DICとSAP、ブロックチェーンを使用した廃プラスチックのトレーサビリティシステム構築の実証実験を開始
-プラスチックの資源循環を促進し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献ー
DIC株式会社(本社:東京都中央区、社長執行役員:猪野薫、以下「DIC」)は、プラスチックの資源循環を促進するため、SAPと連携しブロックチェーン(分散型台帳)技術※1を使用した廃プラスチックのトレーサビリティ(生産流通履歴の追跡)システム構築の実証実験を開始しました。
同取り組みでは、マテリアルリサイクルに適していない市場回収品を再生するため、ケミカルリサイクル技術を用いてポリスチレンを原料であるスチレンモノマーに還元する完全循環型リサイクルの実現を目指します。
昨今、サステナビリティの観点で世界的にプラスチック素材のリサイクル需要が高まっています。リサイクル原料を使う際に求められるのが、リサイクル原料の出自や含有物質の情報です。
今回の実証実験は、SAPのGreenTokenシステムを利用して、生産の初期段階からサプライチェーンに沿って原材料を追跡し、リサイクル原料の製造工程や検査工程、物性情報や品質情報などを可視化することを目指します。これにより、顧客が再生プラスチックを使用する際、その製品にどの程度のリサイクル原料が含有しているか提示することが可能になります。
GreenTokenはプライベートブロックチェーン技術を活用することでサプライチェーンの透明化を図るとともに、プラスチック素材の原材料から製品の製造・販売・使用、回収、粉砕を経て再利用されるまでの資源ライフサイクルにおける過程を追跡するシステムです。同システムではデジタルツイン技術※2を活用し、原材料の出自に関連する固有の属性や、カーボンフットプリント、市場回収品の出自、サステナビリティ認証データなどの情報をトークン※3に記録します。トークンを発行することで、リサイクル原料が他の原材料と混合して新たな製品を生産した場合でも、そのリサイクル原料を追跡することが可能です。
当社執行役員、パッケージングマテリアル製品本部長 森長祐二は次のように述べています。
「循環型経済に対する消費者の強い意識が、持続可能なパッケージングに対する需要を高めています。SAPのGreenTokenチームとの協働は、持続可能な環境への配慮を支援し、プラスチックのリサイクルを促進しながら、ケミカルリサイクルによる完全循環型エコシステムを実装するという当社の使命をサポートしてくれます」
Green Token by SAPは、SAPの社内起業プログラムにより開発されたソリューションであり、その共同設立者であるJames Veale氏は次のように述べています。「ケミカルリサイクルは、循環型経済への移行を加速させる鍵になります。しかし、廃プラスチックを化学的にリサイクルしてサーキュラープラスチックが得られたとしても、従来からある供給源からのプラスチックと見分けがつきません。私たちのソリューションは、それが本当にサーキュラープラスチックであることを証明し、完全で監査可能なサプライチェーンの透明性を提供します」
DICグループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、持続可能な社会実現のための重要施策として、サーキュラーエコノミーへの対応をサステナビリティ戦略として掲げています。今後、当社の注力市場である食品パッケージ用途において、顧客やサプライヤーと協同しサプライチェーン全体で循環型社会の実現を目指します。
※1ブロックチェーン技術とは、全ての履歴を連続的に記録する「不可逆」なデータベース技術のこと。全ての関係者がアクセス可能であり、またデータの改ざんが不可能であることから、原材料や製品の生産流通履歴を追跡するトレーサビリティでの活用が有効。
※2デジタルツイン技術とは、現実の空間を仮想世界で再現する技術のこと。ネット空間上に工場や生産現場などを忠実に再現し、現状把握や未来予測、生産・管理の効率化などに役立てることが可能。
※3トークンとは、ブロックチェーン技術を用いて発行された暗号資産のこと。GreenTokenでは、特定の原材料や製品について、現実の空間における数量を表現する際にトークンを用いる。
以 上
- 関連ニュースリリース
https://www.dic-global.com/ja/news/2020/ir/20201116105403.html
- DIC株式会社について
- SAPについて
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