは、「空き家を含む遊休資産の利活用」です。2024年9月18日時点で、実際に物件として活用している元遊休資産の数は276件で、昨年の291件から15件減少しました。減少の要因としては、①インバウンド需要の高まりによるホテル・旅館連携物件の解約、②各物件の収益化を目指した契約条件の見直しによる物件の解約が挙げられます。また、②の見直し作業に伴い、一時的に新規物件の一般受付を停止していましたが、2024年9月下旬から新規物件の募集を再開しました。ADDressに物件を提供するオーナー側には月次平均22,474円の家賃収入(1部屋あたりの平均支払額)、オーナーの1部屋あたり平均初期投資額は77,120円で、約3.4月で初期投資が回収できる収益がでていることがわかります。ADDressの物件候補として地域からエントリーを受けている物件数は93件(2024年10月3日時点)でした。今年度は新規物件の一般受付を停止した時期があったことからエントリー数は昨年から減少しましたが、引き続き空き家を含む遊休資産の活用に対し、高いニーズがあることがわかります。
従来とは異なる新たな「縁」と家守の存在
ADDressでは会員や家守、地域住民に新たな出会いや交流、コミュニティ創出の機会を提供しています。ADDressのサービスを通じて10人以上と交流した会員は46.63%、地域の清掃活動などのイベントはオンライン・オフライン含め297件開催され、参加表明をした人は1,459名になりました。また、会員や家守が立ち上げた部活動は47つで、アンケート調査では「家守の紹介で地元民でにぎわうローカルな飲食店に連れていってもらえた」「家守の親戚や地域住民と共に食卓を囲んだ」など、ADDressの家守が地域住民や他会員とのコミュニティのハブとなり、さまざまな「 縁 」をつないでいることが垣間見られます。
多拠点生活は多様なチャレンジができる環境
ADDressが「多拠点生活者の増加」や「新たな出会い・交流の創出」の先に期待するアウトカムが、「多様な生き方をする人の増加」、そして「新しい場所・地域での自己実現」です。ADDressを利用し、自己実現につながるような新たな事柄にチャレンジした人は全体の13.99%でした。アンケート調査では「自身の空き家で教室を始める予定」「離島や無医村を回って鍼灸治療をしようと思いたった」「ゲストハウスを運営したくなった」など、多拠点生活を受身に楽しむだけでなく、ADDressで新たに出会った人とのつながりを通じて生まれた、思い思いの「やりたかったこと」にチャレンジする主体的活動が見られてきています。さらに、地域で消費するだけでなく生産活動(収益を生んでいる活動)に至っている人も10.88%いました。国土交通省が促進する特定居住には「住まい」「なりわい(仕事)」「コミュニティ」に関するハードルが存在すると指摘されていますが、地域での生産活動はまさにこのうちの「なりわい(仕事)」にあたり、二拠点居住促進に「その場所で生産活動ができるかどうか」は重要な条件になるといえるでしょう。
二地域居住の促進に必要な「なりわい」創出も
ADDressの事業内容が地域に中期的に与えるインパクトとして期待されているものが、会員による地域での消費活動、生産活動(収益を得る活動)、そしてその先にある移住、もしくはその地域に継続的に関わり続ける関係人口の増加です。会員の食費にかける1日の平均額は3,139円(1食あたり1,046円)でした。ほぼ全物件に台所設備が整っていることから、外食だけでなく地元食材を調理する機会も多く、地産地消に貢献しています。また、アクティビティにかける1回あたりの体験費用も5,901円と昨年とほぼ同額の平均値となり、会員がさまざまな場所に出向き、生活を楽しむなかで地域経済を回しているさまが伺えます。年間10万円以上の報酬を手にしている人は3.63%で、昨年の3.07%から微増しました。「生産活動は、どのくらいの収入増加につながったか」という問いでは、最大150万円の回答もあり、具体的な収入増加につながっていることも見えます。生産活動の先にある移住について、アンケートに答えた会員のうち37.82%が意欲を示しており、こちらも昨年の38.7%とほぼ同値の結果でした。「実際に移住した」「セカンドハウスを購入した」など、移住が具体的に実現した例もありました。
経済に結びつかない資本も豊かな暮らしに必要
多拠点生活を通じては、経済と直接結びつかない地域の自然資本や文化資本に触れてもらうこと、そしてそこで得た体験をもってより豊かな暮らしを送ってもらうことも、ADDressが臨む社会的インパクトの挑戦のひとつです。ADDress生活で何らかの自然・文化資本を体験した人は73.06%に上り、昨年の 77.39%と同様に7割を超える結果となりました。「何か特別なことをするというより、その場所に根付いた自然や文化に暮らしの中で触れることに幸せを感じる」といったように、まさにその土地に「暮らす」体験を重視している会員も少なくなく、短期的な観光需要だけでないニーズを取り込んでいることもわかりました。
心の拠り所をつくり、孤独感を解消
ADDressが事業を通じて最終的に目指すアウトカムが「幸福感をもち生きる人の増加」です。人間は社会性の動物であり、友人関係や社会への帰属意識が幸福感に強く影響すると言われています。ADDressはこの点に着目して、サービスの一環としてコミュニケーションの機会、コミュニティ参画の機会を提供し、会員がそこで得た交流を新たな心の拠り所とし、孤独感を解消することを期待しています。
アンケート調査では「心の拠り所ができた」と答えた人が46.63%、ADDressを利用する以前と比べた今の生活の満足度も3.98(5段階中)の結果でした。孤独感が減った人の割合は33.16%、幸福度が高まったと感じた人は72.02%でした。ADDress多拠点生活による「人との関わり」を通じ、生活圏内や短期旅行では得られない「視野の広がり」を得られたという意見が複数ありました。なかには「また訪れたい『家』があるという思いが芽生えた」「第二の故郷ができ、帰りたい場所が日本全国にできた」というような、第二・第三の家を得られたという会員もいました。ADDressが家(住まい)を提供するだけでなく、コミュニティを通じた交流の場を提供していることから生まれた感想といえます。
交流により孤独感や幸福感に変化を感じる会員がいる一方で、「時々は一人の時間を楽しむ」ためにADDressを利用している会員も一定数存在します。「パートナーと適度な距離を設けることで、お互いの一人時間を楽しむようになった」「一人旅が楽しいと思えた」といった、「一人の時間」を持つことに対するポジティブな意見もありました。ADDressではホテル暮らしのように「一人でゆっくり落ち着ける」物件も用意しており、どのような暮らしをしたいのか「交流有無」でも予約検索ができるようになっています。「ひとり」になることは、多拠点生活において必ずしもネガティブではなく、交流疲れを癒すために時には必要でもあるのではないでしょうか。
これらの数値は業務データや会員・家守のアンケート調査から導き出していますが、数値評価をする根拠となるのが「ロジックモデル」(=以下)です。初版をリリースする際に、出資者の一般財団法人社会変革推進財団(所在地:東京都港区、理事長:大野修一)と立命館ソーシャルインパクトファンド投資事業有限責任組合(プラスソーシャルインベストメント株式会社、本社:京都府京都市、代表取締役社長:野池雅人)と共同プロジェクトで取り組み作成しました。
ADDressのロジックモデル
ADDress『社会的インパクトレポート』(2023-24年)の詳細は、以下のリンクボタンから閲覧が可能です。
【問い合わせ先】
社会的インパクト評価調査チーム
press@address.love(広報PR/桜井・狩野)
【ADDress プレスリリース一覧】
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/40352
【ADDress メディア掲載アーカイブ】
https://note.mu/address/n/n35bc93ea1536
■株式会社アドレス 概要
設立:2018年11月30日
代表取締役社長:佐別当 隆志
本社所在地:東京都千代田区平河町 2-5-3
事業内容:多拠点居住サービスの提供
URL: https://address.love
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